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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

夜を彩る星の華

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    花火会場の広場は黒山の人だかり――いや、この世界の人達の髪色ってとにかくカラフルだから〝黒〟山より大分色とりどりだけど、祭り会場では屋台ごとにばらけていた人だかりを寄せ集めたようで、日本の通勤電車並みに混み合っていた。
   「これは……さっき当てたチケット、かなりの大当たりだったみたいね」
    それに比べて少し高台になったここは、他の屋台の景品にもあったらしいチケットを持った人しか入れないプラチナシート。
    座蒲団四枚分程の正方形のシート一枚分のスペースがチケット一枚につき一つ与えられる。
    のんびりシートに座ってドリンク片手に見られる贅沢……。
    花火はまだこれからだけど、光害なんて言葉の無いこの世界の夜空は、人工の光に阻害されることなく輝く満天の星が地平線の上から全てまんべんなく散りばめられていてとても綺麗だ。
    やがて足元を照らす火の灯りも半分程落とされ、通路の僅かな明かりを残してほぼ完全なる夜の闇がもたらされた。
    周囲の人々が視界から消え、すぐ隣に居るレイフレッドの体温を半身に感じながら二人の世界が出来上がる感覚。
    ……これ、下の人混みではこんな感覚は味わえなかっただろうな。
    その中、待つこと数分。
    ひゅるひゅるひゅる、と火の玉が音を立てて空を翔け上がり、ドン、と地と腹に来る重低音と共に華開き、黄色い星の輝きが円を描いて広がり、そして消えていく。
    末端の星が燃え散る直前、再び火の玉が空を翔けて今度は紅色の華を咲かせた。
    そこから次々に上がる火花の星が夜空を花畑に変えていく。
    昔、前世で画面の向こうに見た隅田川の花火大会なんて目じゃない迫力。
    リアルな音が心音とリンクしている様で。
    光の乱舞にテンションも上がり、心も踊る。
    ――だから。
    つい、魔が差したんだ。
    不意打ちで口付けるなんて真似を私からするなんて。
    ……けど、シレイドの人間が居るはずもないこの国での解放感に任せてやらかした暴挙はすぐにレイフレッドからの反撃を受けて主導をあっさり彼に奪われて。
    夜空ばかりか自分の頭の中まで花畑になったみたいで、もっともっと欲しくなる気持ちが大きくなる。
    周りは吸血鬼か吸血鬼をよく知る者達ばかりだ。
    だからレイフレッドも周囲を大して気にもせずに私の首筋に牙を立てた。彼の肩越しに花火を楽しみながら、吸血に伴う快楽に素直に従う。
   それが、ここではこんなに容易にかなう。それを見咎める者は居ない。
    ……嫉妬する者は居るかもしれないけどね。
    だけどその程度、今感じてる幸福感の前には気にもならない。
    授業が始まればまたシレイドに戻らなきゃいけないんだから、今のうちに思う存分イチャイチャしてやるんだ!
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