103 / 159
第十章
冬休みの予定は?
しおりを挟む
「あー、終わったー! スッキリしたー!」
夏の暑さが嘘の様に、厚着をしなければ寒い季節がやって来た。……って言っても島の気候に比べればこの王都の冬はまだ暖かい方だと思う。
「元気だね……」
ノアは呆れた顔をするけれど、風の子から程遠いキャラのグレストも平気な顔をしてるじゃないか。風の子代表アクアがここに居れば、半袖のまま駆け回りかねない。
そう言うと彼は「分かった、早々に寒さに慣れないといけないんだね」と笑顔を浮かべた。
「諦めて下さればそんな必要もなく暖かい大陸に居られますよ?」
「いやいや、ちょっと寒いの我慢しなくて良い代償が大き過ぎるから。諦めるくらいなら指の霜焼けくらい我慢するし」
「そこは霜焼けになる前に手袋しなさいよ」
こんな風にお気楽にお喋りしていられるのは、期末試験の結果が上々だったから。
……大半の教科でトップ5に入る二人には負けるけど、一応張り出された順位表の中に名前が入る程度には良かったからね。
あれ、上位者しか張り出されないんだよ。
補習+追試メンバーを除けば。
ちょっと向こうでどんよりしてる子達は冬休みが吹き飛んだ子達かな……、ご愁傷様としか言えないけど。
「それで。冬休みは何をしようかしら?」
一ヶ月半近くあった夏休みと違って、冬休みは二週間足らず。
「アクアの宿題の進み具合の確認と、新たな宿題を置いてくるのに一度は島へ戻りたいです。流石に大晦日の大掃除と正月は実家を手伝わなきゃならないんで、その辺りで」
「そうね。私も伯爵家の諸々は使用人に任せれば良いけど、精霊のご機嫌伺いは欠かせないから、正月前後で四泊の予定で帰るわ」
「船、ご一緒させて下さい」
「勿論よ」
「それ、僕も良いかい? あ、ちゃんと往復の船代は出すからさ。勿論宿泊費も」
「それは当たり前では? ……僕も、お嬢様と乗る事で料金を安く抑えてはいますがお金はちゃんと出してるんですよ」
それと。
「帰省の予定はそれで良いとして。それ以外はどうする? 商品開発に集中するにはちょっと足りないし」
「いえ、確かに完成させるには少し足りないですが、今期のお嬢様の課題を叩き台に初期段階まで進めれば、次の春休みには形になりますよ。春休みも短いですが、そこにイベントを詰めればやれます」
「え、あれ? あれを本当にやるの? 実践じゃなく課題だからって地に足の着いてない計画とかもあったのに」
「むしろだからこそ良いアイデアが出たのでは? 煮詰める必要は勿論ありますが、発想としては面白かったですよ。流石お嬢様です」
グレストが、有無を言わさぬ笑みで言い切った。
あ、これもうブレーキ効かないわ。
……仕方ない、諦めるか。
夏の暑さが嘘の様に、厚着をしなければ寒い季節がやって来た。……って言っても島の気候に比べればこの王都の冬はまだ暖かい方だと思う。
「元気だね……」
ノアは呆れた顔をするけれど、風の子から程遠いキャラのグレストも平気な顔をしてるじゃないか。風の子代表アクアがここに居れば、半袖のまま駆け回りかねない。
そう言うと彼は「分かった、早々に寒さに慣れないといけないんだね」と笑顔を浮かべた。
「諦めて下さればそんな必要もなく暖かい大陸に居られますよ?」
「いやいや、ちょっと寒いの我慢しなくて良い代償が大き過ぎるから。諦めるくらいなら指の霜焼けくらい我慢するし」
「そこは霜焼けになる前に手袋しなさいよ」
こんな風にお気楽にお喋りしていられるのは、期末試験の結果が上々だったから。
……大半の教科でトップ5に入る二人には負けるけど、一応張り出された順位表の中に名前が入る程度には良かったからね。
あれ、上位者しか張り出されないんだよ。
補習+追試メンバーを除けば。
ちょっと向こうでどんよりしてる子達は冬休みが吹き飛んだ子達かな……、ご愁傷様としか言えないけど。
「それで。冬休みは何をしようかしら?」
一ヶ月半近くあった夏休みと違って、冬休みは二週間足らず。
「アクアの宿題の進み具合の確認と、新たな宿題を置いてくるのに一度は島へ戻りたいです。流石に大晦日の大掃除と正月は実家を手伝わなきゃならないんで、その辺りで」
「そうね。私も伯爵家の諸々は使用人に任せれば良いけど、精霊のご機嫌伺いは欠かせないから、正月前後で四泊の予定で帰るわ」
「船、ご一緒させて下さい」
「勿論よ」
「それ、僕も良いかい? あ、ちゃんと往復の船代は出すからさ。勿論宿泊費も」
「それは当たり前では? ……僕も、お嬢様と乗る事で料金を安く抑えてはいますがお金はちゃんと出してるんですよ」
それと。
「帰省の予定はそれで良いとして。それ以外はどうする? 商品開発に集中するにはちょっと足りないし」
「いえ、確かに完成させるには少し足りないですが、今期のお嬢様の課題を叩き台に初期段階まで進めれば、次の春休みには形になりますよ。春休みも短いですが、そこにイベントを詰めればやれます」
「え、あれ? あれを本当にやるの? 実践じゃなく課題だからって地に足の着いてない計画とかもあったのに」
「むしろだからこそ良いアイデアが出たのでは? 煮詰める必要は勿論ありますが、発想としては面白かったですよ。流石お嬢様です」
グレストが、有無を言わさぬ笑みで言い切った。
あ、これもうブレーキ効かないわ。
……仕方ない、諦めるか。
0
お気に入りに追加
401
あなたにおすすめの小説
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。
彩世幻夜
ファンタジー
※ 2019年ファンタジー小説大賞 148 位! 読者の皆様、ありがとうございました!
裕福な商家の生まれながら身分は平民の悪役令嬢に転生したアンリが、ユニークスキル「クリエイト」を駆使してシナリオ改変に挑む、恋と冒険から始まる成り上がりの物語。
※2019年10月23日 完結
処刑された悪役令嬢は、時を遡り復讐する。
しげむろ ゆうき
恋愛
「このバイオレットなる者は王太子であるフェルトの婚約者でありながら、そこにいるミーア・アバズン男爵令嬢や隣国の王太子にロールアウト王国が禁止している毒薬を使って殺害しようとしたのだ。これは我が王家に対する最大の裏切り行為である。よって、これより大罪人バイオレットの死刑執行を行う」
そして、私は断頭台で首をはねられたはずだった
しかし、気づいたら私は殿下の婚約者候補だった時間まで時を遡っていたのだった……
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
異世界で料理を振る舞ったら何故か巫女認定されましたけども~人生最大のモテ期到来中~
九日
ファンタジー
女神すら想定外の事故で命を落としてしまったえみ。
死か転生か選ばせてもらい、異世界へと転生を果たす。
が、そこは日本と比べてはるかに食レベルの低い世界だった。
食べることが大好きなえみは耐えられる訳もなく、自分が食レベルを上げることを心に決める。
美味しいご飯が食べたいだけなのに、何故か自分の思っていることとは違う方向へ事態は動いていってしまって……
何の変哲もない元女子大生の食レベル向上奮闘記――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる