10 / 15
玄関と勝手口
しおりを挟む
『――つまり、どーゆーことよ?』
ま、ほぼ字面通りなんだけど。
「つまり、今ここに既に出してる入り口を玄関として固定するのが〈入り口固定〉、その上でもう一個出入り口を作れるのが〈セカンドドア〉。ここに玄関固定しとけば、外出先で出した〈セカンドドア〉でこの空間伝いにいつでもこの場所に戻って来れるって訳」
まぁ、これをすると固定した入り口は常に開きっ放しになるから、こうして小屋や洞窟で入り口が隠せてある程度守れるからこそ可能な方法ではあるけれど。
『つまり、帰り道限定のどこ○もドアが使えるってコト?』
「そゆこと」
セカンドドアの方は私が空間にいても消せるからな。
……空間からはセカンドドアを開く事は出来ないんだけど。
「つまり、対策なしにこの空間の屋敷や小屋を定宿にするのは危険、と……」
並列存在が空間を出られないのはセカンドドアも同じ。
唯一出られるのは……
「しかし、私も強烈な日光の下には出たくありませんからね」
「つまり、最低限のサバイバルの準備は必要だからね、頼むよ」
『了解~♪』
携帯食料に水、武器とポーション、服。テントに魔道具。それらを入れたリュックとウエストポーチ。
「それじゃ、出発しますか」
どっぷり日の暮れた砂漠を歩き出す。
「……本当に、昼の暑さが嘘の様に寒いですね」
「まぁ……。で、ホントについて来る気なの?」
「たまにはお嬢様方のお世話以外の仕事もしませんと」
「そりゃ身体能力の高い吸血鬼族の前衛が居てくれるのはありがたいけど……」
一応武器も使えるけど、魔法と比べたら圧倒的に私は後衛職がやりたい派だ。
ただ、セスは盾役職ではなく盗賊職とか暗殺者ジョブなんだよね。
「それで、どちらへ進まれるので?」
「あー、ここから東……えーと、あのブラックベア座の方角にいるみたい……」
手にした魔道具を見下ろす。
(いや、ドラ○ンボールレーダーかい!)
魔道具担当の作ったそれは、某7つの玉を探して龍に願いを叶えてもらうお話に出てくるアイテムそのものだった。
……そのツッコミは私の並列存在以外誰も理解してくれないので、脳内で密かに突っ込みつつそう答えた。
「では、行きますか」
この砂漠には、目的のサンドワーム以外にもサソリや虫などあまり乙女の目に優しくないモンスターが溢れている。
油断しないよう、私たちは東へと歩き始めた。
「もっと可愛い、ハムスターみたいなモンスターとか居たらいいのに」
しかも、目的は巨大芋虫退治。
「あー、テンションさがるわー」
ま、ほぼ字面通りなんだけど。
「つまり、今ここに既に出してる入り口を玄関として固定するのが〈入り口固定〉、その上でもう一個出入り口を作れるのが〈セカンドドア〉。ここに玄関固定しとけば、外出先で出した〈セカンドドア〉でこの空間伝いにいつでもこの場所に戻って来れるって訳」
まぁ、これをすると固定した入り口は常に開きっ放しになるから、こうして小屋や洞窟で入り口が隠せてある程度守れるからこそ可能な方法ではあるけれど。
『つまり、帰り道限定のどこ○もドアが使えるってコト?』
「そゆこと」
セカンドドアの方は私が空間にいても消せるからな。
……空間からはセカンドドアを開く事は出来ないんだけど。
「つまり、対策なしにこの空間の屋敷や小屋を定宿にするのは危険、と……」
並列存在が空間を出られないのはセカンドドアも同じ。
唯一出られるのは……
「しかし、私も強烈な日光の下には出たくありませんからね」
「つまり、最低限のサバイバルの準備は必要だからね、頼むよ」
『了解~♪』
携帯食料に水、武器とポーション、服。テントに魔道具。それらを入れたリュックとウエストポーチ。
「それじゃ、出発しますか」
どっぷり日の暮れた砂漠を歩き出す。
「……本当に、昼の暑さが嘘の様に寒いですね」
「まぁ……。で、ホントについて来る気なの?」
「たまにはお嬢様方のお世話以外の仕事もしませんと」
「そりゃ身体能力の高い吸血鬼族の前衛が居てくれるのはありがたいけど……」
一応武器も使えるけど、魔法と比べたら圧倒的に私は後衛職がやりたい派だ。
ただ、セスは盾役職ではなく盗賊職とか暗殺者ジョブなんだよね。
「それで、どちらへ進まれるので?」
「あー、ここから東……えーと、あのブラックベア座の方角にいるみたい……」
手にした魔道具を見下ろす。
(いや、ドラ○ンボールレーダーかい!)
魔道具担当の作ったそれは、某7つの玉を探して龍に願いを叶えてもらうお話に出てくるアイテムそのものだった。
……そのツッコミは私の並列存在以外誰も理解してくれないので、脳内で密かに突っ込みつつそう答えた。
「では、行きますか」
この砂漠には、目的のサンドワーム以外にもサソリや虫などあまり乙女の目に優しくないモンスターが溢れている。
油断しないよう、私たちは東へと歩き始めた。
「もっと可愛い、ハムスターみたいなモンスターとか居たらいいのに」
しかも、目的は巨大芋虫退治。
「あー、テンションさがるわー」
0
お気に入りに追加
194
あなたにおすすめの小説
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
公爵令嬢は薬師を目指す~悪役令嬢ってなんですの?~【短編版】
ゆうの
ファンタジー
公爵令嬢、ミネルヴァ・メディシスは時折夢に見る。「治癒の神力を授かることができなかった落ちこぼれのミネルヴァ・メディシス」が、婚約者である第一王子殿下と恋に落ちた男爵令嬢に毒を盛り、断罪される夢を。
――しかし、夢から覚めたミネルヴァは、そのたびに、思うのだ。「医者の家系《メディシス》に生まれた自分がよりによって誰かに毒を盛るなんて真似をするはずがないのに」と。
これは、「治癒の神力」を授かれなかったミネルヴァが、それでもメディシスの人間たろうと努力した、その先の話。
※ 様子見で(一応)短編として投稿します。反響次第では長編化しようかと(「その後」を含めて書きたいエピソードは山ほどある)。
破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。
大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。
ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。
主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。
マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。
しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。
主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。
これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。
転生者の取り巻き令嬢は無自覚に無双する
山本いとう
ファンタジー
異世界へと転生してきた悪役令嬢の取り巻き令嬢マリアは、辺境にある伯爵領で、世界を支配しているのは武力だと気付き、生き残るためのトレーニングの開発を始める。
やがて人智を超え始めるマリア式トレーニング。
人外の力を手に入れるモールド伯爵領の面々。
当然、武力だけが全てではない貴族世界とはギャップがある訳で…。
脳筋猫かぶり取り巻き令嬢に、王国中が振り回される時は近い。
生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)
田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ?
コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。
(あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw)
台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。
読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。
(カクヨムにも投稿しております)
知らない異世界を生き抜く方法
明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。
なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。
そんな状況で生き抜く方法は?
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる