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第九章

街へ

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 あれから。
 週一回の休息日を除いて、日々ダンジョンに通った。

 六層からは、岩だらけの洞窟から一転、懐かしの南の孤群島を思い起こさせる南の森と、魔物たち。

 そいつらを倒すのは慣れたもの……だったが、そのままの感覚で七層に降りたら。

 景色的には大差無かったくせに、モンスターだけ毒虫毒蛇毒植物に変わり、毒にやられて偉い目にあった。

 ……いや、毒素のものはポーションで割とすぐに苦痛からは開放されたんだけど。
 アルトの長い、長~いオハナシからは逃れられなかった。

 ええ、たっぷり説教されましたとも。

 ……油断して命を落としかけた私としては反論出来ずに黙って聞くしかなかったんだけど。

 十層まで進んで二体目のボス戦に挑み、オークのパーティー相手に勝ち、私はマジック・シールドの魔法を使えるシールドリングと、多少の怪我なら自動回復するヒールリングという二つの指輪を手に入れた。

 そうして手に入れた経験値で、ホバークラフトは潜水艦に進化した。

 ちなみに進化ツリーはここで終わり。
 その代わりレベルアップで増える装備が多い。

 これ、普段はフェリーで生活して、どこぞの島へ近づくときには潜水艦で様子を見て。

 近くで小船に乗り換えるべきなんだろうな、と。
 三艘目をゲットした。

 これをクルーザーに進化させ。

 「キリも良いし、一度街へ顔を出してみるか?」

 うん。街の宿屋よりフェリーの部屋のが確実に居心地いいし、お風呂無いのキツイし。

 だけど、月単位でこの生活を続けていると、たまには街の賑わいに触れなたくなる。

 だから、一日くらいなら、と私はその提案に頷いた。

 潜水艦とクルーザーを一度仕舞い、水平線の向こうに僅かに島影が見える距離まではフェリーで行く。

 食事と風呂をフェリーで済ませ、潜水艦に乗り換えて。

 島に近づきゆっくり一周様子を見る。

 アルトの国では大丈夫だったからって、今まで失敗が多すぎて、慎重すぎるくらいでちょうど良い、と。
 素直に港に入る気にはなれなかったから。

 見る限りは、都会過ぎず田舎過ぎずの何の変哲もない島みたいだけど……。

 明け方近く、クルーザーに乗り換えて見た目を偽装し、改めて港へと近付いた。

 やはり巡視艇がすっ飛んできたが……

 「はい、入港料と――これ、身分証明」

 「はい、確認しました。ちなみに目的は?」

 「補給だ」

 「では、島の西が商店の多い区画になりますので、そちらに行かれるとよろしいかと」

 「そうか。情報感謝する」

 アルトが当たり前のようにチップ(?)を渡す。

 「――別に文化とかそう言うんじゃないが、金を渡したほうが大抵は何かと上手くいくんだよ」

 そして、私達は問題なく港へと入る事が出来たのだった。
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