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第四章

教会……て言うか祠だよね?

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 うみゃーうみゃー、と、ともすると猫の鳴き声にも聞こえる鳥の鳴き声が、まるで目覚まし時計のベルのように、私を夢の世界から現実に引き戻した。

 ……木船の上で寝たせいで、体があちこち痛い。
 ゆっくり身を起こし、伸びをする。

 「あ、起きた、起きた? なら行こう、こっちだよ!」

 早速急かしてくるオルカを抑え、昨日のうちに用意していたサンドイッチで朝ごはんを済ませる。

 「それで、オルカ。本当に道が分かるの?」

 「うーん、フィーネがこっちだって言ってたよ?」

 「私は風の精霊ですから。海の中や川や湖など水の中、或いは地中、果ては空の遥か上、その様な場所でない限り、私に手に入らぬ情報はございませんもの」

 「……案内、お願い出来る?」

 「ええ、勿論」

 島の植生は、まるで沖縄の離島の様な……。
 いかにも、南の島の田舎的な雰囲気のある道を行く。

 この世界に来て、最低限とはいえ人の手の入った道を歩くのは初めてだった。

 やはり獣道と違って凄く歩きやすい。

 そうして辿り着いたのは、港近くの村外れ。

 「ほら、あれがそうよ」

 示されたのは……、木造の祠。日本ならあそこにお地蔵様とかが居そうな、そんな……。

 そしてこの島では信仰は盛んなようで、これから漁に出るらしい男たちが入れ代わり立ち代わりお参りに来る。

 私は茂みに隠れてそれを眺めるしかない。

 何しろ、海の男だけあって、みんな屈強だしよく日に焼けて見るからに元気そう。
 そして、来る人くる人皆知り合い同士の様で、楽しそうに会話しながら来ては帰っていく。

 これ、どう考えても田舎でよく聞くご近所皆知り合い、よそ者が来ればすぐ分かる、そう言う雰囲気だよね。

 「……場所は分かったわ。夜にもう一度出直しましょう」

 こんな田舎で不審者。
 その扱いがどうなるかなんて……
 それこそ、実は怖い昔話的な展開になりそうで、到底出ていく気にはなれないから、人の居なくなる時間を狙って来るしかなさそう。

 そう結論を出すのは当然だった、の、だけど。

 「えぇー、何でぇ? もうすぐ目の前なのに、何で! ボク、早く神様に褒めて貰いたいのにぃ!」

 オルカが大きな声で抗議したもんだから。

 「おい、あそこに誰か居るぞ!」

 たちまち発見されてしまった。

 逃げようにも、片やひ弱な現代っ子、ここしばらくで多少鍛えられはしたけれど土地勘もない女、片や生粋の肉体労働者漁師で筋肉ムキムキな地元の男達。

 勝負にもなりゃしない。

 あっという間に取り押さえられてしまう。

 「何だ、妙な格好してやがる!」
 「何で娘っ子一人なんだ? 他にも誰か居るんじゃないか? 探せ探せ!」

 たちまちの内に村は大騒動になってしまったのだった。
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