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帰還

望む未来の為に

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    その結果が表示された途端、ざわりと空気がざわめくのがはっきり分かった。
    ……空間魔法とかスキルツリーとか、ヤバイスキルは全部「クリエイト」に纏められやっぱり表示はされなかったから大丈夫……かと思いきや。
    ……あー。そう言えば魔術系統のスキルはよく使うから、軒並み上位互換スキルへと成長していたんだよね。
    ……それに伴って魔法に関連するステータスも凄いことになってる。体力なんかの上がりはまだ微妙だったけど……。
    ついでに職業も。……今年で完全に一人前と認められる十八歳の人達は当然その表示がある。――無いって事はつまり無職ニートってことで。
     でも、この国の一般的な庶民の経済力でニート一人養うのは大変な事で。そんな お荷物は大抵損切りされて放逐される。……そんなご本人の末路は――まあ推して知るべし。……ニホンてイイクニダッタヨネ~。
    うん。で、成人を迎えたばかりの十五歳も大半は見習いと但し書きこそあれ大半は表示あり。表示が無い者も上級学校の学生服を着ていた。
    けど、その下――七歳児で職業表示があったのは冒険者とでた二人だけ。他、見習い職の表示がでた子も自営業のお手伝いをしてる子みたいで……。
    ああ、レイフレッドの呆れのため息の幻聴が聞こえるわ!

    ……神官には何か珍獣でも見るような目で見下ろされながら紙に写した鑑定書を渡され。

    私はお父様に急かされるように馬車へ戻り、屋敷へ連れ帰られた。
    この後は毎年恒例のパーティーが開かれる。
    着替えと簡単な食事を済ませるため部屋へ戻される。

    ……今年の招待客がいつもと変わらないメンバーで助かった。
    そうでなければ私は昨日昇天していたに違いない。
    「でもきっと、来年はもっと大変な事になりますよ。今年だって帰還がこうまでギリギリでなければ情報を掴んだ各ギルドの関係者は目の色を変えて招待状を旦那様に強請ねだったでしょうから」
    ――そんなレイフレッドの突っ込みに結局撃沈させられたけどね。

    パーティーではお祖父様やユリス様に目の色変えて色々と聞かれたもの。
    「ははは、今頃商業ギルドのギルマスはほぞを噛んでるでしょうね」
    「ふふん。職人ギルドのギルマスとして鼻が高いわ」
    と、終始ご機嫌だったわ。

    ああ、でもやっぱりバカ坊ナシだと平和でいいわー。

   ……けど、やっぱりこの一年でお父様も連中の対応に疲れてきたのかもしれない。
    私の事を愛してはくれていると思うけど。
    確実な後継者となる子を得た以上はきっと私よりその子の守護の方が商会としては重要になる。
    でも私がお貴族様にたてつけば、どんな守護も脆く崩れ去るから。

   それに。わざわざ他国まで押し掛けてくるような勢いのバカをずっと相手になさっていたのなら……。
   うん、誰だって嫌になる。
   鬱になったとしても責められないよ。

    まだ時間の猶予はあるはずなのに、もう既に狭まりつつある理不尽の包囲網に、この道の困難さを再認識させられる。

    ……でも。
    私はもう選んだんだから。

    私は、忍ばせていた新たな商品候補を彼らに手渡した。
    望む未来への足掛かりの一つとするために――。
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