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第五章 進むリゾート計画
テーマパーク
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あれからしばらく。
最初のお客となった冒険者さん達が口コミを広げてくれたお陰で、すぐに数組新しいお客さんが来た。
そのお客様も満足してお帰りになり、さらに口コミを広げてくれた様で、あっという間にお客様の入りが増えた。
お陰で私とヴォルティスが必死にコアに魔力を注ぎ続けずとも、通常ダンジョンはゆっくりとしたペースながら、自動で成長を始めていた。
――しかし、だ。
「今はまだ目新しさがあるから、どんどん新規のお客様が来るけど、肝心要はこの新規のお客様からどれだけリピート客を増やせるか。これに限るわ」
ブームの真っ最中は人が押し寄せても、ブームが去った後は一気に廃れて無くなってしまう物も少なくはないのだ。
あの世界的大手のテーマパーク、ネズミの国でさえ、リピート客を捕まえるのに日々あれこれ知恵を絞っているのだ。
それを、経営なんてド素人な小娘の経営するリゾートなんて、私がちょっとでも努力を怠れば、すぐに元の木阿弥になる。
「そう、スキーや海も良いけど。そっちはスポーツリゾートでもう少し泳ぎ方や滑り方を覚えた人が増えてからじゃないとね、危ないし」
通常ダンジョン内での怪我や人死には、申し訳ないけどこの世界では自己責任なのが当たり前だ。
それはこのガルディアダンジョンでも変わらない。
入口の看板にもそう注意書きがしてある。
だけど、「安全」を謳うリゾートエリアは違う。
余程当人の自業自得な事案でない限り、事故が起これば、リゾートなんて人気商売なんだから、あっという間に人が遠ざかる。
実際の事でなくとも、風評被害ってモノもあるからね。
「だから、安全に遊べるリゾート、テーマパークを作るわよ!」
しかし、だ。
ネズミの楽園は勿論、映画、玩具、外国文化……。
“テーマ”パークと言うからには何か象徴は必要であろう。
それを何にするか。
まずその大前提こそ問題だ。
何しろ私はこの世界の事をまだ殆ど知らないのだから!
しかし、この世界に映画などあるはずもなく。
演劇などは貴族の嗜み。
せいぜいが娯楽小説だろうが、それとて貴族、あるいは裕福な商家の関係者の嗜みだろう。
しかし、だ。
「なければ、作ればいいんじゃない?」
その為には文章を書くのが得意なものと、可能なら絵を書くのが得意な者も欲しいところ。
そこで、宿屋等に求人の張り紙をしてみた。
勿論、シンくんに近隣の村や町にばら撒いて貰うのも忘れてはいない。
人が集まるまでに、私は原案を絞り出すのに必死に自らの記憶をフル回転させるのだった。
最初のお客となった冒険者さん達が口コミを広げてくれたお陰で、すぐに数組新しいお客さんが来た。
そのお客様も満足してお帰りになり、さらに口コミを広げてくれた様で、あっという間にお客様の入りが増えた。
お陰で私とヴォルティスが必死にコアに魔力を注ぎ続けずとも、通常ダンジョンはゆっくりとしたペースながら、自動で成長を始めていた。
――しかし、だ。
「今はまだ目新しさがあるから、どんどん新規のお客様が来るけど、肝心要はこの新規のお客様からどれだけリピート客を増やせるか。これに限るわ」
ブームの真っ最中は人が押し寄せても、ブームが去った後は一気に廃れて無くなってしまう物も少なくはないのだ。
あの世界的大手のテーマパーク、ネズミの国でさえ、リピート客を捕まえるのに日々あれこれ知恵を絞っているのだ。
それを、経営なんてド素人な小娘の経営するリゾートなんて、私がちょっとでも努力を怠れば、すぐに元の木阿弥になる。
「そう、スキーや海も良いけど。そっちはスポーツリゾートでもう少し泳ぎ方や滑り方を覚えた人が増えてからじゃないとね、危ないし」
通常ダンジョン内での怪我や人死には、申し訳ないけどこの世界では自己責任なのが当たり前だ。
それはこのガルディアダンジョンでも変わらない。
入口の看板にもそう注意書きがしてある。
だけど、「安全」を謳うリゾートエリアは違う。
余程当人の自業自得な事案でない限り、事故が起これば、リゾートなんて人気商売なんだから、あっという間に人が遠ざかる。
実際の事でなくとも、風評被害ってモノもあるからね。
「だから、安全に遊べるリゾート、テーマパークを作るわよ!」
しかし、だ。
ネズミの楽園は勿論、映画、玩具、外国文化……。
“テーマ”パークと言うからには何か象徴は必要であろう。
それを何にするか。
まずその大前提こそ問題だ。
何しろ私はこの世界の事をまだ殆ど知らないのだから!
しかし、この世界に映画などあるはずもなく。
演劇などは貴族の嗜み。
せいぜいが娯楽小説だろうが、それとて貴族、あるいは裕福な商家の関係者の嗜みだろう。
しかし、だ。
「なければ、作ればいいんじゃない?」
その為には文章を書くのが得意なものと、可能なら絵を書くのが得意な者も欲しいところ。
そこで、宿屋等に求人の張り紙をしてみた。
勿論、シンくんに近隣の村や町にばら撒いて貰うのも忘れてはいない。
人が集まるまでに、私は原案を絞り出すのに必死に自らの記憶をフル回転させるのだった。
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