ヒロイン？ 玉の輿？ 興味ありませんわ！ お嬢様はお仕事がしたい様です。

幕間⑥

修行の日々 - アクア視点 -

    今日も今日とて海に漁に出る。

    ――ん、俺が誰かって？
    おいおい、最近出番がないからって忘れるんじゃねぇよ。この島で一番――と言うにはまだ子供だけど、同世代じゃ一番のイケメンの俺、アクアを！

    ……とは言え暇だ。

    いや、修行はどんどん厳しくなって暇だとか言う余裕なんて全く無い。

    だけど、島を出て学校とやらに行っちまったレーネとグレストが居ないとやっぱり張り合いがない。友達なら他にも沢山居るのにな。
    レーネが居ないとやっぱり漁の成果が今一つだし、口喧嘩の相手が居ないと張り合いが無い。

    暇に任せて筋トレしてみた。
    これが面白い様に仕事の成果に直結し、久々に誉められたんだ。
    だから最近じゃ日課になってて、良い具合に腹も割れてきた。

    「アクアよ、海の男は身体が資本、それは確かだがな。お前はボディービルダーでも目指しているのか？    あんまり筋肉つけすぎると誤って海に落ちた時に浮けなくて溺れる。海の男としちゃ致命的だぞ。お前はむしろ身体より頭を鍛えろ、グレストみたいになんて無茶は言わねぇ、せめて十分の一でも賢くなれ」

    ……せっかく誉められたと思ったのに、夏も近づく頃にはそう哀れまれた。
 
   「夏休みには二人も戻ってくる。あの二人に笑われん様に頑張れ」
    そうか。それは楽しみだが――何故哀れまれるのだ。解せん。