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第十二章

大改革計画

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 「現当主の爵位は即没収、君への襲爵は学校卒業直後、僕との婚姻と同時に行うそうだよ。ちなみにそれまでの一年程は王家の監視員を置きつつこれまで通りに。……っても、僕とあの執事さんがそれだから、実務的には結局何も変わらないんだけどね」

 そう、色々面倒な手続きやら書類仕事はあるけど、これで厄介極まる目の上のたんこぶが無くなるのだ。
 まだ当分の間は彼らをしばらくの塩漬けを余儀なくされていた事業が、早速来年から始められる。

 それを思えばちょっと面倒なだけの仕事くらい黙ってやりますとも。

 まぁ、その手続きやらフードコート&ドリンクバー事業関連の仕事で夏休みはほぼ吹っ飛ぶ事が既に確定してしまったんだけど。

 でものそのおかげで、翌年にはチーズが大流行した。
 酒のツマミには勿論、子供のおやつにも、おかずにもなるチーズは老若男女問わず好評で、かつ庶民的なお値段な為、貧富の差も問わず浸透したおかげもある。

 そのせい、と言うかお陰と言うべきか……。
 当初は却下した“牛の島”計画を進めなければ酪農家が足りない事態が現実味を帯びてきてしまったのだ。

 「うん、こうなったらさ。牛の島だけじゃなく鳥とか豚とか他の家畜の島、それに野菜の島と果物の島も作ろう。これまで個人でやってた農家を専門別に統合して会社化して、ブラック労働無しにしよう、そうしよう」

 生き物を扱うから、と言う理由で年中無休もやむなし当然だった農家も、人手を増やしてシフト制にすれば、仕事は年中無休でも個人では週休二日制にも出来る。

 日本と違ってそれを阻む面倒な法律もないしね。

 「で、島の周回連絡船も増便しよう。あと動物と人、両方の医療制度も見直そう」
 幸い、まだ在学中。それに役立ちそうな知識を持つ教師も書物も豊富。

 でも。
 「あれ、こないだ専門に絞らないとって考えたばかりだったのにな?」
 「別に単位が要らないなら試験のない聴講生するのも良いんじゃない?」
 「成る程」
 しかし聴講生と言えども普段の課題や小テストはある。
 「……これから忙しくなりそう」

 増えた雑事に、新たな事業に、学校に。
 「出来るだけ僕もフォローするから」

 「ええ、お願い。グレストも。私一人じゃ確実にコケるから」

 こうして新たな計画作りが開始され。

 あっという間にまた冬が来る。
 その間に王都の伯爵邸は売りに出され、私が学校に通うために借り上げていた物件が正式に伯爵邸とされ。
 爵位を取り上げられた祖父母と両親は王領の僻地で労働に勤しむ事となり。

 ……流石にまだ物事つくかつかないかといった年頃の妹は他所へ養子に出されるだけで済み、貴族籍に留まった。
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