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覚醒編
17話 仲間潰しの男
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ダンジョンでは、常に何人かでパーティーを組む
のが普通だった。
だが、ルイスがいるので誰とも組まなかった。
それはルイスが聖女だと知られるわけにはいかな
かったからもあったが、それよりも二人で居たか
ったというのが大きいかもしれない。
神殿にもまだ行っていない。
一人で行かせられないと、ジェイムスが反対した
からだ。
ルイスも行きたがらないのもあって、城に出向い
てくる場合は会うが、こちらから出向くのを断っ
たのだった。
一回教会へ行った時に、なかなか引き止められて
帰れなかったのが理由だった。
「行くぞ。油断するなよ」
「うん」
さすが、攻略対象だった。
攻撃魔法も、剣の腕も騎士に負けないくらい強か
った。
前衛を一人で担い、抜けてくる魔物を始末しよう
とルイスが構えていたのだが、一匹も抜けて来な
かったのだ。
「兄さんって……強いんだね」
細かな傷も、致命傷にならないように先に治して
おく。
「これはなんだ?」
「僕が作ったんだよ」
そう言って聖女の力ではなく、普通のポーション
を傷口にかけたのだった。
あっという間に治ると、市販で売っているものと
は全く性質の違うもののようだった。
薬草学はポーション作成もあると聞く。
「すごいな。自分で作ったのか…」
「うん。この前に薬草取りに行った時に一緒に
探しておいたんだ」
抜け目のないルイスに、少し笑いが込み上げて
きた。
「お前は本当に……」
ルイスの頭を撫でると可愛く思えてくる。この
腹違いの弟を自分だけのものにできればいいの
に…。
いつしかそう考えてしまうようになっていた。
いつからだろう。
初めて弟の身体に触れた時だっただろうか?
この細い身体を自分のモノでめちゃくちゃに
犯したいという衝動に駆られたのは。
まるであらかじめ自分のモノであるかのよう
なそんな錯覚さえも覚えたのだ。
「さぁ、休憩したし、次に行くか?」
「うん、二階層ってどんなところなの?」
「見たいか?」
「うん。兄さんと一緒なら、行きたい」
純粋な目で見られると、少し無理してでも
行ってみようと思ってしまう。
ジェイムスは最近この衝動に逆らえなくな
ってきて来た。
それは、気づいたら腕の中でぐったりと気
を失うルイスを見たくないのだ。
ルイス自身嫌がらないので、余計にタチが
悪い。
「ルイス、今度他国の姫が来るらしいぞ。
いい関係を築けるように頑張れよ」
「兄さんっ……何を言ってるの?僕は……」
「シッ……誰かくるっ!」
真剣な顔つきになったジェイムスに、緊張が
走る。
「あっれ~、二人で潜ってるの~?」
軽い声が聞こえると、これまた顔がいい男性が
出て来た。
長い髪を一つで束ねた色のある男だった。
「なんの用だ?俺らは二人で十分だが?」
「そんな事言うなって、さっき一緒にいたパー
ティーがさ、全滅しちまったってわけよ。荷
物持ちの俺だけ生き残ったってわけ。どう?
この後、荷物山分けでいいからさ一緒にどう?」
「断る…他を当たるんだな」
見たことがある出立ちだった。
ゲーム中盤に出てくるアスラ・ヴィクトリア。
彼はパーティーメンバーをいつも全滅させて、
その分の獲得品を一人でせしめていた。
だから、回復のいないパーティーを狙うのだ。
やり口はいつもと一緒のようだった。
食事の時に睡眠薬を僅かに混ぜて、疲労が出て
くる頃には手足の麻痺も効いてきて、魔物との
戦闘中に全滅となるのだった。
のが普通だった。
だが、ルイスがいるので誰とも組まなかった。
それはルイスが聖女だと知られるわけにはいかな
かったからもあったが、それよりも二人で居たか
ったというのが大きいかもしれない。
神殿にもまだ行っていない。
一人で行かせられないと、ジェイムスが反対した
からだ。
ルイスも行きたがらないのもあって、城に出向い
てくる場合は会うが、こちらから出向くのを断っ
たのだった。
一回教会へ行った時に、なかなか引き止められて
帰れなかったのが理由だった。
「行くぞ。油断するなよ」
「うん」
さすが、攻略対象だった。
攻撃魔法も、剣の腕も騎士に負けないくらい強か
った。
前衛を一人で担い、抜けてくる魔物を始末しよう
とルイスが構えていたのだが、一匹も抜けて来な
かったのだ。
「兄さんって……強いんだね」
細かな傷も、致命傷にならないように先に治して
おく。
「これはなんだ?」
「僕が作ったんだよ」
そう言って聖女の力ではなく、普通のポーション
を傷口にかけたのだった。
あっという間に治ると、市販で売っているものと
は全く性質の違うもののようだった。
薬草学はポーション作成もあると聞く。
「すごいな。自分で作ったのか…」
「うん。この前に薬草取りに行った時に一緒に
探しておいたんだ」
抜け目のないルイスに、少し笑いが込み上げて
きた。
「お前は本当に……」
ルイスの頭を撫でると可愛く思えてくる。この
腹違いの弟を自分だけのものにできればいいの
に…。
いつしかそう考えてしまうようになっていた。
いつからだろう。
初めて弟の身体に触れた時だっただろうか?
この細い身体を自分のモノでめちゃくちゃに
犯したいという衝動に駆られたのは。
まるであらかじめ自分のモノであるかのよう
なそんな錯覚さえも覚えたのだ。
「さぁ、休憩したし、次に行くか?」
「うん、二階層ってどんなところなの?」
「見たいか?」
「うん。兄さんと一緒なら、行きたい」
純粋な目で見られると、少し無理してでも
行ってみようと思ってしまう。
ジェイムスは最近この衝動に逆らえなくな
ってきて来た。
それは、気づいたら腕の中でぐったりと気
を失うルイスを見たくないのだ。
ルイス自身嫌がらないので、余計にタチが
悪い。
「ルイス、今度他国の姫が来るらしいぞ。
いい関係を築けるように頑張れよ」
「兄さんっ……何を言ってるの?僕は……」
「シッ……誰かくるっ!」
真剣な顔つきになったジェイムスに、緊張が
走る。
「あっれ~、二人で潜ってるの~?」
軽い声が聞こえると、これまた顔がいい男性が
出て来た。
長い髪を一つで束ねた色のある男だった。
「なんの用だ?俺らは二人で十分だが?」
「そんな事言うなって、さっき一緒にいたパー
ティーがさ、全滅しちまったってわけよ。荷
物持ちの俺だけ生き残ったってわけ。どう?
この後、荷物山分けでいいからさ一緒にどう?」
「断る…他を当たるんだな」
見たことがある出立ちだった。
ゲーム中盤に出てくるアスラ・ヴィクトリア。
彼はパーティーメンバーをいつも全滅させて、
その分の獲得品を一人でせしめていた。
だから、回復のいないパーティーを狙うのだ。
やり口はいつもと一緒のようだった。
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戦闘中に全滅となるのだった。
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