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第六章

悪役令嬢との攻防

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    甘いもので癒されつつも、ノアに微妙に精神を削られた気がしないでもない週末が過ぎ、学校が始まる。
    オリエンテーションも終わって、今日から通常授業だ。

    で。
    休み時間に私は真っ先に謝りに行った。

    勿論、相手は馬鹿王子でもなければイーリスでもない。そのイーリスの婚約者様で御座います。

    「大変申し訳ありませんでした!」
    中庭で昼食を召し上がってらっしゃるとお聞きし、私は速攻駆けつけスライディング土下座致しましたとも。

    彼女を敵に回したくありませんもの!

   「ひゃ、な、ななな何、何なの!」
    流石の才媛も取り乱して噛みまくった。

   「先日の決闘騒ぎについて、謝罪させていただきたく……」
   「あ、あれは……!    イーリス様にも責任が御座います。既にイーリス様のお父上にも謝罪を頂いております。むしろその件に関してはイーリスの方が謝るべきで、貴女が私に謝る必要は無いでしょう……!」

   「ですが、共に盛り上がった王子は私の婚約者です。……まだまともに会話をした事も無いとは言え、彼も加わって大事になった以上、一言謝罪はするべきかと。――ご苦労、お察し致します」
   「……ああ。これまでお噂でしか私も存じ上げなかったのだけれど、あの方も大変な方の様ね」
   「……これからもご迷惑をおかけしてしまうかもしれません。それもあって今回直接謝罪したかったのです」

   「――仏の顔も三度まで、と言う格言をご存じかしら?    今回の件は手綱を握る前の暴走で片を付けて差し上げてもよろしいのですけど。なるべく早く手綱を握って下さいませね?」

    ……うへぇ。今回の件は目を瞑っても、これ以降何かあったら、許すにも回数制限アリ、と。流石才媛。不意打ちにもあっという間に対応してきた。

    あんなクソ坊、無視して放置してれば良いやと思っていたけど、残念ながらそうも言っていられないらしい。

   「……代わりに一つ。“あの子”については私の方で抑えて差し上げますわ」
   「え?」
   「あの子、アゼル王子に入れあげて貴女を絶賛敵視しているのだけど、……当然気付いているでしょう?」
   「それは……はい」
    ゲーム情報から――等とは言えないけど勿論、知っていますとも。

    「貴女は『精霊姫』だもの。事情は察するわ。けれど婚約した以上は貴族の令嬢として義務を果たさなければ。あの子はそれを分かっていない」

    だから、と。
   「彼女には彼女の意思がある。完全に抑えるとは約束出来ないけれど、一応説得位はしてあげるから。ちゃんと頑張ってね?」

    ……。才媛、怖い。
    どうやら厄介事からは逃げられない様です。
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