65 / 159
第七章
影達の共謀
しおりを挟む
アゼルのお馬鹿は日々問題を起こす。
人様に本格的に迷惑をかける前に私が尻拭いして回っているから、ルーベンス嬢の堪忍袋のカウントダウンメーターの数値は何とか回らずに済んでいる状況だ。
なのに、アゼル本人や悪役令嬢からは理不尽に文句を言われる。
当初から嫌々だった日々に疲れ、そろそろ限界が見え始めていた。
まだ一学期さえ終わらないのに早すぎないか、って?
いやいや、自分の意思で行きたいと思った進路での話なら私も「そうだよね」って思う。
だけどさ、私は別の学校に行きたかったんだよ?
王子の婚約者だって望んでもいなかったんだよ?
なのに、進路先を強制され婚約も強要された上で、日々やる事と言えば婚約者の尻拭い、それも感謝されるどころか貶される日々。
「知るか、アホんだらぁ!」
と全てうっちゃって大声で叫び出したくなっても無理ないと思うんだ。と言うか、その舞台を何処にするか、何時やってやるのが効果的かと考えるのが日課になってきた。
相変わらず周囲には遠巻きにされ、友達らしい友達も居ない。
これ、島程精霊の居ない本土の、自然の少ない王都だから良いけど、島での事ならとっくに精霊がボイコットを始めてる段階だと思う。
――それを察してか、動いた者が居た、らしい。
何もない筈の一年一学期、一班毎に別の場所へ合宿に行く話が急遽持ち上がったのである。
私の班にはアゼル、イーリス、その婚約者ルーベンス嬢。そして引率役のローデリヒ。
……いやあぁぁぁぁ! こんな怖い班嫌だよぉぉ!
周囲は地雷だらけじゃん、私にストレスで爆散しろと言いたいんですか!?
だけど、そんな私にニコニコしながらプリントを手渡し「君達の合宿先はココだよ♪」と示された場所は。
「……コレ、ウチの島じゃない」
夏休みになるより先に里帰りが決定してしまった。
勿論、グレストの夏休みはまだ先だから、彼を連れて帰る訳にもいかない。当然ノアも。
「あ、宿泊先は伯爵邸じゃないよ。たまには庶民の暮らしを知るべき、って事で。島の漁師さんの家にお願いしたからね!」
……ああ。うん。これ、アクアの家だよね。確かに広いよ、彼の家は。
だけど、脳筋の奴にグレストの様なフォローは望めないし、むしろイーリスの同類として妙なはっちゃけ方をしないかとか、アゼルと喧嘩しないかとか心配事が多過ぎて……胃が……本気でお腹がキリキリ痛む。
ちょ、誰か胃薬プリーズ!
ローデリヒは何を考えて……! ああ、あのニヤニヤ顔をひっぱたけたらどんなに気分が良いか!
他の子は普通に二、三泊の小旅行に行くだけの様だから、こんな苦行を課せられたのは私だけみたい。
企画者め、覚えてなさいよ! この恨みはらさでおくべきか……!
人様に本格的に迷惑をかける前に私が尻拭いして回っているから、ルーベンス嬢の堪忍袋のカウントダウンメーターの数値は何とか回らずに済んでいる状況だ。
なのに、アゼル本人や悪役令嬢からは理不尽に文句を言われる。
当初から嫌々だった日々に疲れ、そろそろ限界が見え始めていた。
まだ一学期さえ終わらないのに早すぎないか、って?
いやいや、自分の意思で行きたいと思った進路での話なら私も「そうだよね」って思う。
だけどさ、私は別の学校に行きたかったんだよ?
王子の婚約者だって望んでもいなかったんだよ?
なのに、進路先を強制され婚約も強要された上で、日々やる事と言えば婚約者の尻拭い、それも感謝されるどころか貶される日々。
「知るか、アホんだらぁ!」
と全てうっちゃって大声で叫び出したくなっても無理ないと思うんだ。と言うか、その舞台を何処にするか、何時やってやるのが効果的かと考えるのが日課になってきた。
相変わらず周囲には遠巻きにされ、友達らしい友達も居ない。
これ、島程精霊の居ない本土の、自然の少ない王都だから良いけど、島での事ならとっくに精霊がボイコットを始めてる段階だと思う。
――それを察してか、動いた者が居た、らしい。
何もない筈の一年一学期、一班毎に別の場所へ合宿に行く話が急遽持ち上がったのである。
私の班にはアゼル、イーリス、その婚約者ルーベンス嬢。そして引率役のローデリヒ。
……いやあぁぁぁぁ! こんな怖い班嫌だよぉぉ!
周囲は地雷だらけじゃん、私にストレスで爆散しろと言いたいんですか!?
だけど、そんな私にニコニコしながらプリントを手渡し「君達の合宿先はココだよ♪」と示された場所は。
「……コレ、ウチの島じゃない」
夏休みになるより先に里帰りが決定してしまった。
勿論、グレストの夏休みはまだ先だから、彼を連れて帰る訳にもいかない。当然ノアも。
「あ、宿泊先は伯爵邸じゃないよ。たまには庶民の暮らしを知るべき、って事で。島の漁師さんの家にお願いしたからね!」
……ああ。うん。これ、アクアの家だよね。確かに広いよ、彼の家は。
だけど、脳筋の奴にグレストの様なフォローは望めないし、むしろイーリスの同類として妙なはっちゃけ方をしないかとか、アゼルと喧嘩しないかとか心配事が多過ぎて……胃が……本気でお腹がキリキリ痛む。
ちょ、誰か胃薬プリーズ!
ローデリヒは何を考えて……! ああ、あのニヤニヤ顔をひっぱたけたらどんなに気分が良いか!
他の子は普通に二、三泊の小旅行に行くだけの様だから、こんな苦行を課せられたのは私だけみたい。
企画者め、覚えてなさいよ! この恨みはらさでおくべきか……!
0
お気に入りに追加
400
あなたにおすすめの小説
お母さん冒険者、ログインボーナスでスキル【主婦】に目覚めました。週一貰えるチラシで冒険者生活頑張ります!
林優子
ファンタジー
二人の子持ち27歳のカチュア(主婦)は家計を助けるためダンジョンの荷物運びの仕事(パート)をしている。危険が少なく手軽なため、迷宮都市ロアでは若者や主婦には人気の仕事だ。
夢は100万ゴールドの貯金。それだけあれば三人揃って国境警備の任務についているパパに会いに行けるのだ。
そんなカチュアがダンジョン内の女神像から百回ログインボーナスで貰ったのは、オシャレながま口とポイントカード、そして一枚のチラシ?
「モンスターポイント三倍デーって何?」
「4の付く日は薬草デー?」
「お肉の日とお魚の日があるのねー」
神様からスキル【主婦/主夫】を授かった最弱の冒険者ママ、カチュアさんがワンオペ育児と冒険者生活頑張る話。
※他サイトにも投稿してます
どうやら私はラスボス魔王の娘に憑依したらしい。
枝豆@敦騎
ファンタジー
毒親から逃げ出して再出発しようとした矢先、電車の事故で死んだ私。
目が覚めるととんでもない美幼女に憑依していた。
しかも父親は魔族の王、魔王。
どうやらこの魔王もろくでもない親らしい……だけど私が憑依してからデレ期が発動したようで…。
愛し方を知らなかった魔王とその娘に憑依した私が親子になる物語。
※一部残酷な表現があります。
完結まで執筆済み。完結まで毎日投稿します。
結婚して5年、初めて口を利きました
宮野 楓
恋愛
―――出会って、結婚して5年。一度も口を聞いたことがない。
ミリエルと旦那様であるロイスの政略結婚が他と違う点を挙げよ、と言えばこれに尽きるだろう。
その二人が5年の月日を経て邂逅するとき
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
転生貴族可愛い弟妹連れて開墾します!~弟妹は俺が育てる!~
桜月雪兎
ファンタジー
祖父に勘当された叔父の襲撃を受け、カイト・ランドール伯爵令息は幼い弟妹と幾人かの使用人たちを連れて領地の奥にある魔の森の隠れ家に逃げ込んだ。
両親は殺され、屋敷と人の住まう領地を乗っ取られてしまった。
しかし、カイトには前世の記憶が残っており、それを活用して魔の森の開墾をすることにした。
幼い弟妹をしっかりと育て、ランドール伯爵家を取り戻すために。
余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~
藤森フクロウ
ファンタジー
相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。
悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。
そこには土下座する幼女女神がいた。
『ごめんなさあああい!!!』
最初っからギャン泣きクライマックス。
社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。
真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……
そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?
ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!
第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。
♦お知らせ♦
余りモノ異世界人の自由生活、コミックス1~3巻が発売中!
漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。
第四巻は11月18日に発送。店頭には2~3日後くらいには並ぶと思われます。
よかったらお手に取っていただければ幸いです。
書籍1~7巻発売中。イラストは万冬しま先生が担当してくださっています。
コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。
漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。
※基本予約投稿が多いです。
たまに失敗してトチ狂ったことになっています。
原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。
現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
テンプレを無視する異世界生活
ss
ファンタジー
主人公の如月 翔(きさらぎ しょう)は1度見聞きしたものを完璧に覚えるIQ200を超える大天才。
そんな彼が勇者召喚により異世界へ。
だが、翔には何のスキルもなかった。
翔は異世界で過ごしていくうちに異世界の真実を解き明かしていく。
これは、そんなスキルなしの大天才が行く異世界生活である..........
hotランキング2位にランクイン
人気ランキング3位にランクイン
ファンタジーで2位にランクイン
※しばらくは0時、6時、12時、6時の4本投稿にしようと思います。
※コメントが多すぎて処理しきれなくなった時は一時的に閉鎖する場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる