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ドキドキ!摩訶不思議な出逢い祭当日!
しおりを挟むいよいよ『ドキドキ!摩訶不思議な出逢い祭』の当日。
今朝はお父さんが早くに出掛ける用事があったのでバタバタ用意をすることになった。
今日は学校に持っていく物はないので手ぶらだ。
光はおじいちゃんのステッキに紐を着けて胸元にぶらさげて隠している。
麻那人は小さなポシェットを持っていた。
学校へはお菓子は持っていけないけれど、そこは『悪魔だから』いいんだって。
そして空太も一緒の登校。
光はこっそり麻那人に話しかける。
「麻那人、もう悪魔王子なの?」
「それは、日が落ちてからさ」
「そ、そっか……」
麻那人の様子はいつもどおりだ。
光もお祭りの楽しみと、その後の作戦と色んな思いが混ざり合ってドキドキしている。
そして学校到着。
「みんな、作戦はあるけどお祭りは楽しもうね」
光の言葉に、魔術クラブのみんなが頷く。
午前中は展示やお店を回る時間だ。
午後からは縦割りグループで宝探し。
肝だめしは低学年から始まって三年生以下は下校。
夕方から三年生以上の薄暗いなかのこわ~~い肝だめしが始まる!!
そして校庭で焚き火を囲んで歌を歌って終了だ。
暗くなってからの下校なので保護者に見守られたグループ下校になる。
まずは体育館で開会式。
校長先生の『楽しみましょう!』の声でお祭りは始まった。
「……あれが校長先生か」
麻那人のつぶやきが聞こえてきた。
校長先生は、それなりの高齢なのに元気いっぱいの男の先生。
たまに鬼ごっこもしてくれる。
まさか今の校長先生が学校の不思議な効果や結界を創ったわけではないでしょ、と光は思う。
それからクラスで担任の先生の話を聞いて、そこから自由行動だ。
「麻那人君~一緒にまわろうね」
ラーが麻那人に近付く。
「どうせ魔術クラブは全員で行動するだろっ」
いつの間にか集まっている魔術クラブ。
空太は言い切って、一緒にリィやルルも頷いた。
「そうだね」
光も頷く。
「あ、ねぇカメラマンさんいるよ! 私の知ってる人だわ」
ワイワイと活動を始める子ども達をカメラマンさんが撮影している。
後日に校内販売される写真だ。
「お願いみんなで一枚写真を撮ってください~~~」
ラーが頼むと、カメラマンさんが一枚パシャっと並んだ魔術クラブを撮影してくれた。
「麻那人は……写真大丈夫なの?」
コッソリ麻那人に聞いた。
フラッシュは焚かれなかったが気になってしまう。
怪異は映らない、なんてよくある話だし。
「もちろん、僕は大丈夫だよ」
「そっか良かった(そういえば、麻那人と写真を撮ったことなかったな……)」
「うふふ、出来上がりが楽しみだわ~」
ラーが嬉しそうに笑う。
「(でも、この写真が出来上がる時には……麻那人は……)」
なんだか、心がズキッとしてしまう。
昨日、麻那人とクッキーを作った。
悪魔の形のクッキー。
でも明日でさようならなの? とは聞けなかったのだ。
「光? 行こうよ」
「光~?」
立ち止まってしまった光を麻那人が笑顔で呼ぶ。
みんなも笑顔だ。
「ごめーん! 待って」
余計なことは考えないようにしようと、光はみんなの元へ駆け出した。
◇◇◇
「アクセサリーが買えるなんて思わなかったわぁ」
ラーが二年生のお店で買ったネックレスを首にかけている。
意外にラーは面倒見がよくて下の学年の子のお店でたくさん買い物をしていた。
「あたしは六年生のお店でフェルトのぬいぐるみ買った~めっちゃ可愛い」
「私も」
リィとルルはお揃いでぬいぐるみを買ったようだ。
やっぱり上級生のお店の物は凝った作りだ。
「女の買い物はなげーから、俺と麻那人はサッカーゲームやったり輪投げで全部使っちゃったぜ」
「楽しかったなぁゲーム。小学生ってすごいなぁ」
麻那人の言葉に光はギョッとする。小学生はそんなこと言わない。
「あ、あっちのバスケゲームもしよ!」
麻那人と空太と行動していた光もほとんどゲームでネコネコ紙幣を使い切った。
一緒に行動と言っても、付かず離れずでみんな思い思いに楽しむ。
給食も今日は特別メニュー!
みんな大好き、きのこ揚げパンにカレースープ、サラダ。
それにスペシャルねこゼリーも付いている!
「うわ、このパンすっごく美味しい。お菓子みたい」
麻那人が一口食べて、喜び驚く。
何を食べても絶対喜ぶので光は笑ってしまう。
「美味しいよね! 学校で人気ナンバーワンだよ~」
光も大好きだ。
みんな笑顔でワイワイ食べている。
カレースープもカレーが大好きな麻那人はおかわりもした。
「給食ってやっぱりいいなぁ……悪魔界にもあればいいのにな」
ボソッと麻那人が考えごとをするようにつぶやく。
「(悪魔界のこと、考えてる……やっぱり麻那人は帰るつもりなんだ……)」
「おい、光~? ゼリー残すのか!?」
あまり食べていない空太が光の机を覗き込む。
「そ、そんなわけないでしょ!? ゼリー大好きなんだからぁー!」
教室に光の大声が響いて、みんな笑った。
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