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領主のお仕事

困った人達

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    「――もしもし」
    子供達の支度が大方終わったところで、私はある人に連絡を取った。
    「……やぁ、アンリ=カーライル辺境伯。良い夜……とはいかないようで、ちょっと取り込み中なんだけど」
    「やっぱり事故じゃないのね」
    「――他には事故と伝えているけど、君ら相手に取り繕っても仕方ないしな。……どうやら不審者が紛れ込んだらしい」
    私の会話の相手はマティス様。ついさっき王弟殿下になったばかりの彼は、必死に部下達に指示を飛ばしていた。
    「式典の最中は特に厳重に警備をしていたけれど……僅かに警備が緩くなる夜間を狙ってくるとはね。だれが犯人かは知らないけど、捕まえたら締め上げてやる」
   「なら、こちらも動くわ。一応通達出しといて下さるかしら?」
    「……了解。助かります」
    「――だそうよ」
    「取り敢えず俺が見てきます。アンリはしばらくここで子供達を見ていて下さい」
    そう言い置いてレイフレッドがさっと窓から出ていった。
    それを不満気に見送る子供達。
    「三人とも、影魔法の初歩は使えたわよね?」
    「「「うん!」」」
    「それじゃ、魔法の実戦訓練よ。影魔法で辺りの様子を探ってみなさい」
    実戦に勝る訓練ナシ、とばかりにやらせてみる。
    「あ、お父さんが居た」
    「部屋に人が居るけど……これ、他のお客さんだよね……」
    「こっちはお城の兵隊さん……かな?」
    子供達に探らせながら、自分でも探りを入れてみる。……まだこの階には侵入者は居なさそうだ。
    ……けど。
   「あれ?    ねぇ、隣の部屋の煙突の中、人が居ない?」
    そう。暖炉の煙を逃がす煙突の通気孔の中を這いずる人の影がある。……明らかに怪しかった。
    だけどレイフレッドは階下で彷徨いていた不審者との交戦を始めてしまっている。
    「んじゃ、こっちは私の獲物かな?」
    だけど、ここで大技使っちゃうと大惨事になるし。
   「ここは……フロス~!」
    フロスを呼んで……
   「はぁい、マスター!」
   「それじゃ、皆影で彼らをここへ追い込みなさい」
   「はーい!」
   「フロスは片っ端から縛り上げて」
   「りょーかいでっす!」
   こうして館内に居た不審者は、ものの見事に隣室に積み上がったのだった。
   「……これは、また随分と張り切りましたね」
   「えへへ、頑張ったー!」
   「俺、頑張って追い詰めたんだよ!」
   必死に成果を主張する子供達にマティス様は何故か顔をひきつらせていたけど、知~らないっと!
    で、夜を徹しての尋問の結果、今回の件を画策した輩が判明した。
   「まさか今更その名を聞くことになろうとはね……」
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