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第七章

戦闘訓練

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 「お前、直にモンスターの命を奪った事はあるか?」

 相も変わらずウオーターボールでモンスターを倒し続ける私に、アルトが尋ねた。

 「えっと、直に……って、魔法使わずに、ってコト? そりゃぁ、無いよ。私にそもそも戦う技術はないんだもん。チンピラ相手にも負ける仕様の女が、モンスター相手にナイフ一本で立ち向かうとか何の冗談?」

 「……それはそれで正論だろうが。
 だが、相手はモンスターとはいえ命は命だ。
 そして、今は良いがいずれ何処かの街を訪れる機会があったとして、だ。
 その街のチンピラ崩れに襲われる様な事態が無いとは言い切れない。
 そんな時。お前は人を殺せるか?」

 「そ、それは……」

 ここは、ゲームの世界ではない。
 それは、何度も分からされてきた事実だけど。

 日本人として生まれ育ち、殺人はいけない事だと身にしみている身としては、例え正当防衛と言われる範囲だとしても、人を殺してしまえば、その恐怖は心に重くのしかかる事だろう。

 ましてや能動的に人を殺そうなど、恐ろしくて出来る気がしない。

 魚は散々締めたけど、鶏を締められるか? と聞かれたら……多分、厳しいだろうな、と。

 流石に攻撃を受けたら洒落にならないから、ゲームと思わず真剣に倒してはいたけど。

 魔法でモンスターを倒せるのは、そんな生き物は地球の現実に存在せず、どこかゲームのキャラクターを倒してる気分が捨てきれていなかったのだろう。

 「だが、この先高ランクの魔物がお前の魔法をすり抜け攻撃を仕掛けてくるかもしれない。そうなればお前もその腰の武器で応戦しなきゃならないだろう?」

 そう、その為にアルトの指導を受けているんだから……

 「だが、いくら技術があろうと覚悟がなければ何の意味もない。覚悟の無いまま殺し、その恐怖で二度と武器を握れなくなった新人も珍しくはない」

 けど、アルトは私に覚悟を問う。

 「魔法だと、“殺してる”感覚がうすいだろう? ましてやその戦い方だとなぁ……。だから、少し“殺す”感覚に慣れた方が良い」

 ――と。

 「話を聞くに、お前の世界は随分と平和でお花畑な国らしいが、この世界はそうじゃ無い。俺のようにカタギじゃない生き方を選べと言ってるんじゃない。この世界で生き抜く力を付けろ」

 こうして。

 罠講座が終わったと思ったら、実戦訓練が始まった。

 罠解除以外は魔法禁止令が出され、小刀一本で戦わされる。
 無論いきなり一人で戦わせるのは無理だろうと、最初はアルトが弱らせた魔物にトドメを刺す練習から。

 ……料理はしてたから、鳥やら豚やら牛の精肉済の塊肉を切った事はあったんだけど。

 私はこの日、また一つ壁にぶち当たる事になった。
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