唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

目指せ勝ち組！～君と歩む花道～

生徒会のお仕事

    生徒会で、本格的に夏合宿のための仕事が始まると、早速今年の日程と行程の予定表が教師陣から回ってくる。
    同時に各クラスから選ばれた実行委員の名前もリストになって上がってきた。
    ちなみにうちのクラスは、私含め上位四席が生徒会役員で実行委員の兼任は不可能なため、今回は王子殿下の婚約者、あの公爵令嬢が務める事になった。
    上の学年のSクラスには王太子殿下とそのお付き、そしてレイフレッドも居る。……当日はとても濃ゆい日々を過ごす事になりそうだ。
    「では、まずは往復時の馬車の乗り分けの班と宿泊施設での部屋分けを各クラスで決めてもらいたい」
    で、今日は実行委員との初顔合わせ。……うん、良かった。ビルもアリスも居ない。聞いたところによるとクラスで立候補したは良いが、満場一致で却下されたそうだ。
    「馬車については、この度シレイド王がお使いになられている馬車とほぼ同等のグレード……内装に使われているブランド品等の格こそ少々異なるものの、乗り心地については変わらぬ、10人乗りの乗り合い馬車仕様の特注馬車を納品いたしております。今後は馬車の手配に頭を悩ます必要はございませんわ」
    「よって、各クラスで10人ごと、3グループに分けて乗って貰う。グループ分けの結果はクラスで話し合った後、リストにして生徒会執行部に提出。これは出発時及び各休憩所と到着時の点呼で使用するものだ。くれぐれも間違いなく提出する事」
   「次いで宿泊施設での部屋分けだが……これはクラスごとに男女比がかなり異なる為、クラス単位で男女を別部屋にするのは難しいため、慣例通り学年混合でランダムに六人ずつ班にする。……とはいえ寝室はそれぞれ個室がある。消灯時間までは共通のリビングか、談話室で過ごしてもらう」
    ざっと施設の部屋割りを見せてもらうと、別格一つ貸し切るようで、本館から別館への渡り廊下の先に談話室と食堂があり、その奥に各部屋が並ぶ。
    各部屋ごとにリビングがあり、そこに繋がる寝室が六部屋。それと同じ仕様の部屋が沢山ある。
    これは……。期間中はまた空間の屋敷を使わないとレイフレッドに血をあげられないやつだ。
    リビングは部屋ごとなので当然男女別だけど、談話室は男女共用らしい。
    「研修中は使用人の同行は不可となっている。一応入浴時の介助等の為の部屋付きが一人ずつ付いているが、それが個人専属の使用人でないことは理解するように」
    つまり、自分で出来る事は自分でやれと。……少なくとも平民の私には当たり前のことだけど、高位のお貴族様には一大事なんだろうね。
    王太子殿下は苦笑いを浮かべながら弟王子を見やる。
    「それと。上位クラスのコテージの部屋割り、これは学年及び男女同室で6人ごとに別れる。こちらは後程各クラスで時間を設けて話し合いの時間が用意される。こちらもリストにして後程生徒会に提出する事」
    「尚、護衛は馬車ごとに一人、冒険者の護衛が付く。宿泊施設には専任の警備の人間が居るが、無断外出などすればその責まで負えぬことを重々承知の上での行動を徹底しろ」
    こうして着々と一つ一つ準備を積み上げていく。
    ……生徒会って、ゲームとかだと凄く綺羅綺羅しく描かれるけど、実際のお仕事なんて結局会議とか事務方仕事とか地味で面倒な事が多い。
    生徒会と部活とで、本来学校が違って会いにくい筈のレイフレッドと、何だかんだで一緒に居る時間が増えて嬉しいからまあ良いけど、そうじゃなかったらホントごめんだわ、って位に忙しいまま、あっという間に名ばかりの夏休みが始まった。