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国王のお仕事

会議の始まり

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    新興国の紹介から始まった国際会議。
    続いてこちらの大陸であった闇ギルドの騒動の件がまず槍玉に挙げられた。
   「闇ギルドという犯罪者の巣窟が絶たれた事は大変喜ばしい事で……」
    と、その成果に一定の評価とそれに対する称賛を述べる一方で、
    「取り締まるまでに血生臭い事も少なからずあったと聞く。やむを得ない事は重々承知してはいるが、好ましい事ではない。可能な限り犠牲は少なく済むようこれからも精進せよ」
    とのお説教をいただいた。
    他にあちらの大陸の問題を取り上げたりもしたけれど、それで今日は終わり。主題は明日以降に議論するんだそうだけど。
    会場から出るのはまた最後に近い順番になりそうだった。
   「……今夜は夜会もないし、ゆっくり休めるかしらね?」
   「どうでしょう。個々に食事会などの予定が入る可能性はあると思いますよ」
   「うー、面倒臭いけど仕方ないか……」
     取り敢えずホテルに戻ると、幾つか晩餐に誘う招待状が来ていた。
    流石に全てに対応するのは無理なので、優先順位をつけ、それぞれアンリとレイフレッド、双子、大臣で分担して出席する事にした。
    「私達はあちらの大陸――ダムフールからのお招きに応える事にするわ」
    多少は勝手の分かる三帝国内の国は双子達に任せる事にして。
   「では、こちらがかの国の資料でございます」
    と紙束を渡された。
    国王の名前、王妃をはじめとする関係者の名前、主たる産業や特産物などの国のデータがまとめられている。
    「ある程度頭に入れてからご訪問くださいね?」
    にこやかに笑う外務大臣に念を押され、私達は頷くしかなかった。……まぁ、この為にこそ彼を連れてきたのだからこれでいいのだ。
    「ようこそいらっしゃいました」
     私達は迎えの車に乗り、彼らが泊まるホテルへと案内された。
    私達よりか、一段グレードの高いホテルにお泊まりの様だ。
    出迎えてくれたのは、アラブの王さまみたいな口髭の王と薄着の王妃様。まぁこの国は寒くはないけど、透ける素材が大半の服はなかなかに刺激的だ。
    ……けど。
   「私はラダン王国で外交官を務めさせていただいております、ライオネルと申します」
    なんと、国主でもなければ大臣でもない。ただの外交官だという。
    私達は小国とはいえ女王と王配が出向いているのに、その事を知らせていながら待っていたのが外交官。
    ……ちなみに私達以外の双子や大臣を行かせた国にはちゃんとその旨をお知らせしてある。
    知らせもなくこの対応。――どうやらかなり舐められているらしい。
    さあ、どうしてくれようかしらね?
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