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第十三章

賢者と愉快な仲間たち

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 研究者にとって、研究に必要なモノとカネは下手すると命より大事なもの、らしい。

 私には全く理解できないけど、目の前の現実は間違いなくそう言っていた。

 尋問は、例の交換条件挙げたらあっさり吐いた。
 ……いや、より良い条件求めゴネはしたけど、条件が一つ叶えば、その条件に見合った情報はあっさり吐いた。

 まずは彼に部屋を与えた。
 ……居室は寝れれば他は拘らないそうで、部屋付き風呂には興味を示さなかった。
 それよりはデカイ風呂で足を伸ばせることに感動したらしく、更に風呂上がりに呑むビールは更にお気に召したらしい。

 ついでにこの船のレストランのシステムも「時間に縛られないとは何と素晴らしい!」と気に入ったらしいので、風呂とレストランフロアに程近い、ベットと机があるだけの部屋を彼の居室にし。

 近くの多目的ホールという名の空き部屋を研究室に改造して与えた。

 ついでに後々あの塔に居た部下達も一緒に居させろ、と。
 ちなみに彼らの研究とは魔術関連が主だそうで、長の彼が一番総合的な事を研究しているらしく、部下たちは専門に特化し過ぎている者が多いそうで。

 彼らの専門知識を上手い具合に組み合わせて新たな研究を完成させるのが彼の主な仕事だそうだ。

 「故に、部下が居なければ一つの研究に余計な時間が膨大にかかるのだ。であるからして、私は部下の動向を求める!」

 「……あいつの尋問をした感想だが、あいつが抜けたらあの国の軍は脳筋だらけになる。軍略も戦術もあったもんじゃなくなる。力押し一辺倒の戦しか出来なくなるぞ」

 勿論、もう新たに召喚なんて、他国から技術者を攫ってでも来なければ不可能になる。

 ……どうやら解決策は見いだせたようだ。

 なら後は襲撃計画と逃亡計画を立てるだけ。

 「……川を行ける船はあるか?」

 「うーん、川の広さや深さにもよるよ? ある程度の川ならクルーザーが使えると思うけど」

 アルトが地図を広げる。

 「港から城までは陸路しかないが、城から隣国――ああ勿論勇者君の国とは逆方向の隣国だが、そこまで川が流れている。こちらからだと遡って進む事になる分、手漕ぎや帆船では、お前のチート船には追いつけやしないだろう」

 との事。

 「うーん、今いるメンバーだけなら乗れると思うけど……研究者が何人居るのか……。クルーザーはそんなに乗船人数多くないし」

 「他に案は無いか?」

 「後は……乗り心地丸無視で良いなら手漕ぎボート牽引で何とか行けるかな?」

 「国さえ出れば何とでもなる。それで行こう」

 作戦も決まった事だし。さー、行くぞー!
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