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君花2
ヒロインの素性
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「ドルトムント王国の辺境伯の娘さん……か」
影の調査報告を読みながら私はため息を吐いた。
娘、とは言うが、そこはお決まりの〝正妻の娘ではない〟とある。
ある日、伯爵がどこからともかく一人連れてきた娘さんらしい。……下手すれば辺境伯とも血が繋がってるのか分からないという。
だとするなら、その娘さんが必死になるのはまあ分からないではない。
少なくとも成人後には一人で生きていかなくてはならなくなるのだ、多少玉の輿に夢を見ても責められはしない。……常識的な範囲で、他人に迷惑をかけないならと注釈は付くけれど。
だけど……。
「宰相の息子に騎士団長の息子にも手を出してるのか……」
まだ若い国だから、初代君花の舞台に比べ攻略キャラが限られている。
……バグってさえなければカイルも親友役をやるはずだったらしい。
「……俺、攻略対象じゃないのに」
領地が国になったせいで領主の息子から王子に格上げされてしまったカイルは、彼女に付きまとわれているらしい。
「必死に断ってるんだけどさ……、何かおかしいんだ。言い寄られる度に嫌な感じがして……。お守りを色々持ってるから無事だけど、なんか精神攻撃魔法をかけられてる感じがする。攻略対象連中の様子もおかしいし……」
影の報告では、何やら自作自演でいじめを受けていると彼らに相談を持ちかけているらしい。
一応彼らの親に注意を促し、親たちも息子に忠言したらしいが効果はいまいちらしい。
積極的に学内の事に手出しするのも良くないけど、トラブルを放っておくのもよろしくない。
「……もしもし、シリカ?」
「おう、どうしたアンリ?」
「あのさ、ドルトムントの辺境伯の情報が欲しいんだけど」
「何? あのクソ気難しい爺がどうかしたか?」
「うん、実は……」
「はあ? あの爺さんが外で子供? あり得んだろ、それ」
「実子とは限らないよ。その子、吸血鬼ではないっぽいし、正直辺境伯の歳もあるし、孤児を拾ったんじゃないかと思ってるけどね。……知りたいのは何で突然孤児なんか引き取って育てる気になったのかって事」
「……少なくとも今の今で思い付く理由はないな。こちらでも探ってはみるが」
「お願い。何というかその子、いつかのアリスを彷彿とさせる子でね、良い予感が全くしなくて」
「そりゃ大変だな。そういやアイツのその後も不明なんだっけか」
「うん。元子爵共々、ね」
だからこそ、決着のつけ方は慎重に。
しっかり裏を取ってから決めなくてはいけない。
「分かった。まぁ、カイルにも頑張れと伝えてくれ」
シリカのエールを受け取り、私は電話を切った。
影の調査報告を読みながら私はため息を吐いた。
娘、とは言うが、そこはお決まりの〝正妻の娘ではない〟とある。
ある日、伯爵がどこからともかく一人連れてきた娘さんらしい。……下手すれば辺境伯とも血が繋がってるのか分からないという。
だとするなら、その娘さんが必死になるのはまあ分からないではない。
少なくとも成人後には一人で生きていかなくてはならなくなるのだ、多少玉の輿に夢を見ても責められはしない。……常識的な範囲で、他人に迷惑をかけないならと注釈は付くけれど。
だけど……。
「宰相の息子に騎士団長の息子にも手を出してるのか……」
まだ若い国だから、初代君花の舞台に比べ攻略キャラが限られている。
……バグってさえなければカイルも親友役をやるはずだったらしい。
「……俺、攻略対象じゃないのに」
領地が国になったせいで領主の息子から王子に格上げされてしまったカイルは、彼女に付きまとわれているらしい。
「必死に断ってるんだけどさ……、何かおかしいんだ。言い寄られる度に嫌な感じがして……。お守りを色々持ってるから無事だけど、なんか精神攻撃魔法をかけられてる感じがする。攻略対象連中の様子もおかしいし……」
影の報告では、何やら自作自演でいじめを受けていると彼らに相談を持ちかけているらしい。
一応彼らの親に注意を促し、親たちも息子に忠言したらしいが効果はいまいちらしい。
積極的に学内の事に手出しするのも良くないけど、トラブルを放っておくのもよろしくない。
「……もしもし、シリカ?」
「おう、どうしたアンリ?」
「あのさ、ドルトムントの辺境伯の情報が欲しいんだけど」
「何? あのクソ気難しい爺がどうかしたか?」
「うん、実は……」
「はあ? あの爺さんが外で子供? あり得んだろ、それ」
「実子とは限らないよ。その子、吸血鬼ではないっぽいし、正直辺境伯の歳もあるし、孤児を拾ったんじゃないかと思ってるけどね。……知りたいのは何で突然孤児なんか引き取って育てる気になったのかって事」
「……少なくとも今の今で思い付く理由はないな。こちらでも探ってはみるが」
「お願い。何というかその子、いつかのアリスを彷彿とさせる子でね、良い予感が全くしなくて」
「そりゃ大変だな。そういやアイツのその後も不明なんだっけか」
「うん。元子爵共々、ね」
だからこそ、決着のつけ方は慎重に。
しっかり裏を取ってから決めなくてはいけない。
「分かった。まぁ、カイルにも頑張れと伝えてくれ」
シリカのエールを受け取り、私は電話を切った。
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