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第六章
嵐の後は
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……嵐が去った。
よく意味の分からない事も言われたけど。
「つまり、結局どうなったのよ?」
「我が国の後ろ盾をえて、女帝の命令に従い旅をしろって事だな。世界崩壊を防ぐ、その方策を女帝が打ち出し実行する。
無論基本は正規の役人や騎士が職務に当たるだろうが、全てが正攻法で片付くような単純な世の中ならこんな事にはなっていないだろう。
だから、俺たちを遊撃の駒として放ち、使いたいんだろうさ」
「……で。もう一つ。契約云々の話は?」
「言わなきゃダメか? ……せめて多少なりとも勝機が見えるまでは言いたくないんだが……」
「いやいや、駄目でしょ。将来サインしなきゃいけなくなるかもしれない契約書、その内容すら知らないままとか」
「……こ、」
「こ?」
「婚姻の、契約だ」
「……。コンイン?」
「無論、今では殆ど廃れた契約だ。
婚姻は国の役所に届けを出せば成立する。……まぁ、互いの家同士や何やら面倒がくっついてくる場合もあるが、手続きだけは簡単だ。離婚もな、手続きだけは簡単だぞ。……いざこざの解決はまた別の話だがな」
つまり日本の現制度と大差は無い、と。
「だが、女帝の言ってたのはそれとは違う。吸血鬼族の、例の呪いと同種の、思い契約だ。勿論離婚なんてありえん」
「……は? つまり女帝様は私に貴方と結婚しろと?」
「いや、国に届けを出しての婚姻までは望んでいないだろう。あくまで契約の方だな、あの方が望んだのは」
いや、それおかしいよね!?
「……スマン、これ以上詳しい事は今は勘弁してくれ。女帝の命令じゃやきゃ即座に断ってる話なんだ」
そして。
「もう、行こう。諸々の手続きに時間がかかるだろうし、宿を取ろう。必要なら買い物もすれば良い。ドレスや宝石は買ってやれないが、食料や日用品なら俺が出してやる」
「……う、今日はもうこれ以上歩きたくないよ。お腹は空いたけど」
「なら、飯の美味い宿へ行くか」
「うん」
明らかに話そらされて誤魔化されたんだけど。
身近に水場もなく船を出せないこの状況で。
アルト以外に頼れる人の居ない今、それ以上追求は出来なくて。
またしても影御用達みたいな通路を通って街へ出た。
「……凄い」
そこはまるでイタリアのミラノの街のようで。
栄えていて賑やかなのに、どこかノスタルジックな、落ち着いた大人の街という印象の都市だった。
「こっちだ、行くぞ」
城からそう遠くない広場に面した、洒落た建物の中に躊躇いなく入っていくアルト。
「いらっしゃい」
そんな私達を出迎えてくれたのは、美しい金の長い髪と特徴的な耳を持つ美人さんでした。
よく意味の分からない事も言われたけど。
「つまり、結局どうなったのよ?」
「我が国の後ろ盾をえて、女帝の命令に従い旅をしろって事だな。世界崩壊を防ぐ、その方策を女帝が打ち出し実行する。
無論基本は正規の役人や騎士が職務に当たるだろうが、全てが正攻法で片付くような単純な世の中ならこんな事にはなっていないだろう。
だから、俺たちを遊撃の駒として放ち、使いたいんだろうさ」
「……で。もう一つ。契約云々の話は?」
「言わなきゃダメか? ……せめて多少なりとも勝機が見えるまでは言いたくないんだが……」
「いやいや、駄目でしょ。将来サインしなきゃいけなくなるかもしれない契約書、その内容すら知らないままとか」
「……こ、」
「こ?」
「婚姻の、契約だ」
「……。コンイン?」
「無論、今では殆ど廃れた契約だ。
婚姻は国の役所に届けを出せば成立する。……まぁ、互いの家同士や何やら面倒がくっついてくる場合もあるが、手続きだけは簡単だ。離婚もな、手続きだけは簡単だぞ。……いざこざの解決はまた別の話だがな」
つまり日本の現制度と大差は無い、と。
「だが、女帝の言ってたのはそれとは違う。吸血鬼族の、例の呪いと同種の、思い契約だ。勿論離婚なんてありえん」
「……は? つまり女帝様は私に貴方と結婚しろと?」
「いや、国に届けを出しての婚姻までは望んでいないだろう。あくまで契約の方だな、あの方が望んだのは」
いや、それおかしいよね!?
「……スマン、これ以上詳しい事は今は勘弁してくれ。女帝の命令じゃやきゃ即座に断ってる話なんだ」
そして。
「もう、行こう。諸々の手続きに時間がかかるだろうし、宿を取ろう。必要なら買い物もすれば良い。ドレスや宝石は買ってやれないが、食料や日用品なら俺が出してやる」
「……う、今日はもうこれ以上歩きたくないよ。お腹は空いたけど」
「なら、飯の美味い宿へ行くか」
「うん」
明らかに話そらされて誤魔化されたんだけど。
身近に水場もなく船を出せないこの状況で。
アルト以外に頼れる人の居ない今、それ以上追求は出来なくて。
またしても影御用達みたいな通路を通って街へ出た。
「……凄い」
そこはまるでイタリアのミラノの街のようで。
栄えていて賑やかなのに、どこかノスタルジックな、落ち着いた大人の街という印象の都市だった。
「こっちだ、行くぞ」
城からそう遠くない広場に面した、洒落た建物の中に躊躇いなく入っていくアルト。
「いらっしゃい」
そんな私達を出迎えてくれたのは、美しい金の長い髪と特徴的な耳を持つ美人さんでした。
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