第二王子に転生したら、当て馬キャラだった。

覚醒編

29話 誘惑の罠

アスラは、ポーションを受け取ると鑑定をかけた。

『回復ポーション

身体の部位欠損にも効果あり。
死ななければ全開まで持っていくことが可能な
ポーションである。』


「ちょっ……これって…」

「殺傷性のあるものは渡せないよ。危険だからね」

「まぁ、そりゃ～そうだろうけど……まぁ、これで
　もありがたいよ」

「うん、それくらいならね。兄さんにも渡しておこ
　うと思って持ってたんだ」

「お前、あのジェイムスってやつの事信じてるんだ
　な？虐待受けてたんだろ？平気なのか？」

アスラにとっては、信じがたいと言いたいらしい。
だが、今のルイスにはそれが正規ルートなのだ。

一番簡単に攻略できる最短ルート。
初めてなら、ジェイムスを落とすに限るとさえ言
われるほどに、あたり前なのだ。

それに、今自分は男だったのだが、それでも惚れ
てしまうくらいにはイケメンで、かっこいい。

「僕を折檻してたのは、イザベラ王妃だったから
　兄さんは関係ないんだ。いつも心配してくれて
　て、この学校に通えるってなった時は嬉しかっ
　たんだ」

「ふ～ん。そっか………何か困った事があったら
　言えよ俺も手伝ってやるよ。ルイス、お前俺を
　訴える気はないんだよな？」

「まぁ、そうだね。そうなるかも…訴えて捕まっ
　たりでもしたら孤児院の子達はどうするの？実
　力あるんだから、普通に稼ぎなよ」

「まぁ、これからはそうするよ」

「あ、ならちょっと頼まれてくれない？今度ダン
　ジョンへ潜るんだけど…一緒に手伝ってよ。探
　したいものがあるんだよ」

「あぁ、いいぜ。任せな」

アスラの了解も取ると聖剣を取りにいくメンバー
として考えていたのだった。

ジェイムス兄さんの体調がこれ以上悪化する前に
は是非ともいかなければならない。

聖剣さえ手に入れればジェイムスの瘴気は払われ
るはずだった。

「それじゃ～、ってその前に聞きたい事があった
　んだがまぁいいや、やめておくわ。俺の事情知
　りすぎだ……」

「聞かなくていいの？」

「素直に教えてくれるのか？」

アスラの質問に笑って返したのだった。
詳しくなど言えるわけはない。

ゲームのキャラ設定で読んだとしか言えないから
だった。


自分の部屋に戻ってきたのは、夕方になった頃だ
った。

部屋の前に待っているジェイムス兄さんを見ると、
どうにも気まずい。

「兄さん……ただいま……」

「こんな時間まで何をしてたんだ？」

「ちょっとダンジョンへ潜る前にと思って色々
　と準備を…」

「それなら俺と一緒に行ってもいいだろ？なん
　であいつを…」

ムキになるジェイムスに抱きつくとすぐに顔を
真っ赤にしていた。

あ、結構単純だ……

後の事を考えずにキスをする。
ちょっと揶揄うつもりで唇を重ねたつもりだっ
たが、なかなか離してくれなかった。

むしろぎゅっと抱き抱えられると、ベッドまで
運ばれてしまった。


「兄さんっ………」

「覚悟はできるてるんだろ？子供作ろうぜ？」

「ふえっ！ちょっ……ちょっと待って！」

本気そうな兄の顔に、ルイスは焦り出した。
まだ聞かなければならないこともあるのだった。