158 / 370
目指せ勝ち組!~君と歩む花道~
チートがバレました
しおりを挟む
「こ、これは……!」
その鑑定結果を目にした先生が絶句しながら何度もそれを見直す。
「魔力量は殿下の倍以上、全属性の上に、今や幻ともされる空間属性を持つだと!?」
そして悲鳴をあげるように彼は叫んだ。
声を張る教師という仕事柄と、この場所柄、その叫びは修練場に響き渡った。
未だに隅の方で先生に諭されていたビルも、課題に取り組んでいたヒロインもこちらに視線を向け、周囲はシン、と静まり返る。
そうか。これまで「クリエイト」に纏められて発覚しなかった空間魔法がバレちゃったか……。
光魔法より遥かに希少な空間魔法の使い手。
「君は……」
「アンリ=カーライルと申します」
「カーライル……。失礼だがご実家は……」
「カーライル商会の会頭が私の父で御座います。母は現職人ギルドシレイド支部のギルドマスターの娘に御座います」
「つまり……平民、だと?」
「はい」
「これだけの能力があるなら養子に欲しいという貴族は多く居るだろう。将来は国に欲しい逸材だな……」
「――お待ち下さい」
「……殿下?」
「先生、今の話はこの場で収め、あまり広めないでいただきたい。父上――つまり国王陛下の意向でその娘を我が国で取り込む事は無い。これは国王陛下の意向であると同時に皇帝陛下のお達しでもある。一部の愚かな貴族の下策で我が国が沈むやもしれぬ危険は犯せぬ。この場に居合わせた者に、第二王子マティスの名に於いて命じる。――この件については以後口外禁止とする」
「――は、」
王子の命令に、皆一斉に膝をついて頭を下げる。
……これで、二回目。
王子が平民に気を回し、何故か国王や皇帝陛下の名前が出る。
……ああ。視線が痛い。しかも今はレイフレッドという癒しも居ないのに!
「――あー、ではあちらで課題を……。ジーク先生、すまんが見てやってくれ」
……その後、私のクラスの子が鑑定を済ませていく。
流石にSクラスだけあって結果は皆優秀と言われていたけれど、私レベルの規格外は――当然ながら居らず。
私たちに課せられた課題というのは適性のある魔道具を使うというもの。
普通の魔道具は、魔力さえ込めれば適性にかかわらず仕込まれた魔法が使えるものだけど、これは教材用に作られた物。
その魔道具の適性に合わせた魔力を意図的に流さないと起動しない魔道具で、起動できるとどの適性の物でも淡く光る――んだけど。
うん、冒険者稼業で既に散々魔法を使ってきたんだから、このくらいは意識せずとも簡単に出来て当然だった。
……Sクラスの鑑定が終わるより早く課題を済ませてしまった。
「君は……魔法を使いなれているようだけど」
「はい、入学前まで冒険者もしていましたので」
「ああ……」
うん、平民では冒険者稼業を副業にする人もいるしね。ちょっとの魔法を使えるくらいならそこまで珍しくないからね。
「では、初級魔法は打てるかい?」
「はい」
初級どころか、最高難度の魔法も使えます――なんて言えないからそこは飲み込んで返事をした。
「では、次の課題へ進もう」
その鑑定結果を目にした先生が絶句しながら何度もそれを見直す。
「魔力量は殿下の倍以上、全属性の上に、今や幻ともされる空間属性を持つだと!?」
そして悲鳴をあげるように彼は叫んだ。
声を張る教師という仕事柄と、この場所柄、その叫びは修練場に響き渡った。
未だに隅の方で先生に諭されていたビルも、課題に取り組んでいたヒロインもこちらに視線を向け、周囲はシン、と静まり返る。
そうか。これまで「クリエイト」に纏められて発覚しなかった空間魔法がバレちゃったか……。
光魔法より遥かに希少な空間魔法の使い手。
「君は……」
「アンリ=カーライルと申します」
「カーライル……。失礼だがご実家は……」
「カーライル商会の会頭が私の父で御座います。母は現職人ギルドシレイド支部のギルドマスターの娘に御座います」
「つまり……平民、だと?」
「はい」
「これだけの能力があるなら養子に欲しいという貴族は多く居るだろう。将来は国に欲しい逸材だな……」
「――お待ち下さい」
「……殿下?」
「先生、今の話はこの場で収め、あまり広めないでいただきたい。父上――つまり国王陛下の意向でその娘を我が国で取り込む事は無い。これは国王陛下の意向であると同時に皇帝陛下のお達しでもある。一部の愚かな貴族の下策で我が国が沈むやもしれぬ危険は犯せぬ。この場に居合わせた者に、第二王子マティスの名に於いて命じる。――この件については以後口外禁止とする」
「――は、」
王子の命令に、皆一斉に膝をついて頭を下げる。
……これで、二回目。
王子が平民に気を回し、何故か国王や皇帝陛下の名前が出る。
……ああ。視線が痛い。しかも今はレイフレッドという癒しも居ないのに!
「――あー、ではあちらで課題を……。ジーク先生、すまんが見てやってくれ」
……その後、私のクラスの子が鑑定を済ませていく。
流石にSクラスだけあって結果は皆優秀と言われていたけれど、私レベルの規格外は――当然ながら居らず。
私たちに課せられた課題というのは適性のある魔道具を使うというもの。
普通の魔道具は、魔力さえ込めれば適性にかかわらず仕込まれた魔法が使えるものだけど、これは教材用に作られた物。
その魔道具の適性に合わせた魔力を意図的に流さないと起動しない魔道具で、起動できるとどの適性の物でも淡く光る――んだけど。
うん、冒険者稼業で既に散々魔法を使ってきたんだから、このくらいは意識せずとも簡単に出来て当然だった。
……Sクラスの鑑定が終わるより早く課題を済ませてしまった。
「君は……魔法を使いなれているようだけど」
「はい、入学前まで冒険者もしていましたので」
「ああ……」
うん、平民では冒険者稼業を副業にする人もいるしね。ちょっとの魔法を使えるくらいならそこまで珍しくないからね。
「では、初級魔法は打てるかい?」
「はい」
初級どころか、最高難度の魔法も使えます――なんて言えないからそこは飲み込んで返事をした。
「では、次の課題へ進もう」
0
お気に入りに追加
1,084
あなたにおすすめの小説
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!
僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~
SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。
ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。
『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』
『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』
そんな感じ。
『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。
隔週日曜日に更新予定。
元英雄でSSSSS級おっさんキャスターは引きこもりニート生活をしたい~生きる道を選んだため学園の魔術講師として駆り出されました~
詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
最強キャスターズギルド『神聖魔術団』所属のSSSSS級キャスターとして魔王を倒し、英雄としてその名を轟かせたアーク・シュテルクストは人付き合いが苦手な理由でその名前を伏せ、レイナード・アーバンクルスとして引きこもりのニート生活を送っていた。
35歳となったある日、団のメンバーの一人に学園の魔術講師をやってみないかと誘われる。働くという概念がなかったアーク改めレイナードは速攻で拒絶するが、最終的には脅されて魔術講師をする羽目に。
数十年ぶりに外の世界に出たレイナード。そして学園の魔術講師となった彼は様々な経験をすることになる。
注)設定の上で相違点がございましたので第41話の文面を少し修正させていただきました。申し訳ございません!
〇物語開始三行目に新たな描写の追加。
〇物語終盤における登場人物の主人公に対する呼び方「おじさん」→「おばさん」に変更。
8/18 HOTランキング1位をいただくことができました!ありがとうございます!
ファンタジー大賞への投票ありがとうございました!
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話
嵐華子
ファンタジー
【旧題】秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ。
【あらすじ】
イケメン魔術師一家の超虚弱体質養女は史上3人目の魔力0人間。
しかし本人はもちろん、通称、魔王と悪魔兄弟(義理家族達)は気にしない。
ついでに魔王と悪魔兄弟は王子達への雷撃も、国王と宰相の頭を燃やしても、凍らせても気にしない。
そんな一家はむしろ互いに愛情過多。
あてられた周りだけ食傷気味。
「でも魔力0だから魔法が使えないって誰が決めたの?」
なんて養女は言う。
今の所、魔法を使った事ないんですけどね。
ただし時々白い獣になって何かしらやらかしている模様。
僕呼びも含めて養女には色々秘密があるけど、令嬢の成長と共に少しずつ明らかになっていく。
一家の望みは表舞台に出る事なく家族でスローライフ……無理じゃないだろうか。
生活にも困らず、むしろ養女はやりたい事をやりたいように、自由に生きているだけで懐が潤いまくり、慰謝料も魔王達がガッポリ回収しては手渡すからか、懐は潤っている。
でもスローなライフは無理っぽい。
__そんなお話。
※お気に入り登録、コメント、その他色々ありがとうございます。
※他サイトでも掲載中。
※1話1600〜2000文字くらいの、下スクロールでサクサク読めるように句読点改行しています。
※主人公は溺愛されまくりですが、一部を除いて恋愛要素は今のところ無い模様。
※サブも含めてタイトルのセンスは壊滅的にありません(自分的にしっくりくるまでちょくちょく変更すると思います)。
【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!
高見南純平
ファンタジー
最弱ヒーラーのララクは、ついに冒険者パーティーを100回も追放されてしまう。しかし、そこで条件を満たしたことによって新スキルが覚醒!そのスキル内容は【今まで追放してきた冒険者のスキルを使えるようになる】というとんでもスキルだった!
ララクは、他人のスキルを組み合わせて超万能最強冒険者へと成り上がっていく!
異世界では巨大な鳥の首に跨りレースをするようです
泣村健汰
ファンタジー
鴻鵠士。
体長3メートルを超える、『鴻鵠』(こうこく)と呼ばれる巨大な鳥の首元に跨り、空を自在に飛び回り、レースで勝つ、と言うこの職業は、皆の憧れの的であり、大衆の大切な娯楽であった。
新人の鴻鵠士ルティカは、相棒の鴻鵠バラクアと共に幾度もレースに挑むが、いつも負けてばかりでいた。
彼女の父親は、その昔彼女の故郷、ルーテジドの星とさえ呼ばれた素晴らしい鴻鵠士、エレリド=ガイゼル。だが彼は、あるレース中の事故をきっかけに、行方不明となる。
父の想いを継ぐべく鴻鵠士になったルティカだったが、父の与えてくれた名を勝利と共に飾る事の出来ぬ日々に悶々としていた。
そんなある日、ルティカは父を貶された事に激怒し、ある条件を賭けた勝負を受けてしまう。
巨大な鳥に跨り空を駆ける鴻鵠士達の世界を描いたストーリー。
鳥の様に自由に、空を飛びたいと思った事はありますか?
※本作品は他サイト、『小説家になろう』様、『カクヨム』様でも掲載しております。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる