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第六章
誘われました
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オリエンテーションと、その後の決闘騒ぎも一応無事に終わり、翌週からは静かな学校生活が始まった。
諸々の噂に加え、先日騎士団長の息子――にしてはあり得ない残念な実力のご子息だったけど――を曲がりなりにも皆の目の前で倒してしまった私は皆に少し遠巻きにされていた。
いじめられはしないし、好意的な視線もあるにはあるけど、実際にお友達付き合いは……と考える者が多いようで。
まぁ、平穏に勉強できるならそれで良いさ。
……授業内容はクソつまらなくてもな。
「お嬢様、貴族のご令嬢が“クソ”等と下品な言葉を使ってはなりません!」
あー、影執事が煩い。
「まぁまぁ、気晴らしに甘いものでも食べに行こうよ。土日は休みでしょ?」
グレストに誘われ、街のカフェに話題のスイーツを食べに出掛けた。
その、先で。
「……グレスト、聞いてないわよ?」
「いえ、僕も聞いてませんでした。……あ、でもこの店を紹介してくれたのは彼でした。……すみません」
「やぁ。グレストのクラスメイト、“アーク”だよ。よろしくね」
明らかな偽名をニコニコ口にするノア。
グレストから報告を受けてはいたけど……。
「まぁ、いいわ。取り敢えずここのスイーツは私も気になっていたから」
可愛い装いのお店は明らかに若い女の子向け。カップルの相方としてやって来ている男性は居るけど、それも少なく、大半が女の子同士のお客だ。
少なくとも男だけで入るにはかなりの勇気が要る店だろう。
「おお、これが話題の特大ベリーパフェ。ストロベリーにブルーベリー、ラズベリー……これは……ブラックベリーかしら? 生の果実も酸っぱすぎず美味しいけど、ソースのジャムも甘さと酸味のバランスが絶妙で、アイスとの相性も良いわ」
それに冷たいアイスとブレンドティーの相性も良い。
「美味しそうに食べるね」
「そりゃ、美味しいもの」
「……男には入りにくい店ですが、スイーツは甘さ控えめで男でも食べやすいですね。テイクアウト出来るようにすればいいのに」
「グレストも研究熱心だね」
「色々お嬢様に補助して貰って学校に通ってるんです、一つでも多く学ばないと勿体無いじゃないですか。……お嬢様も本当ならウチに来たいと言っていたのを無理に婚約したくせにお嬢様に迷惑ばかりかける方に負けたくもありませんし」
「それは……僕のせいじゃない、と言いたいところだけど、やらかしてるのが僕の双子だからね。申し訳ないと謝るしか僕には出来ないけど」
「兄弟がアホな事には同情しますよ」
「ははは、彼以外の兄弟はまともなんだけどねぇ……」
「それで。本題は何なの、“アーク”?」
諸々の噂に加え、先日騎士団長の息子――にしてはあり得ない残念な実力のご子息だったけど――を曲がりなりにも皆の目の前で倒してしまった私は皆に少し遠巻きにされていた。
いじめられはしないし、好意的な視線もあるにはあるけど、実際にお友達付き合いは……と考える者が多いようで。
まぁ、平穏に勉強できるならそれで良いさ。
……授業内容はクソつまらなくてもな。
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あー、影執事が煩い。
「まぁまぁ、気晴らしに甘いものでも食べに行こうよ。土日は休みでしょ?」
グレストに誘われ、街のカフェに話題のスイーツを食べに出掛けた。
その、先で。
「……グレスト、聞いてないわよ?」
「いえ、僕も聞いてませんでした。……あ、でもこの店を紹介してくれたのは彼でした。……すみません」
「やぁ。グレストのクラスメイト、“アーク”だよ。よろしくね」
明らかな偽名をニコニコ口にするノア。
グレストから報告を受けてはいたけど……。
「まぁ、いいわ。取り敢えずここのスイーツは私も気になっていたから」
可愛い装いのお店は明らかに若い女の子向け。カップルの相方としてやって来ている男性は居るけど、それも少なく、大半が女の子同士のお客だ。
少なくとも男だけで入るにはかなりの勇気が要る店だろう。
「おお、これが話題の特大ベリーパフェ。ストロベリーにブルーベリー、ラズベリー……これは……ブラックベリーかしら? 生の果実も酸っぱすぎず美味しいけど、ソースのジャムも甘さと酸味のバランスが絶妙で、アイスとの相性も良いわ」
それに冷たいアイスとブレンドティーの相性も良い。
「美味しそうに食べるね」
「そりゃ、美味しいもの」
「……男には入りにくい店ですが、スイーツは甘さ控えめで男でも食べやすいですね。テイクアウト出来るようにすればいいのに」
「グレストも研究熱心だね」
「色々お嬢様に補助して貰って学校に通ってるんです、一つでも多く学ばないと勿体無いじゃないですか。……お嬢様も本当ならウチに来たいと言っていたのを無理に婚約したくせにお嬢様に迷惑ばかりかける方に負けたくもありませんし」
「それは……僕のせいじゃない、と言いたいところだけど、やらかしてるのが僕の双子だからね。申し訳ないと謝るしか僕には出来ないけど」
「兄弟がアホな事には同情しますよ」
「ははは、彼以外の兄弟はまともなんだけどねぇ……」
「それで。本題は何なの、“アーク”?」
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