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君花2
カイルの入学
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レイリアにイアン、フリードとカレンが揃って卒業した初等学校。
当時は『領立』だったけど、いまや『国立』学校となったけど。
貴族も平民もなく通える学校をと設立したそこは、施設にはこだわって作った。シレイドの学校より数段上の施設が揃っている。
その校門の前に、今カイルは立っていた。
「ああ、ついにこの日が……」
他にも期待に満ちた表情をした子達が大勢その門を潜っていくのに、彼は絶望したような顔で項垂れていた。
――彼曰くの乙女ゲームが今日、新たに始まるのだ。
「俺は多分モブ扱いだからまだ良い……と思いたいけど……王の子だからなぁ。目立つよなぁ……」
なんて自信無さそうにするので、私はかつてそれを身に付け奴等と戦った装備一式を男の子様に作り替えて持たせている。
「特に貴方は学校内でレイフレッドみたいな助け手が居ないからね」
過剰防衛ではないはず、だ。
「それじゃ、頑張って」
と、息子を入学式に送り出す。
「……行ってきます」
――なんて。もう学校で習うような知識や技術はとうに叩き込んでいるのだから、彼がしなければならないのは友達作りでありパートナー探しだ。
是非頑張って貰いたい。
そして彼の姿が見えなくなった頃――校門に一人の女生徒が現れた。
他にも大勢生徒は居るのに、何故か目を惹く容姿の人間の少女。
そんな彼女が、何もない校門の前でスッ転んだ。
――うわぁ、なんてベタな……
と、ついそんな感想が浮かんでしまうくらい見事なコケっぷりであった。
「……大丈夫?」
そんな彼女を助けに入ったのは――
赤毛の頭に二本の角を持つ美形の男。あれは……
「イアンのお嫁さんの弟さんよね?」
鬼族の男性には見覚えがあった。
……ちなみにかの和菓子店の跡継ぎには嫁の兄が今必死に父親の元で修行しているから、おそらく彼が店を継ぐんだろう。
で、あれは確か三男坊だったはず。
嫁も美人だったけど、皆強面の父に似ず、美人な母に似たらしく、あの彼も随分とイケメンだ。……レイフレッドには負けるけど。
「彼も攻略対象か……」
「――念の為、イアンには気を付けるよう言っておきましょう」
「そうね」
私達はそのまま講堂へ行き、式の最中に挨拶を述べて帰ってきたけど。
私は影にヒロインの素性を調べるように命じ、それ以上の手出しについてはしばらくは静観の構えを取ることにした。
……何しろ国になったことで色々と仕事も増えたのだ。
レイフレッドと仲良く政務に励みながら、一応息子の健闘を祈っておいたのだった。
当時は『領立』だったけど、いまや『国立』学校となったけど。
貴族も平民もなく通える学校をと設立したそこは、施設にはこだわって作った。シレイドの学校より数段上の施設が揃っている。
その校門の前に、今カイルは立っていた。
「ああ、ついにこの日が……」
他にも期待に満ちた表情をした子達が大勢その門を潜っていくのに、彼は絶望したような顔で項垂れていた。
――彼曰くの乙女ゲームが今日、新たに始まるのだ。
「俺は多分モブ扱いだからまだ良い……と思いたいけど……王の子だからなぁ。目立つよなぁ……」
なんて自信無さそうにするので、私はかつてそれを身に付け奴等と戦った装備一式を男の子様に作り替えて持たせている。
「特に貴方は学校内でレイフレッドみたいな助け手が居ないからね」
過剰防衛ではないはず、だ。
「それじゃ、頑張って」
と、息子を入学式に送り出す。
「……行ってきます」
――なんて。もう学校で習うような知識や技術はとうに叩き込んでいるのだから、彼がしなければならないのは友達作りでありパートナー探しだ。
是非頑張って貰いたい。
そして彼の姿が見えなくなった頃――校門に一人の女生徒が現れた。
他にも大勢生徒は居るのに、何故か目を惹く容姿の人間の少女。
そんな彼女が、何もない校門の前でスッ転んだ。
――うわぁ、なんてベタな……
と、ついそんな感想が浮かんでしまうくらい見事なコケっぷりであった。
「……大丈夫?」
そんな彼女を助けに入ったのは――
赤毛の頭に二本の角を持つ美形の男。あれは……
「イアンのお嫁さんの弟さんよね?」
鬼族の男性には見覚えがあった。
……ちなみにかの和菓子店の跡継ぎには嫁の兄が今必死に父親の元で修行しているから、おそらく彼が店を継ぐんだろう。
で、あれは確か三男坊だったはず。
嫁も美人だったけど、皆強面の父に似ず、美人な母に似たらしく、あの彼も随分とイケメンだ。……レイフレッドには負けるけど。
「彼も攻略対象か……」
「――念の為、イアンには気を付けるよう言っておきましょう」
「そうね」
私達はそのまま講堂へ行き、式の最中に挨拶を述べて帰ってきたけど。
私は影にヒロインの素性を調べるように命じ、それ以上の手出しについてはしばらくは静観の構えを取ることにした。
……何しろ国になったことで色々と仕事も増えたのだ。
レイフレッドと仲良く政務に励みながら、一応息子の健闘を祈っておいたのだった。
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