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第七章 元凶様がやって来た

まさかの縁

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 「お、おっ、おま……ど、どうして……!」

 突然どもりだした王孫子様。

 「ふん、久しいな」

 ぎりぎりと歯を食いしばり、拳を力一杯握りしめ、全身ふるふる震わせて……

 「どうしてっ、叔父上がこんな所に!」


 ――ん? 叔父上、だと?

 「どうして? そりゃ俺がここのダンジョンマスターだからさ。ククッ、俺の栄養源になってくれて有難うな? 言いたくないが一応礼儀だ、ありがたく受け取れ」

 「なっ! こ、このダンジョンが……叔父上の? ならこのダンジョンは我が王家の……!」

 「――物にはならないからな? 相変わらず勉強が遅れているようだな」

 「そ、そんな事は……! そもそも継承権を放棄した叔父上には関係無きこと……!」

 「悪いが。俺は確かに、あの国で王になる権利を手放した。必要なかったからな。王になるメリットが見いだせなかったから。
 だが、祖国を――そこに暮らす民がどうでも良いと思ったことはないぞ?
 愚王が立てば民は苦難の時代を生きなければならなくなる。
 勉強もしていない王など傀儡愚王になる道しかあるまい?」

 「……ダンジョンに囚われすでに我が国に何の貢献も出来なくなった方が……良く言いますね」

 「そうだな。お前がじきに王になると思えば憂いは晴れぬが、今の俺はこのダンジョンを維持・管理する者。故にその秩序を乱そうとする者を放置するわけにはいかないんだ」

 「ははっ、つまりここで暴れればそれだけ叔父上を困らせられるって事だよな! 良いこと聞いた!」

 「やはりお前はそう来るか」

 ヴォルティスは深くため息を吐き。

 「ならば覚悟すると良い。ここはダンジョンだ。本来命を落とそうと自己責任と言われる場所だ。このリゾートエリアに限って基本は安全を保証しているが、困った客に対しては毅然と対応し、お客様の安全に配慮している。問題を起こせばその時点で本来のダンジョンルールが復活する。……生きて出られると良いな?」

 そして。場の景色が入れ替わる。

 「なっ!」

 「せっかく整えたビーチが荒らされたらたまらんからな。場所替えだ。俺はダンジョンマスターだ。ダンジョンの力は俺の力、俺の力はダンジョンの力だ」

 シンの主だったあいつと戦った頃のショボいダンジョンでは俺の足かせにしかならなかったが、あの女がテコ入れした今のダンジョンは俺の力として機能する。アイツの血もたっぷり吸わせて貰った。

 このコンディションでこの甘タレ坊主に負けたらとんだ無能の烙印を押される。赤っ恥程度じゃ済まない。今すぐ死にたくなる屈辱だ。

 さぁ、始めようか?
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