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人材育成

一時の別れ

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    商会設立にあたり、お父様との交渉やギルマス通しての手続きアレコレする裏で、改めて商会の社屋を作った。
    本社はいずれ領地となる地にこっそりビルを建てた。
    これは人に頼めないから、チート能力を最大限駆使して自分で作った。
    そして各国にそれぞれ支部を建てた。
    ルクスドには最上階層に改めてアトリエごと移動し、広くなった余りの部屋を改装して事務所にした。
    リフォームはルクスドの職人ギルドに依頼した。
    もう一つ、ドルトムント王国の支所も、新しく土地を買って社屋を建て、支所ごと引っ越し、商業ギルドのドルトムント支部にその旨登録してある。
    マルクニア領内の支部をどこに置くかが一番悩んだけど ……。
    結局帝国帝都に社屋を新しく建てて帝都支部の熊ギルマスに挨拶しといた。
    各社屋の会頭室の続き間には勿論こっそり空間への出入り口を作った。
    そして。
    それらが正式に稼働し始めてしばらく。
     ――とうとうその日はやって来た。
    レイフレッドが初等学校へ入学する日。
    例の皇帝陛下同士のオハナシアイにより、レイフレッドには三国の爵位が与えられることになり、その為貴族も通う初等学校にそれぞれ一年ずつ各国の学校に通うという忙しない予定が課されている。
    ……私は未だに例の婚約に縛られ、あの男と同じ学校に通うことになっていて、レイフレッドが上級学校は私と同じ学校にしか通わないと言い張ったせいもあるんだけど……。
    これから三年間はレイフレッド無しで頑張らないといけないし、私が初等学校に入学してから三年間は私もレイフレッドも無しでも最低限回せるようにしないといけない。
    「……正直不安で不安で仕方ありませんが、コレも将来のためと割りきって行って参ります」
    レイフレッドはまるでお遍路しつつ各所でお百度参りして来いと言われた修行僧のような悟りきった顔をしていた。
    ……私も、レイフレッドが居ないのに各所を巡り歩く気はない。本社を拠点に孤児達を育てつつ、各支所を回って経営体制を確立、安定させるという大事なお仕事があるのだ。
    ――乙女ゲームが始まる本番まであと三年、乙女ゲームのエンディングを迎えるまであと九年。
    乙女ゲームなんて不確定要素さえなければ現状はもう勝ちに限り無く近いとこまで頑張ったけど、それがあるからこそ安全マージンはいくらあっても足りない気がしてしまう。
    だから。
    あのギルマスが言う通り、私も一生懸命畑を耕し種を撒き世話をする。
    将来、最高の実を収穫出来るように、最大限出来る事はやらなくちゃ。
    ……なーんてね。
    ふふふ、私はレイフレッドのパートナーだからね。
    じつはこっそりレイフレッドの下宿先に空間への出入り口を作ったから、毎日夜寝る前に一度彼の部屋へこっそりお邪魔する事は決まっている。
    ――パートナーでいて良かったと、こっそり思った事はレイフレッドにも内緒だ。
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