296 / 370
領主一族のお仕事
建国
しおりを挟む
「んー、そろそろ国にしても良い頃合いじゃない?」
ある日、にっこり笑ってとある皇帝様が仰った。……悪魔な皇帝様は、「そう思わないかい?」と、女狐な女帝様に尋ね、彼女は「そうじゃのう……」と、わざとらしく悩むふりをした。
そして最後に。
「「どう思う?」」
と、二人揃って代替わりしたばかりのヒューリア帝国新皇帝に話を降った。
「そ、それはもう……! ベストタイミングかと!」
何やら冷や汗を流す彼に二人はにこりと笑い。
「さて、では当人達にはどうやって伝えようか」
とわくわくと悪巧みを始めた。
――そして。
ある日、皇帝三人が揃って領地にやって来る旨の報告が舞い込み、アンリとレイフレッドは何事かと驚き、慌てて支度を整えた。
領地に散っていた双子も、レイリアとカレンも両親を手伝い、カイルも衣装を新調する等、目まぐるしい日々を送り。
その日は、やって来た。
三人の皇帝は、それぞれの供を従えて訪れた。
まずはもてなされ機嫌良く過ごし、立派に成人し独立した子供達に満足し、残るカイルにも期待を寄せた。
そしてその翌日。
会議の場で彼らが宣うには、そろそろこの領地を国として成立させよ、と。
だから、国としての名前を考えろと言い出した。
「お前達はその国の女王と王配となるのだ」
そう命じられ。
国の名前を疾風の牙にしようかと言う案は、商会と私達の冒険者名だけでもそろそろ紛らわしくなっているのに! と反対され。
じゃあカーライル国に……との案も実家のカーライル商会から「止めてくれ」と泣きが入り。
散々迷った末に決まった国名は。
「そこは初代の名前をもじるとかでいいんじゃね?」
という子供達の意見を汲んで、『レイリール』と決まった。
故に私の正式名称は、アンリ・フォン・C・レイリールとなった。レイフレッドと、私の子供達も同様に。
そして、色々と手続きを終えた後、我がカーライル領は、正式にレイリールとして建国した。
しばらくは告知行脚と各国要人を招待しての告知パーティーにと忙しかった。
……これに私以上に驚いて放心してたのが、私の両親だったんだけど。
「ははは、まさかうちの子が……貴族どころか王様になるとか……これは夢かな?」
……気持ちは分かるけど、頼むから現実へ戻ってこいと母に叩かれなきゃ、そのまま夢の国から戻って来れなかった気のするお父様。
そして、このニュースを聞いてしばらく。
私のお祖父様が亡くなった、と知らせが入った。
お父様の様には驚いていなかったから、このニュースのせいではないと思いたい。
まぁ、この世界的には充分大往生なお歳だったからね、お祖父様。
葬儀に出ても、寂しいという意味で哀しむ人は居ても、「よくこれだけ生きた」と労う人が圧倒的だったのが印象的な式だった。
「あの方が居なければ、俺はアンリと出会えていなかったかもしれない」
と、式に参列したレイフレッドは言っていた。
うん。そだね。
――ありがとうございました、お祖父様。安らかにお眠り下さい。
ある日、にっこり笑ってとある皇帝様が仰った。……悪魔な皇帝様は、「そう思わないかい?」と、女狐な女帝様に尋ね、彼女は「そうじゃのう……」と、わざとらしく悩むふりをした。
そして最後に。
「「どう思う?」」
と、二人揃って代替わりしたばかりのヒューリア帝国新皇帝に話を降った。
「そ、それはもう……! ベストタイミングかと!」
何やら冷や汗を流す彼に二人はにこりと笑い。
「さて、では当人達にはどうやって伝えようか」
とわくわくと悪巧みを始めた。
――そして。
ある日、皇帝三人が揃って領地にやって来る旨の報告が舞い込み、アンリとレイフレッドは何事かと驚き、慌てて支度を整えた。
領地に散っていた双子も、レイリアとカレンも両親を手伝い、カイルも衣装を新調する等、目まぐるしい日々を送り。
その日は、やって来た。
三人の皇帝は、それぞれの供を従えて訪れた。
まずはもてなされ機嫌良く過ごし、立派に成人し独立した子供達に満足し、残るカイルにも期待を寄せた。
そしてその翌日。
会議の場で彼らが宣うには、そろそろこの領地を国として成立させよ、と。
だから、国としての名前を考えろと言い出した。
「お前達はその国の女王と王配となるのだ」
そう命じられ。
国の名前を疾風の牙にしようかと言う案は、商会と私達の冒険者名だけでもそろそろ紛らわしくなっているのに! と反対され。
じゃあカーライル国に……との案も実家のカーライル商会から「止めてくれ」と泣きが入り。
散々迷った末に決まった国名は。
「そこは初代の名前をもじるとかでいいんじゃね?」
という子供達の意見を汲んで、『レイリール』と決まった。
故に私の正式名称は、アンリ・フォン・C・レイリールとなった。レイフレッドと、私の子供達も同様に。
そして、色々と手続きを終えた後、我がカーライル領は、正式にレイリールとして建国した。
しばらくは告知行脚と各国要人を招待しての告知パーティーにと忙しかった。
……これに私以上に驚いて放心してたのが、私の両親だったんだけど。
「ははは、まさかうちの子が……貴族どころか王様になるとか……これは夢かな?」
……気持ちは分かるけど、頼むから現実へ戻ってこいと母に叩かれなきゃ、そのまま夢の国から戻って来れなかった気のするお父様。
そして、このニュースを聞いてしばらく。
私のお祖父様が亡くなった、と知らせが入った。
お父様の様には驚いていなかったから、このニュースのせいではないと思いたい。
まぁ、この世界的には充分大往生なお歳だったからね、お祖父様。
葬儀に出ても、寂しいという意味で哀しむ人は居ても、「よくこれだけ生きた」と労う人が圧倒的だったのが印象的な式だった。
「あの方が居なければ、俺はアンリと出会えていなかったかもしれない」
と、式に参列したレイフレッドは言っていた。
うん。そだね。
――ありがとうございました、お祖父様。安らかにお眠り下さい。
0
お気に入りに追加
1,084
あなたにおすすめの小説
47歳のおじさんが異世界に召喚されたら不動明王に化身して感謝力で無双しまくっちゃう件!
のんたろう
ファンタジー
異世界マーラに召喚された凝流(しこる)は、
ハサンと名を変えて異世界で
聖騎士として生きることを決める。
ここでの世界では
感謝の力が有効と知る。
魔王スマターを倒せ!
不動明王へと化身せよ!
聖騎士ハサン伝説の伝承!
略称は「しなおじ」!
年内書籍化予定!
僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~
SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。
ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。
『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』
『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』
そんな感じ。
『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。
隔週日曜日に更新予定。
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話
嵐華子
ファンタジー
【旧題】秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ。
【あらすじ】
イケメン魔術師一家の超虚弱体質養女は史上3人目の魔力0人間。
しかし本人はもちろん、通称、魔王と悪魔兄弟(義理家族達)は気にしない。
ついでに魔王と悪魔兄弟は王子達への雷撃も、国王と宰相の頭を燃やしても、凍らせても気にしない。
そんな一家はむしろ互いに愛情過多。
あてられた周りだけ食傷気味。
「でも魔力0だから魔法が使えないって誰が決めたの?」
なんて養女は言う。
今の所、魔法を使った事ないんですけどね。
ただし時々白い獣になって何かしらやらかしている模様。
僕呼びも含めて養女には色々秘密があるけど、令嬢の成長と共に少しずつ明らかになっていく。
一家の望みは表舞台に出る事なく家族でスローライフ……無理じゃないだろうか。
生活にも困らず、むしろ養女はやりたい事をやりたいように、自由に生きているだけで懐が潤いまくり、慰謝料も魔王達がガッポリ回収しては手渡すからか、懐は潤っている。
でもスローなライフは無理っぽい。
__そんなお話。
※お気に入り登録、コメント、その他色々ありがとうございます。
※他サイトでも掲載中。
※1話1600〜2000文字くらいの、下スクロールでサクサク読めるように句読点改行しています。
※主人公は溺愛されまくりですが、一部を除いて恋愛要素は今のところ無い模様。
※サブも含めてタイトルのセンスは壊滅的にありません(自分的にしっくりくるまでちょくちょく変更すると思います)。
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる