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幕間③

異端の子 - グレスト視点 -

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    「お前、子供らしくないよ。可愛くない」
    最初に言われたのは誰からだっけ。もう言われ過ぎて忘れた。

    僕は、物心ついた頃から体を動かすより考える事の方が好きだった。本で調べて、新しい事を知って、それを元に色々考えて新しいものを作ったり、これまでより便利に効率的にやれる方法を見つけたりするのが好きだった。

    だけど、僕みたいな年齢でそこまで出来る子は殆ど居ないんだって。

    この島には精霊が沢山居て、ここの領主様の血筋には「精霊姫」なんて呼ばれる人もちょくちょく現れる。
    その影響か、精霊のご加護で能力の高い「ギフト」持ちの子が生まれることの多い土地らしい。

    だからだろう。
    「子供らしくない」
    と、可愛くない子扱い程度で済んでいるのは。

    もっと無知な場所での事なら、とっくに打ち捨てられていてもおかしくなかった。実際そんな事例の記述を本で読んだ事があったから間違いない。

    僕は、運が良い。
    だって僕にはお嬢様が居たから。

    お嬢様は、純粋に僕の能力を評価して仕事を任せてくれる。
    可愛くないとか気味が悪いなんてお嬢様は言わないし、そんな素振りを見せた事もない。
    ただ自分のやりたい事に素直に邁進して、その為に必要な僕の能力を評価し、使う。

   「これはできそう?    あ、でも無理はしないでよ?」

    気付けはその過程で自力でお金を手にする事も出来たし、自信もついた。

    可愛くなくても、子供らしくなくても良い。
    それよりもっと知識ちからが欲しい。もっとお嬢様の役に立ちたい。この島をもっと良くしたい。

    ――勉強が、したかった。
    それには大陸の学校に行くのが良いけど、いくらお金や能力があっても僕はまだ子供で、一人じゃ手続きもままならない。

    だからお嬢様を頼った。

    そうしたら、庭師見習い兼時々料理人見習いで住み込みで働かせて貰える事になった。
    だからお嬢様が好きなんだ。

    ……なのに。

    今日来たお嬢様の婚約者とかいう王子。
    「おい、あの失礼な野郎が例の婚約者なのか?」
    もしもを考えて、港の船の船室に閉じ込めていたアクアは、船室の窓から見た王子に憤慨していた。
    ……閉じ込めてなかったら、そのまま島の喧嘩友達にするように胸ぐら掴みに行ったかも。閉じ込めておいて正解だった。
    けど、憤りを感じているのは僕も同じだ。

   「ノアは悪い奴じゃなかったのに。俺、あいつ嫌いだ」

   彼もまだ子供なんだろうけど。
   「一応、もしもの時の対策は考えておいた方が良さそうですね」
    「……グレスト、お前笑顔のくせして目が笑ってねぇ。怖ぇって、その表情!」

    アクアが何か喚いてるけど知りません。
    ふふふ、僕の大事なお嬢様にあんまり失礼を働くとどうなるか……。
    覚えておいて下さいね、王子殿下?
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