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国王のお仕事

エルシー大陸

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    毎日ヘトヘトになりながら、必死に外交して食らいつく。だけど……
    「これ、あくまでリクスミー大陸にある国のヒトだけなんだよね」
     今頃もう一つの船でエルシーに向かっているダムフール大陸に存在する国々は。
    「本に書かれた情報しか知らない、ほぼ未知の国と言っても過言じゃない。この先もっと頑張らないと……」
    一日、また一日と日は過ぎていき……やがて。
   「明日には到着予定だそうだ」
    遂にその日がやって来る。
    不安と、未知の大陸に対する興味と関心。胸が騒ぐ。
    「……見えた、あれか?」
    水平線の先に見える陸の影。そして……
    「本当に、この船と同じ船がもう一隻……」
    塗装のカラーリングデザインこそ異なるけれど、型は全く同じ船が陸の影とはまた反対側の水平線の向こうからどんどん近付いてくる。
    今のレイリールの国家予算を全て注いでも作れなさそうな豪華な船を、更にもう一隻。
    そんなエルシー神国が刻々近づいて来る。
    船の側から見えるのは、とんでもなく巨大な港。
    東京湾クラスの大きな湾を丸々一つ使って作った港を擁する港町だった。
    馬の蹄のようなラインを描く港の一番手前は軍港、奥に向かうにつれ国内船の港になっているらしい。
    客船用の港もあれば貨物用の港もある。
    それらを大陸中に運ぶラインも整えてあるらしく、港に注ぐ川を行き来する船の港も整っている。
    マルクニアからは連絡船で行き来したこの船を停められるだけの巨大な桟橋も幾つかあって、似たようなサイズの船はこの稼働中の二隻以外にも停泊中。
    この船はあの空いた橋へと向かっているようだ。
    近づくにつれて街に建つ建物も見えてき始める。
    さながらリゾート地のような豪華なホテルから、武骨なビルまで多種多様な建物が並び、その中に一際大きなビルが建っていて。
    『港に入って一番目につく大きなビルが会議場だ。私達はその周囲に建つホテルに泊まるんだ』
    シレイド王が言っていたのはあれか、とすぐに分かった。
    ゆっくりと港に入った船が桟橋に繋がれると、すぐさま橋がかけられる。
    「私達が降りるのは、また最後の様です」
    どっと船の腹からヒトが下ろされていくのを眺めながら、それでもまだ余裕があって一杯にはならないこの港の広さに感心する。
    降りた者から今度は車に乗せ変えられて連れていかれる。
    「……今夜はまた夜会が開かれるそうですよ。向こうの船に乗ってきた方々も共に」
    私たちの試練は、まだ始まったばかり。これからが本番なのだと言われているようで。
    私達は気合いを入れ直した。
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