上 下
288 / 370
領主のお仕事

カイル初の鑑定式

しおりを挟む
    ――ビルの処刑はまだもう少し先になるらしく。それの前にカイルの鑑定式のが先に行われる事になった。
    「……神眼石貰って、スキルが分かったら……魔法の適性があったら使えるんだよね、魔法?」
    「まあ、ね。でも最初の鑑定で凄いスキルを貰える人はごく一部だから……」
    そのごく一部のそのまたごく一部の人間だった私はそっと明後日の方を見やった。
    ……レイリア達は、普通の子に比べれば優秀なスキルを得ていたけれど、やっぱり有力なスキルは後天的に手に入れた物で、最初の鑑定時はそこそこ優秀という評価だった。
    「……一つでも良い。魔法の適性が欲しいよ」
    で、だ。
    他の子の時の鑑定式もそうだったんだけど。
    我が家は今や領主一族だ。故に鑑定式は自ら教会に足を運ぶのではなく神官を呼びつけての式となる。
    神官達は、例のカードリーダーと、その表示用の板を持って城へとやって来た。
    その日は家族全員揃って、彼らが謁見室内にそれらをセットするのを見守った。
    それが終わると、いよいよ式が始まる。
    あの日の様に、神官が声をあげる。
    「さあ、本日より我らが神々に生を認められし子よ。その証たる神眼石を授けよう。さぁ、目を閉じ祈るのだ!」
    カイルは神官の指示に従い目を閉じ祈る。
    すると彼の手の甲で目映い光が生まれ、気付けばいつの間にか神眼石が埋まっていた。
   「よろしい。では、目を開けるのじゃ」
    カイルは目を開けたり閉じたりしながら己の手の甲を見た。そしてもう一方の手でつついたり撫でたりしている。
   「では、鑑定式に移ろう」
     カードリーダーに手を翳すように言われ、その通りにするカイル。
     結果はすぐに板に表示された。

-------------------------
氏名    カイル=フォン=カーライル
年齢    3
職種    ー未選択ー
所持スキル
【神々の加護    Lv.1】
ステータス
腕力    C
体力    C
精神    C
知力    B 
敏捷    D
器用    B
-------------------------

    「……なっ、神々の加護、じゃと?」
    ステータスは比較的優秀、というレベルであったが、スキルがまたアレなスキルであった。
    「ユニークスキルか……?    しかし聞いたこともないぞ!」
    神官は騒いだけれど、私達は「まだどんなスキルなのかも良く分からないから」で取り敢えず誤魔化し、帰って貰った。
    さて、どんなスキルなのか……。
    今後の教育方針にも関わるし、ここはきっちりさせておかなければなるまい。
    だけど今日のところは……。
   「カイル、三歳の誕生日おめでとう!」
    彼の誕生日パーティーを全力で楽しまなくては、ね。せっかく彼の好物を揃えて準備してたんだから。
   「乾杯!」
    城の皆で祝い、飲み明かしたのだった。
しおりを挟む
感想 78

あなたにおすすめの小説

転生したらチートでした

ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子
ファンタジー
【旧題】秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ。 【あらすじ】 イケメン魔術師一家の超虚弱体質養女は史上3人目の魔力0人間。 しかし本人はもちろん、通称、魔王と悪魔兄弟(義理家族達)は気にしない。 ついでに魔王と悪魔兄弟は王子達への雷撃も、国王と宰相の頭を燃やしても、凍らせても気にしない。 そんな一家はむしろ互いに愛情過多。 あてられた周りだけ食傷気味。 「でも魔力0だから魔法が使えないって誰が決めたの?」 なんて養女は言う。 今の所、魔法を使った事ないんですけどね。 ただし時々白い獣になって何かしらやらかしている模様。 僕呼びも含めて養女には色々秘密があるけど、令嬢の成長と共に少しずつ明らかになっていく。 一家の望みは表舞台に出る事なく家族でスローライフ……無理じゃないだろうか。 生活にも困らず、むしろ養女はやりたい事をやりたいように、自由に生きているだけで懐が潤いまくり、慰謝料も魔王達がガッポリ回収しては手渡すからか、懐は潤っている。 でもスローなライフは無理っぽい。 __そんなお話。 ※お気に入り登録、コメント、その他色々ありがとうございます。 ※他サイトでも掲載中。 ※1話1600〜2000文字くらいの、下スクロールでサクサク読めるように句読点改行しています。 ※主人公は溺愛されまくりですが、一部を除いて恋愛要素は今のところ無い模様。 ※サブも含めてタイトルのセンスは壊滅的にありません(自分的にしっくりくるまでちょくちょく変更すると思います)。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

南洋王国冒険綺譚・ジャスミンの島の物語

猫村まぬる
ファンタジー
海外出張からの帰りに事故に遭い、気づいた時にはどことも知れない南の島で幽閉されていた南洋海(ミナミ ヒロミ)は、年上の少年たち相手にも決してひるまない、誇り高き少女剣士と出会う。現代文明の及ばないこの島は、いったい何なのか。たった一人の肉親である妹・茉莉のいる日本へ帰るため、道筋の見えない冒険の旅が始まる。 (全32章です)

僕の召喚獣がおかしい ~呼び出したのは超上級召喚獣? 異端の召喚師ルークの困惑

つちねこ
ファンタジー
この世界では、十四歳になると自らが呼び出した召喚獣の影響で魔法が使えるようになる。 とはいっても、誰でも使えるわけではない。魔法学園に入学して学園で管理された魔方陣を使わなければならないからだ。 そして、それなりに裕福な生まれの者でなければ魔法学園に通うことすらできない。 魔法は契約した召喚獣を通じて使用できるようになるため、強い召喚獣を呼び出し、無事に契約を結んだ者こそが、エリートであり優秀者と呼ばれる。 もちろん、下級召喚獣と契約したからといって強くなれないわけではない。 召喚主と召喚獣の信頼関係、経験値の積み重ねによりレベルを上げていき、上位の召喚獣へと進化させることも可能だからだ。 しかしながら、この物語は弱い召喚獣を強くしていく成り上がりストーリーではない。 一般よりも少し裕福な商人の次男坊ルーク・エルフェンが、何故かヤバい召喚獣を呼び出してしまったことによるドタバタコメディーであり、また仲間と共に成長していくストーリーでもある。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

処理中です...