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幕間⑤
厳重注意 - 王視点 -
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「はぁ……」
息子の婚約者にと考えた娘の所へ忍ばせた影からの報告書の内容に、どうしてもため息が漏れてしまう。
もう一通、こちらは学内に忍ばせた影からの報告書、こちらにも愚息とその側近候補に考えていた子息の愚行が至極丁寧に纏められていた。
「この度は我が愚息が申し訳ございません! あれの兄弟は優秀なのです。いえ、指導官によればあれにも剣の才能はあると……。しかしそれで補いきれぬ程に思考能力が不足している、と。そこはそれに足りる婚約者で補えばと思っておりましたが……あの愚息は度々訓練をサボる癖があると、これまで途中で止められていた報告を耳に致しまして……。改めて厳しく躾直します!」
「確かにそなたの子の為した事は見て見ぬフリは出来ぬが、まだ入学したての未熟者の所業よ。……それに彼の者だけを咎めれば、少なからずあれの父である私にも非難の目が向くであろう」
王という位から表だって口撃される事は無かろうが、有能で良心的な貴重な人材からは見放されよう。
「今回の騒動を必要以上に大事にしたのは我が愚息よ。上二人の兄が優秀なのになぁ……。そなたの気持ち、痛い程良く分かるぞ」
愚息の婚約者は、そもそも王家がゴリ押しした婚約で、あの有能な令嬢は我が愚息など歯牙にもかけておらぬとの事。
むしろあれが王族でなければ露骨に毛嫌いしていると、痛い言葉の並んだ報告を思いだし、頭が痛くなる。
ちなみに先程の報告は、今回の騒動の前に書かれたものだ。
「陛下、こちらを」
侍従が新たな書状を差し出してくる。
さて、こちらには何が書かれている事やら……。
「しばらく互いに子息の教育に力を入れねばならぬのぅ」
「はっ……!」
わしは、騎士団長に退室を命じ、侍従に愚息を呼ぶよう命じる。
差し出された書状は二通。一通はもう一人の息子、ノアからだった。
「……今後次第では、考えねばならんかのぅ」
もう一度ため息を吐き、書状の封にナイフを滑らせた。
息子の婚約者にと考えた娘の所へ忍ばせた影からの報告書の内容に、どうしてもため息が漏れてしまう。
もう一通、こちらは学内に忍ばせた影からの報告書、こちらにも愚息とその側近候補に考えていた子息の愚行が至極丁寧に纏められていた。
「この度は我が愚息が申し訳ございません! あれの兄弟は優秀なのです。いえ、指導官によればあれにも剣の才能はあると……。しかしそれで補いきれぬ程に思考能力が不足している、と。そこはそれに足りる婚約者で補えばと思っておりましたが……あの愚息は度々訓練をサボる癖があると、これまで途中で止められていた報告を耳に致しまして……。改めて厳しく躾直します!」
「確かにそなたの子の為した事は見て見ぬフリは出来ぬが、まだ入学したての未熟者の所業よ。……それに彼の者だけを咎めれば、少なからずあれの父である私にも非難の目が向くであろう」
王という位から表だって口撃される事は無かろうが、有能で良心的な貴重な人材からは見放されよう。
「今回の騒動を必要以上に大事にしたのは我が愚息よ。上二人の兄が優秀なのになぁ……。そなたの気持ち、痛い程良く分かるぞ」
愚息の婚約者は、そもそも王家がゴリ押しした婚約で、あの有能な令嬢は我が愚息など歯牙にもかけておらぬとの事。
むしろあれが王族でなければ露骨に毛嫌いしていると、痛い言葉の並んだ報告を思いだし、頭が痛くなる。
ちなみに先程の報告は、今回の騒動の前に書かれたものだ。
「陛下、こちらを」
侍従が新たな書状を差し出してくる。
さて、こちらには何が書かれている事やら……。
「しばらく互いに子息の教育に力を入れねばならぬのぅ」
「はっ……!」
わしは、騎士団長に退室を命じ、侍従に愚息を呼ぶよう命じる。
差し出された書状は二通。一通はもう一人の息子、ノアからだった。
「……今後次第では、考えねばならんかのぅ」
もう一度ため息を吐き、書状の封にナイフを滑らせた。
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