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第十章
冬休みの予定は?
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「あー、終わったー! スッキリしたー!」
夏の暑さが嘘の様に、厚着をしなければ寒い季節がやって来た。……って言っても島の気候に比べればこの王都の冬はまだ暖かい方だと思う。
「元気だね……」
ノアは呆れた顔をするけれど、風の子から程遠いキャラのグレストも平気な顔をしてるじゃないか。風の子代表アクアがここに居れば、半袖のまま駆け回りかねない。
そう言うと彼は「分かった、早々に寒さに慣れないといけないんだね」と笑顔を浮かべた。
「諦めて下さればそんな必要もなく暖かい大陸に居られますよ?」
「いやいや、ちょっと寒いの我慢しなくて良い代償が大き過ぎるから。諦めるくらいなら指の霜焼けくらい我慢するし」
「そこは霜焼けになる前に手袋しなさいよ」
こんな風にお気楽にお喋りしていられるのは、期末試験の結果が上々だったから。
……大半の教科でトップ5に入る二人には負けるけど、一応張り出された順位表の中に名前が入る程度には良かったからね。
あれ、上位者しか張り出されないんだよ。
補習+追試メンバーを除けば。
ちょっと向こうでどんよりしてる子達は冬休みが吹き飛んだ子達かな……、ご愁傷様としか言えないけど。
「それで。冬休みは何をしようかしら?」
一ヶ月半近くあった夏休みと違って、冬休みは二週間足らず。
「アクアの宿題の進み具合の確認と、新たな宿題を置いてくるのに一度は島へ戻りたいです。流石に大晦日の大掃除と正月は実家を手伝わなきゃならないんで、その辺りで」
「そうね。私も伯爵家の諸々は使用人に任せれば良いけど、精霊のご機嫌伺いは欠かせないから、正月前後で四泊の予定で帰るわ」
「船、ご一緒させて下さい」
「勿論よ」
「それ、僕も良いかい? あ、ちゃんと往復の船代は出すからさ。勿論宿泊費も」
「それは当たり前では? ……僕も、お嬢様と乗る事で料金を安く抑えてはいますがお金はちゃんと出してるんですよ」
それと。
「帰省の予定はそれで良いとして。それ以外はどうする? 商品開発に集中するにはちょっと足りないし」
「いえ、確かに完成させるには少し足りないですが、今期のお嬢様の課題を叩き台に初期段階まで進めれば、次の春休みには形になりますよ。春休みも短いですが、そこにイベントを詰めればやれます」
「え、あれ? あれを本当にやるの? 実践じゃなく課題だからって地に足の着いてない計画とかもあったのに」
「むしろだからこそ良いアイデアが出たのでは? 煮詰める必要は勿論ありますが、発想としては面白かったですよ。流石お嬢様です」
グレストが、有無を言わさぬ笑みで言い切った。
あ、これもうブレーキ効かないわ。
……仕方ない、諦めるか。
夏の暑さが嘘の様に、厚着をしなければ寒い季節がやって来た。……って言っても島の気候に比べればこの王都の冬はまだ暖かい方だと思う。
「元気だね……」
ノアは呆れた顔をするけれど、風の子から程遠いキャラのグレストも平気な顔をしてるじゃないか。風の子代表アクアがここに居れば、半袖のまま駆け回りかねない。
そう言うと彼は「分かった、早々に寒さに慣れないといけないんだね」と笑顔を浮かべた。
「諦めて下さればそんな必要もなく暖かい大陸に居られますよ?」
「いやいや、ちょっと寒いの我慢しなくて良い代償が大き過ぎるから。諦めるくらいなら指の霜焼けくらい我慢するし」
「そこは霜焼けになる前に手袋しなさいよ」
こんな風にお気楽にお喋りしていられるのは、期末試験の結果が上々だったから。
……大半の教科でトップ5に入る二人には負けるけど、一応張り出された順位表の中に名前が入る程度には良かったからね。
あれ、上位者しか張り出されないんだよ。
補習+追試メンバーを除けば。
ちょっと向こうでどんよりしてる子達は冬休みが吹き飛んだ子達かな……、ご愁傷様としか言えないけど。
「それで。冬休みは何をしようかしら?」
一ヶ月半近くあった夏休みと違って、冬休みは二週間足らず。
「アクアの宿題の進み具合の確認と、新たな宿題を置いてくるのに一度は島へ戻りたいです。流石に大晦日の大掃除と正月は実家を手伝わなきゃならないんで、その辺りで」
「そうね。私も伯爵家の諸々は使用人に任せれば良いけど、精霊のご機嫌伺いは欠かせないから、正月前後で四泊の予定で帰るわ」
「船、ご一緒させて下さい」
「勿論よ」
「それ、僕も良いかい? あ、ちゃんと往復の船代は出すからさ。勿論宿泊費も」
「それは当たり前では? ……僕も、お嬢様と乗る事で料金を安く抑えてはいますがお金はちゃんと出してるんですよ」
それと。
「帰省の予定はそれで良いとして。それ以外はどうする? 商品開発に集中するにはちょっと足りないし」
「いえ、確かに完成させるには少し足りないですが、今期のお嬢様の課題を叩き台に初期段階まで進めれば、次の春休みには形になりますよ。春休みも短いですが、そこにイベントを詰めればやれます」
「え、あれ? あれを本当にやるの? 実践じゃなく課題だからって地に足の着いてない計画とかもあったのに」
「むしろだからこそ良いアイデアが出たのでは? 煮詰める必要は勿論ありますが、発想としては面白かったですよ。流石お嬢様です」
グレストが、有無を言わさぬ笑みで言い切った。
あ、これもうブレーキ効かないわ。
……仕方ない、諦めるか。
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