90 / 159
第九章
船上の戦い
しおりを挟む
……ノアのトリセツについて、彼自身から直接説明された後、彼日を吸われた翌日。
昨日はあの後、気合で一人精霊の浜へ出向き、改めて精霊達にもノアの事を説明した。
彼が婚約者である事。
前回のアゼルとは違う事。……これに関しては彼の人となり以上に私の気持ちの上でも全く別物だと。――うん、あの直後にこれを精霊達に納得して貰える説明をするのは至難の業だった。
誰か褒めて!
……いや、精霊以外居ないあの場所でそれが無理なのは分かってるけどさ。
それだけ大変だったって事。
そして、今日も今日とて常の日課をこなすべく港に来ている。……そしてその港に何故かアクア以外にグレストとノアが居る。
「僕達も同行します。勿論漁に直接関わる事はしませんが、将来の為、きちんとこの島の産業について理解する必要があります。この夏休みはその為の実地研修に費やそうかと思いまして」
にこにことノアがそう宣い。
「僕は、すぐに勉強をサボりたがる幼馴染みの監視役です」
続いてグレストが同行の理由を述べる。
「おい、ノアはともかくグレストはその理由何だよ、学校も別なのに何でお前が監視する必要があるんだよ!」
「別だからこそですよ。僕の夏休みが終わって監視の目が無くなればまた筋トレばかりして勉強を疎かにするでしょう? せめて僕が居る間位はきっちり勉強して貰いますよ。脳筋だけが取り柄の馬鹿は要りませんから」
「心底要らねー。ちくしょー、とっとと降ろしたいのに何で親父は許可したんだ!」
「それは、アクアのご家族揃って賛成して下さいましたからね。皆さん、僕と同じ考えでしたよ?」
アクアの抵抗虚しく、グレストは甲板の上で船が港を離れていくのを眺めながら言った。
「漁場に着くまでと、漁が終わって港に着くまで。あなたの辞書に船酔いなんて言葉は載ってないでしょうし、しっかり勉強しましょうね? やらなきゃ飯抜きの許可を貰ってます。僕のジャッジ次第で朝ご飯が左右されるので、頑張って下さい」
「それ、僕も一緒に良い? いや、内容はアクアのとは別だけど。お屋敷の本を借りて勉強中なんだけど、やっぱり生の声も聞きたいし、質問するのに最適な先生も居るし」
「まぁ、構いませんよ。ただ、気を付けてくださいね。アクアと違って船に慣れないあなたは船酔いする可能性もあるんですから」
……私そっちのけで盛り上がる男子達。
いや、アクアは青ざめてるけどさ。
グレストとノアはにこにこしているのに……なんでだろう、ピリピリした空気を感じるのは――気のせい、だよね?
昨日はあの後、気合で一人精霊の浜へ出向き、改めて精霊達にもノアの事を説明した。
彼が婚約者である事。
前回のアゼルとは違う事。……これに関しては彼の人となり以上に私の気持ちの上でも全く別物だと。――うん、あの直後にこれを精霊達に納得して貰える説明をするのは至難の業だった。
誰か褒めて!
……いや、精霊以外居ないあの場所でそれが無理なのは分かってるけどさ。
それだけ大変だったって事。
そして、今日も今日とて常の日課をこなすべく港に来ている。……そしてその港に何故かアクア以外にグレストとノアが居る。
「僕達も同行します。勿論漁に直接関わる事はしませんが、将来の為、きちんとこの島の産業について理解する必要があります。この夏休みはその為の実地研修に費やそうかと思いまして」
にこにことノアがそう宣い。
「僕は、すぐに勉強をサボりたがる幼馴染みの監視役です」
続いてグレストが同行の理由を述べる。
「おい、ノアはともかくグレストはその理由何だよ、学校も別なのに何でお前が監視する必要があるんだよ!」
「別だからこそですよ。僕の夏休みが終わって監視の目が無くなればまた筋トレばかりして勉強を疎かにするでしょう? せめて僕が居る間位はきっちり勉強して貰いますよ。脳筋だけが取り柄の馬鹿は要りませんから」
「心底要らねー。ちくしょー、とっとと降ろしたいのに何で親父は許可したんだ!」
「それは、アクアのご家族揃って賛成して下さいましたからね。皆さん、僕と同じ考えでしたよ?」
アクアの抵抗虚しく、グレストは甲板の上で船が港を離れていくのを眺めながら言った。
「漁場に着くまでと、漁が終わって港に着くまで。あなたの辞書に船酔いなんて言葉は載ってないでしょうし、しっかり勉強しましょうね? やらなきゃ飯抜きの許可を貰ってます。僕のジャッジ次第で朝ご飯が左右されるので、頑張って下さい」
「それ、僕も一緒に良い? いや、内容はアクアのとは別だけど。お屋敷の本を借りて勉強中なんだけど、やっぱり生の声も聞きたいし、質問するのに最適な先生も居るし」
「まぁ、構いませんよ。ただ、気を付けてくださいね。アクアと違って船に慣れないあなたは船酔いする可能性もあるんですから」
……私そっちのけで盛り上がる男子達。
いや、アクアは青ざめてるけどさ。
グレストとノアはにこにこしているのに……なんでだろう、ピリピリした空気を感じるのは――気のせい、だよね?
0
お気に入りに追加
401
あなたにおすすめの小説
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。
彩世幻夜
ファンタジー
※ 2019年ファンタジー小説大賞 148 位! 読者の皆様、ありがとうございました!
裕福な商家の生まれながら身分は平民の悪役令嬢に転生したアンリが、ユニークスキル「クリエイト」を駆使してシナリオ改変に挑む、恋と冒険から始まる成り上がりの物語。
※2019年10月23日 完結
処刑された悪役令嬢は、時を遡り復讐する。
しげむろ ゆうき
恋愛
「このバイオレットなる者は王太子であるフェルトの婚約者でありながら、そこにいるミーア・アバズン男爵令嬢や隣国の王太子にロールアウト王国が禁止している毒薬を使って殺害しようとしたのだ。これは我が王家に対する最大の裏切り行為である。よって、これより大罪人バイオレットの死刑執行を行う」
そして、私は断頭台で首をはねられたはずだった
しかし、気づいたら私は殿下の婚約者候補だった時間まで時を遡っていたのだった……
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
異世界で料理を振る舞ったら何故か巫女認定されましたけども~人生最大のモテ期到来中~
九日
ファンタジー
女神すら想定外の事故で命を落としてしまったえみ。
死か転生か選ばせてもらい、異世界へと転生を果たす。
が、そこは日本と比べてはるかに食レベルの低い世界だった。
食べることが大好きなえみは耐えられる訳もなく、自分が食レベルを上げることを心に決める。
美味しいご飯が食べたいだけなのに、何故か自分の思っていることとは違う方向へ事態は動いていってしまって……
何の変哲もない元女子大生の食レベル向上奮闘記――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる