ダンジョン・ホテルへようこそ！ ダンジョンマスターとリゾート経営に乗り出します！

第三章 リゾートを作ろう！

養鶏始めました

　「ゴゲー！　ゴッゴッゴッ！」

　……あれー、これって鶏、なの？

　いや異世界なんだしまんま、鶏と言って日本人がまず思い浮かべる、白い身体に赤い鶏冠の白レグホンが出て来るとは流石に思ってはいませんでしたが……。

　何やら機嫌の悪そうな声をあげる、荷台に積まれた檻いっぱいの鶏たち。

　その姿が……やけに大きい。
　いや、育ちきった白レグホンの雄鶏がそれなりに大きくなる事は知っていた。

　かつて通っていた小学校で、うさぎと鶏を飼ってたからね。
　……飼育当番、鶏の係は不人気だったなぁ、雄鶏って結構気が荒くて、うっかりしてると突かれまくるんだよねぇ……。

　――けど、それにしたって、ねぇ？

　大型犬並みの大きさがある、とか。
　鶏のものとは思えない、ワシとか鷹みたいな猛禽類の様な嘴による突っつき攻撃も怖いが、鉤爪つきの足による蹴りも侮れない。

　魔物じゃないと言うけど、コレもう猛獣――いや猛禽か、そう言う類の生き物だよね！　

　小学校の飼育当番も生傷作るリスクと常に隣り合わせだったけど、コイツら小学生程度は軽く捻れそうなんだけど！

　自分で頼んどいて何だけど、これ、私に面倒見切れるの……？

　「鶏の、世話なら……この程度の数なら私でも面倒見られますよ」

　と、サナは言うんだけど、その体格から不安になる。
　手伝いのゴブリンは一応魔物なのに、鶏相手に負けそうにしか見えないし。

　だけど、サナは鶏の餌となる穀物の束を手に、
　「ほら、ついておいで」
　と鶏達に命じる。

　すると、嘘みたいに鶏達はサナに従い歩き出した。

　ああ、鶏舎と運動のためのちょっとした広場は、シンが出掛けている間に作りましたよ！

　……ただ、広めに作ったはずのそれが、予想外の住人のデカさで少々手狭になってしまっている様で……、これは早急に建て増ししないといけないなぁ。

　まぁ、だけどこれで私はようやく卵ご飯が食べられる訳だ。

　……迷宮ドロップの卵じゃ怖くて火を通さなきゃ食べられなかったからね！
　念願の生卵！

　いただきます！

　うんうん、うまうま。黄身が大変濃厚で美味しい卵です。惜しむらくは調味料が醤油ではなく塩と言う事だろうか。

　あー、ラーメン屋の煮卵も食べたい。
　いずれ何とかして日本の調味料を手に入れてやる……！


　「卵を生で食べるなんて頭オカシイと思ってましたけど……、意外にも美味いですね」
　「そうだな。この半熟の……温泉卵と言ったか？　これも美味いな」

　「朝採れの卵でないと生卵はたべられませんからね。私はたまに食べる機会もありましたが、この温泉卵という調理法は初めて知りました。生卵とはまた違う……あっさりしているのに濃厚なんて、不思議な食べ物です」

　卵はどうやら皆にウケた様で、何よりですね。