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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

選択授業

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    ……ヤバい。まさかただのスクールライフがこんなに疲れるものだったなんて。
    まだ昼を過ぎたばかりだと言うのに、魔物の討伐より疲れてるとかあり得ないでしょ。
    やはり攻略対象は侮れないと、そう痛感させられたよ。
    「では、これからカリキュラムの説明を始めます。最後に選択授業を決めて貰いますから、しっかり聞くように」
    ここ、初等部は名前こそ小学校っぽい響きだけど、授業システムは高校に近い。
    必修科目と、選択科目があって、規定の単位を満たせないと進級できないし、下手すれば退学もあり得る。
    必修科目は平民の通う学校でも教える内容の上級編だけど、選択科目はここの学校ならではの授業だ。
    必修は国語、数学、歴史(国史)、教養。
    国語は平民の学校では普通に読み書きを教えるんだけど、この学校に来るのはそんなものとっくに習得済みの者ばかりだから、まあ良作と言われる作品を読み込み読解力を養い、古典などにも親しむ――といったものになる。
    数学も、四則演算ではなくその応用などを学ぶ。
    図形とか、割合とか……ね。
    歴史は、この学校では表面をなぞるだけでなくより詳細に学ぶ。
    教養は初歩的なマナーや法律などの常識を学ぶ。
    たった四教科だけの必修に比べ、選択科目はが多い。
    音楽や美術、華道や茶道などの教養系科目。
    体育、剣術、体術などの体育系教科。
    地理、世界史、法律、経済などの知識系科目。
    そして魔法理論、魔法実技、魔術具作成といった魔法系教科。
    各分野から最低一つずつ、計三科目は進級の為に単位を確保しなくてはならない。
    時間割りに余裕があるなら好きなだけ選んで良いらしい。
   さて、どうしようか。
   華道や茶道はこれまでとんと縁がなかったし、これから上流階級とのお付き合いも増えるとなれば取っとくべきかな。
    裁縫なんかはチートし過ぎてひんしゅくを買うところまで想像できてしまったけど……。でも、優秀さを知らしめる為に来たんだから、取るべきだろう。
    ……剣術、は――昔師匠にダメ出し食らったし、弓はもう今さら習う事なんかないよね?
    よし、弓術と体術で出す。
    ……この国の法律を学んでも意味無いし、世界史とついでに経済も取っとこう。
    魔法教科は勿論、総ざらい。
    配られたプリントに選んだ科目を書き込み、時間割りに詰められるだけ詰め込んで提出する。
   「はい、ではこれでオリエンテーションを終了します。……後は今月中に所属するクラブを決める様に。今週末のLHRロング・ホームルームは新入生歓迎会です。その席でクラブ紹介があるので参考にして下さい」
    ……はぁ、終わった。疲れた。早く帰ってレイフレッドに癒されたい。
    私は早々に帰途についた。
    だから。
   「アンリ=カーライルは居るか?」
   「いえ、彼女は確かにウチのクラスですけど、もう帰ったみたいですよ。あなたは……」
   「ビル・フォン・ラッセルだ」
   「左様でございますか。明日、彼女にあなたが来たことをお伝えしましょうか?」
   「いや、構わぬ。これは直接言ってやらねばならんのだからな」
    「……左様でございますか」
    ――なんていう事があったなんて、知る由もなかった。
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