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念願の旅路で
スイーツな楽園
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妖精の国シルフィアは、その名に相応しく、多くの妖精が集う国。故にか大変自然豊かな国だ。
甘い果実や美しい花がつく草木に綺麗な泉や川。空には美しい羽色の鳥が舞い、この世の楽園とも言うべきファンタジックな光景が珍しくない。
町ですら、絵本の中のおもちゃかお菓子でできたおうちをそっくり持ち出してきたかの様なファンシーな風景が広がるのだ。
「何これ、すっごい甘い……!」
あちこちにたわわに実る色鮮やかな果物たち。
誰でも気軽にもいで食べられる程に豊かに実る色とりどりのそれは、ちょっと水で洗って冷やして食べればそれだけで、そこらの三流パティシエは裸足で逃げ出すくらいに甘くて美味しい。
これは下手に手を加えると逆にせっかくの素材を殺してしまう、まさに菓子職人泣かせの果物だ。
でも、これだけ可愛らしい風景を眺めて、ここでお茶したくなるのは乙女としては当然の欲求で。
「よし、イートインコーナー付の専門店を作ろう」
とはいえケーキの様な菓子の専門店ではない。
「ドライフルーツとジャム。ついでにはちみつと、オリジナルのブレンドティーとフレーバーティーのお店を作りましょう」
お店の装いは、それこそおとぎ話のヒロインに似合いそうな白亜のガーリーかつゴシックなアンティーク風に。
いずれはここを本店にチェーン展開できたら嬉しい。
……ところで、例の卵なんだけど。冒険者ギルドで聞いたけど、彼らが調べても何の卵か判らないらしい。
「んー、魔物の卵なのは間違いねぇけどな、この辺りでよく見る魔物にそんな卵生むやつは居ねぇんだよ」
この辺りの魔物はまたホーンラビットみたいな可愛い見た目の初心者モンスターばかりのようで、ギルドの支部の規模もあまり大きくない。
代わりに特殊な種族魔法を使う妖精達の国らしく、魔術ギルドの支部はかなり大規模だ。
フルーツの生搾りジュースを作るのに便利なミキサーと製氷機を卸したらとても喜ばれた。
「ふふふ、だって私達は妖精だもの、可愛い子は大好きよ♪」
……えー、一応妖精な某ケットシー様にはいぢめられましたが……?
「ふふふ、だって妖精だもの、妖精はイタズラも大好きなのよ♪」
お店でジュースのレシピ集を試しに販売してみたら飛ぶように売れた。
ついでにテイクアウトでジュースそのものを売ったらこれもたちまち人気商品になった。
あまりに人気で、すぐさまジュースだけ別店舗として独立させてチェーン展開する運びになった位だ。
これがたまたまお忍びで遊びにいらしていた妖精女王の目にとまり、数日後お城に呼び出されて「……またですか」とレイフレッドに呆れられましたが。
そこで、女王ティターニアにとある相談を持ちかけられたんだ。
「そなたらに相談があるのじゃ」
その内容は……。
甘い果実や美しい花がつく草木に綺麗な泉や川。空には美しい羽色の鳥が舞い、この世の楽園とも言うべきファンタジックな光景が珍しくない。
町ですら、絵本の中のおもちゃかお菓子でできたおうちをそっくり持ち出してきたかの様なファンシーな風景が広がるのだ。
「何これ、すっごい甘い……!」
あちこちにたわわに実る色鮮やかな果物たち。
誰でも気軽にもいで食べられる程に豊かに実る色とりどりのそれは、ちょっと水で洗って冷やして食べればそれだけで、そこらの三流パティシエは裸足で逃げ出すくらいに甘くて美味しい。
これは下手に手を加えると逆にせっかくの素材を殺してしまう、まさに菓子職人泣かせの果物だ。
でも、これだけ可愛らしい風景を眺めて、ここでお茶したくなるのは乙女としては当然の欲求で。
「よし、イートインコーナー付の専門店を作ろう」
とはいえケーキの様な菓子の専門店ではない。
「ドライフルーツとジャム。ついでにはちみつと、オリジナルのブレンドティーとフレーバーティーのお店を作りましょう」
お店の装いは、それこそおとぎ話のヒロインに似合いそうな白亜のガーリーかつゴシックなアンティーク風に。
いずれはここを本店にチェーン展開できたら嬉しい。
……ところで、例の卵なんだけど。冒険者ギルドで聞いたけど、彼らが調べても何の卵か判らないらしい。
「んー、魔物の卵なのは間違いねぇけどな、この辺りでよく見る魔物にそんな卵生むやつは居ねぇんだよ」
この辺りの魔物はまたホーンラビットみたいな可愛い見た目の初心者モンスターばかりのようで、ギルドの支部の規模もあまり大きくない。
代わりに特殊な種族魔法を使う妖精達の国らしく、魔術ギルドの支部はかなり大規模だ。
フルーツの生搾りジュースを作るのに便利なミキサーと製氷機を卸したらとても喜ばれた。
「ふふふ、だって私達は妖精だもの、可愛い子は大好きよ♪」
……えー、一応妖精な某ケットシー様にはいぢめられましたが……?
「ふふふ、だって妖精だもの、妖精はイタズラも大好きなのよ♪」
お店でジュースのレシピ集を試しに販売してみたら飛ぶように売れた。
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これがたまたまお忍びで遊びにいらしていた妖精女王の目にとまり、数日後お城に呼び出されて「……またですか」とレイフレッドに呆れられましたが。
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