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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

学園祭

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    終わった。初等部の文化祭は終わり、残すところ音楽祭のみとなり、まだ忙しさは残るけれど、仕事の同時進行をしなくて良くなった分、私は随分楽になった。
    が。近く上級学校の学園祭を控えるレイフレッドは忙しさのピークを迎えてピリピリしていた。
    忙しい合間を縫ってウチの文化祭にも顔を出してはくれたけど、まぁエンターテイメント性皆無のイベントだからね、さらっと展示を一通り眺めたらそれで終わりだからね。
   「その分、ウチの学園祭を楽しみにしてて下さい。その為に頑張った様なものなんですから」
    と、誘われた学園祭当日。
    初日は上級学校の生徒と保護者限定公開、二日目は一般公開となるため、混雑が予想される。
    「これを受付で提示して下さい。お迎えに上がりますので。……本当ならここから自分で送迎したいところですが」
    「仕事あるでしょ。忙しい中ちょっとでもエスコートしてくれるだけで十分嬉しいよ。楽しみにしてるから」
    と受け取った招待状を受付で見せると、すぐさま受け付け脇のテントに案内されて椅子を勧められお茶が用意された。
    待つこと五分程でレイフレッドが現れた。
    「お待たせしました、お嬢様」
    手を取ってエスコートされながら案内されたそこは、前世の文化祭をお金持ち仕様にグレードアップした正に〝お祭り〟だった。
    まず校舎までの前庭ではたこ焼きやクレープ……ではなく、一口ステーキ(高級霜降り牛肉使用)やカップデザート(有名パティシエ監修)等の出店が並ぶ。
    校舎に入れば、ダーツやビリヤードといった社交スポーツゲームや、有名レストラン監修の食堂やカフェ等の催しが。
    講堂ではプロのステージパフォーマンスが行われ、中庭ではガーデンパーティーが開かれ社交ダンスのステージまで用意されていて。
    あの庶民的な夏祭りとは完全に別世界なお祭りを、レイフレッドと並んで歩く。
    ここはシレイドだから、あの時みたいなあからさまなイチャイチャは勿論出来ない。
    あくまで見学に来たお嬢様とその従者としての立ち位置を崩す事なく会場を回る。
    上級学校の学園祭はゲームでもイベントとしてあって、初等部の卒業式でめでたく両思いとなった攻略対象とデートして回った。
     卒業イベントで退場した悪役令嬢に邪魔される事もなく、ただひたすら甘い言葉を囁かれながらイチャイチャするイベントのはずなのが、ちょっと寂しいけど。
    まぁ、取り敢えずレイフレッドと一緒に回れるだけありがたいと思うべきか。
    「レイフレッド?」
     途中男女問わずよく声をかけられたけど。
    「私の大事なお嬢様ですので、余計なちょっかいかけるのは止めてくださいね?」
    何故かニコニコ笑いながら言うレイフレッドにおののく人が続出したのは……気付かなかった事にしておきたいと思う。
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