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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

大鴉 vs. リルフィ

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    リルフィが翼を羽ばたかせ、急上昇していく。
    レイフレッドはあぶみで一応固定はしているけど、両手に剣を装備している状態では手綱は握れず、跨がる両足で必死に振り落とされないよう踏ん張りながら、敵を見据える。
    「ぎゅい!」
     リルフィが嘴を開けて大きく息を吸い込んで胸を膨らませ――まずは初撃と火炎放射の魔法を大鴉に浴びせかける。
    グリフィンの気配に流石に目を覚まし、ぎょろりとこちらを睨んだ大鴉は即座に炎を避けるべくこちらもまた翼を広げ飛び出した。
    丸まっている状態でも日本の烏が雀大に見えてしまう程大きかったのだけど、翼を広げてみればなお大きい。……地球にあんな大きな鳥類いたっけ?    いや、地球最大の鳥がダチョウだったんだ、あれより明らかに大きいんだよ、あれ。
    けど、それに果敢に向かっていくリルフィ。その背に乗るレイフレッドが双剣を構え、足の爪で引っ掻けようとする敵相手に剣で捌いて払い、フリーのもう片方の剣で足の付け根の肉の部分を切りつけ、片足をもいだ。
    「グギャァァァ!」
    魔物は耳障りな悲鳴をあげて暴れ、リルフィはすぐさまその煽りを受けない距離まで離脱する。
    私はその隙を狙って弓を構え、魔法矢を打ち込む。狙いは手羽。痺れの追加効果を期待して、雷撃をお見舞いしてやる。
    撃ち込まれた矢を目指して落雷が直撃すれば、翼を支える軸に火傷の痕が残り、翼の羽ばたきが乱れ動きが鈍くなる。
    リルフィは速攻で敵の懐に潜り込み、レイフレッドは羽毛に埋もれた柔らかい腹を十字に切り裂き、地上に血の雨を降らせた。――おまけとばかりに闇魔法で視界を塞いですぐに離脱。
    リルフィが先程避けられてしまった火炎を再びお見舞いしてやる。
    視界を塞がれ、動きも鈍った大鴉は今度こそ火炎の直撃を受けて羽毛ごと身体を焼かれ、たまらず地上に降りて辺りを転げ回る。
    炎を消したいのだろうが、そうはさせない。
    風の刃で首を落とし、レイフレッドが脳天に剣を刺して終わらせる。
    報告のため、荷車に死骸をくくりつけて山を下りる。……皆が居るから堂々と空間収納が使えないのは不便だけど仕方ないか。
    けど。
    この時彼らを無事安全な場所まで送ることばかりに気をとられ、今回の異変をこのユニークモンスターと安易に思い込んで周囲の探索を怠ったことを、私達は後に後悔する事になる。――が、この時の私はそんな事知る由もなく。
   「原因、狩って来ましたよ」
    と、ギルマスに報告して冒険者としての任務は終了。生徒会役員としての任務に戻り、馬車でEクラスのメンバーと共に宿泊所へと戻った。
    その帰りの馬車の中、
   「いや、流石は黄金級冒険者の戦いっぷりは見応えあったな!」
   「あのグリフィンのアクロバットな飛び方に耐えられるとか、レイフレッド殿は凄いな!」
   「その上剣筋も素晴らしかった!    確かに騎士の剣とは異なるが、とても身軽で繊細で……何より美しかった」
    と、物凄く興奮した男子達からキラキラした目で熱く語られたのは……正直ちょっと鬱陶しかった。
   「でも、こうして誉められるのはちょっと気分良いです。特にこの国で、って辺りが、ね。今なら……あの人も少しは違う感想を持ってくれるのかな?」
    夕飯の後で血の提供のために会ったレイフレッドは少し複雑な顔で言った。
   「あの孤児院の院長さん?    うーん、どうだろうね。ああいう人は個人がどうとかじゃなく、吸血鬼だからって、差別してた人だから。それも普段悪い人どころか良い人なだけに逆に考えを変えるのは難しいと思う」
    ……私だって悔しいしムカつくけど。
   「でも、時間をかけてでも、皆の意識が少しでも変われば違ってくると思うよ」
    だから。私の目標が叶ったら、次はレイフレッドの為に頑張ろうと思うんだ。
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