ダンジョン・ホテルへようこそ！ ダンジョンマスターとリゾート経営に乗り出します！

第三章 リゾートを作ろう！

まずは無難に

　ビーチ遊び含め海の遊びはまだ早い。

　スキーも考えてみればインストラクター無しに初心者ばかりが滑るとなると危険だし。

　京都の様に黙ってても人の来る歴史的建造物や文化なんてものは勿論無いし、北海道の様に特別美味しい物があるわけでもない。

　いや、美味しい食事は用意してますがね、特産品と呼べる食材はまだ無いですから。

　と、なると……だ。

　「なら、無難に誰でもできるレクリエーションを……か」

　私が閃いたのは。
　前世で、スポーツゲームが出来るとあるお店。

　本気でサッカーやらバスケやらをプレイするのではなく。

　動くバスケットゴールに玉を入れて点数を競ったり。

　サッカーやテニスなど、特定の場所をボールで狙い、点数を競うとか。

　そんなゲームのできるお店があった。

　「よし、あれをめざそう。ついでに本来どういうルールの競技なのか分かってもらうために、ダンジョンでチーム作ってスタジアム作って、観戦して貰うのも良いな。スタジアムで軽食とつまみと酒を売れば更に儲かりそうだし」

　方向性が決まれば、後は――魔力を貯めるだけ。いや、もう一つあったね。

　「へぇ、バスケって中々面白そうだな」
　「いえ、バスケも面白いですけどテニスの方が……」
　「いや、野球でしょ」

　テイム済の魔物たちに私が指導しているのを見た、ヴォルティス、サナ、シンくんの感想。

　よし、感触は悪くない。

　それにスポーツで疲れた体にはお宿の温泉が染みるに違いない。例え元気で若い人達でもね。

　そして、施設の設計や魔物たちへの指導が基本的なことから戦術的なものに変わりつつある頃。

　「よし、魔力が貯まったわね。明日にも新しい層を作るわよ」

　あの万能具合なら、最初のイメージがしっかりしてれば苦労要らずで全てが整うはず。

　「じゃ、始めるわよ」
　こないだと同じように、コアに魔力を流していく。

　既に一度やってるから、今回はそんなに緊張も困惑も無い。おかげでイメージの方に集中出来た。

　「はぁー、相変わらず凄いですねぇ……」

　東京ドームを参考にした野球場に、さいたまスーパーアリーナを参考にしたサッカー場。
　代々木体育館を参考にした、バスケットコート。
　テニスコートも勿論ある。

　そしてスポーツゲーム施設も。

　ふふふ、本当にダンジョンてすごい。

　素人知識のイメージでも、きちんと電子機器が魔力的な物に変換されて、問題なく使える。

　魔力は搾り取られるんだけど……ね。

　試しにストラックアウトを、プレイしてみる。

　「……下手くそじゃね、お前」
　３球投げて何とか１球当たる、そんな様を見てヴォルティスが突っ込んだ。

　「分かってるわよ。私があまりこういうの得意じゃない事は」

　しかし、これで動作テストは終了した。

　と、なれば――