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第十章

フードフェスティバル

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 「しっかし、お前はよくこういうのを思いつくよなー」
 「あ、あはは……」

 ここは島の中でも主要な、結構な広さを誇る公園の広場。
 そこに幾つも仮設の屋台が並ぶ。
 広場の中央には飲食に使えるようにテーブルとベンチをズラリと並べ。

 「それでは皆さん、第5回フードフェスティバルを開催します! 本日のテーマはタピオカ料理! これまで飲み物の具やスイーツとして食べられて来たタピオカを、料理にして食べようと言うこの企画、気に入ったメニューがございましたら是非投票をお願いします!」

 そう、かつて日本ではラーメンフェスとかB級グルメフェスとか肉フェスとか、各種フードフェスが行われ、時にはテレビのニュースでその様子が報道されたりもしていた。

 先日プロにお願いして完成させた基本レシピは、島の各店舗に流し、基本のレシピにもうひと工夫加えた各店舗独自のメニューを開発・販売して貰い――そして、このフードフェスティバルで人気だったメニューを大陸に持ち込むのだ。

 これはかつてスイーツタピオカやナタデココの際にもほぼ同様のプロセスを踏んでいる。ただ、タピオカもナタデココもスイーツ食材だったから、今回とはお願いした飲食店のジャンルが違う。

 「狭い部屋の中で、限られた人達の独断で出来たメニューだからね。勿論プロの手が入ってるんだから美味しいは美味しいけど。それがどこまで万人受けするものか。……大陸に比べれば小規模だけど、ここで一旦大衆のジャッジを受けてからのメニューなら、少なくとも大失敗はしないはず」

 ちなみに前者の食材がどうなったかは言うまでもなく。

 「あ、これうめー。スープの具に合うとは言ったけど、これもうリゾットみてぇだな。で、米よりカロリー高いんだっけ? キャッサバに興味持ってた奴にこれ食わせたら飛びつきそうだけどな」

 そして、来場者の審判の結果が発表される。
 自由記入のアンケートには貴重な感想が書かれているものもあり、それを参考に更に磨き上げたレシピを持って、私達は夏休みの終わりに大陸へと再び戻るのだ。

 「そうか、そろそろ夏休みも終わりか」
 ……アクアなんかそれを残念がりそうなのに、何故か妙に嬉しそうだ。
 「ふふふ、僕が大陸の学校へ戻るからと言って勉強からは逃しませんよ。課題を置いていきますから、冬休みまでに終わらせておいて下さいね。やってなかったらどうなるか……勿論分かっていますよね?」
 「なっ、そりゃねぇだろ!」
 アクアは涙目である。

 ああ、なる程そう言う事か。

 「二人は仲が良いのか悪いのか、判断に迷うね」
 「いや、こんな性悪友達じゃねぇし。腐れ縁だ」
 「それはこちらのセリフです。こんな脳筋と友達なんてあり得ません。ただ、仕事柄必要な役を振るには残念ながら縁を切る訳にもいかず……こうして必要最低限の教育に四苦八苦している訳です」
 「なにをー!」
 「何です、反論の余地など無いでしょう?」
 「あ、あはははは……」

 「ノア、気持ちは分かるけどこの二人の仲については突っ込み禁止よ。毎度こうやって収集がつかなくなって面倒だから」
 「……了解。今後は気をつけるよ」
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