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駄菓子屋ぺってぽりん
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一度家に帰って、ランドセルを置いた二人。
お父さんはお出かけ中のようだ。
猫のクロをなでなでする。
「クロ~僕達はまた出かけてくるよ」
『やだぁさびしい~』ってクロが言ったような気がしてドキッとする。
今日は悪魔王子がいるので、自転車はやめた。
リュックを背負って、歩いて行こうと準備した。
二人でまた、裏山へ行く道を歩く。
「ねぇ光。お菓子買っていこうよ」
「いいね~。うん、じゃあコンビニ寄って行こうか」
「コンビニも今度行ってみたいけど、いいお店を見つけたよ。駄菓子屋」
「え? (そんなお店あったかな?)」
悪魔王子は、ふいに足をとめる。
歩いている大きな道路は、通学路。
車はそんなに多くない。
家の並んだ道、住宅街だ。
「あ……そこは、行き止まりの道だよ」
麻那人が入っていったのは、狭い道。
実はT字路の行き止まりだ。
よく、間違えた人が戻ってくるのを見かける。
行き止まりにあるのは、何故か赤いレンガの積まれた壁。
ボロボロで、すごく古くて気味が悪い。
その脇にある家二軒も、もう古い空き家だ。
「そんなとこ、なんにもないよぉ」
「ハッハッハ。これだから人間は……! あさはかで、あ~~る」
まんじゅう悪魔おじさんが、光の頭の上でバカにしたように笑った。
「あ、まんじゅう悪魔おじさん……あさはかってなによ」
「ファルゴンだって言ってるじゃろぉ! お前には見えないだけじゃ」
「なによぉ! 悪魔には何が見えてるの!?」
「ふふ。まだ僕にも見えてはいないんだがね?」
「?(今の悪魔王子は人間だから?)」
「それでは今日第一回目の魔法を……」
麻那人の手から光る魔法陣が現れ、そこから出た光が赤いレンガの壁にビームのように当たる。
「わ! これが魔法……!?」
「さっすが我らが魔法王子! 詠唱なしでカックイイ!」
「あはは、ファルゴン。褒めても僕と一緒にいるかぎりボーナスは出ないよ?」
「そんな事は百も承知のスケですじゃあ」
二人のよくわからない話を聞きながら、光の先を見つめていると……。
壁にお店の姿が見えだした。
「え……お店!?」
古めかしいお店。
「(これは……見たことがある……絵本で、見た!!)」
看板にせり出した赤い屋根。
引き戸のガラス戸。店の中には沢山のお菓子が並んでいるのが見える。
「だがしや、駄菓子屋ってやつだね」
「ほ、本当だ……看板に書いてる……『駄菓子屋ぺってぽりん』だって」
驚きでドキドキする。
「(コレは一体どういうこと!?) 魔法で出したの?」
「違うよ。僕は見えるようにしただけ」
「見えるように……」
つまり、この店はここにずっと存在していたってことだ。
「入ってみよう。みんなに飴玉でも買っていこうじゃあないか」
「さすがハンサム! 思いやりがあって最高! さすが我らが悪魔王子ですじゃあ!」
褒め称えるファルゴン。
ハンサムってイケメンってことだっけ? と光は思う。
「は、入れるの??」
「お店だよ? 開店中だ」
あわてる光を横に、悪魔王子はガラスの引き戸を横に開ける。
気付けば店の外にがガチャガチャもあるけど、カプセルのなかで何かうごめいている?
「こんにちはぁ~!」
麻那人が笑顔で挨拶する。
「はぁ~~い~~。いらっしゃ~~い」
ドキッとした。
誰かいる!!
またびっくりした。
ゆっくりとした喋り方の声が聞こえてきた。
お父さんはお出かけ中のようだ。
猫のクロをなでなでする。
「クロ~僕達はまた出かけてくるよ」
『やだぁさびしい~』ってクロが言ったような気がしてドキッとする。
今日は悪魔王子がいるので、自転車はやめた。
リュックを背負って、歩いて行こうと準備した。
二人でまた、裏山へ行く道を歩く。
「ねぇ光。お菓子買っていこうよ」
「いいね~。うん、じゃあコンビニ寄って行こうか」
「コンビニも今度行ってみたいけど、いいお店を見つけたよ。駄菓子屋」
「え? (そんなお店あったかな?)」
悪魔王子は、ふいに足をとめる。
歩いている大きな道路は、通学路。
車はそんなに多くない。
家の並んだ道、住宅街だ。
「あ……そこは、行き止まりの道だよ」
麻那人が入っていったのは、狭い道。
実はT字路の行き止まりだ。
よく、間違えた人が戻ってくるのを見かける。
行き止まりにあるのは、何故か赤いレンガの積まれた壁。
ボロボロで、すごく古くて気味が悪い。
その脇にある家二軒も、もう古い空き家だ。
「そんなとこ、なんにもないよぉ」
「ハッハッハ。これだから人間は……! あさはかで、あ~~る」
まんじゅう悪魔おじさんが、光の頭の上でバカにしたように笑った。
「あ、まんじゅう悪魔おじさん……あさはかってなによ」
「ファルゴンだって言ってるじゃろぉ! お前には見えないだけじゃ」
「なによぉ! 悪魔には何が見えてるの!?」
「ふふ。まだ僕にも見えてはいないんだがね?」
「?(今の悪魔王子は人間だから?)」
「それでは今日第一回目の魔法を……」
麻那人の手から光る魔法陣が現れ、そこから出た光が赤いレンガの壁にビームのように当たる。
「わ! これが魔法……!?」
「さっすが我らが魔法王子! 詠唱なしでカックイイ!」
「あはは、ファルゴン。褒めても僕と一緒にいるかぎりボーナスは出ないよ?」
「そんな事は百も承知のスケですじゃあ」
二人のよくわからない話を聞きながら、光の先を見つめていると……。
壁にお店の姿が見えだした。
「え……お店!?」
古めかしいお店。
「(これは……見たことがある……絵本で、見た!!)」
看板にせり出した赤い屋根。
引き戸のガラス戸。店の中には沢山のお菓子が並んでいるのが見える。
「だがしや、駄菓子屋ってやつだね」
「ほ、本当だ……看板に書いてる……『駄菓子屋ぺってぽりん』だって」
驚きでドキドキする。
「(コレは一体どういうこと!?) 魔法で出したの?」
「違うよ。僕は見えるようにしただけ」
「見えるように……」
つまり、この店はここにずっと存在していたってことだ。
「入ってみよう。みんなに飴玉でも買っていこうじゃあないか」
「さすがハンサム! 思いやりがあって最高! さすが我らが悪魔王子ですじゃあ!」
褒め称えるファルゴン。
ハンサムってイケメンってことだっけ? と光は思う。
「は、入れるの??」
「お店だよ? 開店中だ」
あわてる光を横に、悪魔王子はガラスの引き戸を横に開ける。
気付けば店の外にがガチャガチャもあるけど、カプセルのなかで何かうごめいている?
「こんにちはぁ~!」
麻那人が笑顔で挨拶する。
「はぁ~~い~~。いらっしゃ~~い」
ドキッとした。
誰かいる!!
またびっくりした。
ゆっくりとした喋り方の声が聞こえてきた。
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