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覚醒編

3話 心配

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部屋に入ってきたジェイムスの姿を見て、涙が溢
れてきた。

「ジェイムス兄さん……助かった……?」

「あぁ、聖女の覚醒でまる一週間も眠っていたん
 だぞ?心配させやがって……ルイス、どこか痛
 むところはあるか?」

何を言っているのか理解できない。

「聖女?」

あの場にセシリアはいない。
そういえば夢の中で自分が聖女になるに相応しい
と言われたっけ……。

ぼんやりと考えながら、ジェイムスを見上げた。

「俺はすっかり元気だよ。これもルイスのおかげ
 だ」

「どうして僕の?聖女って……?」

まだ寝ぼけているのか、頭がはっきりとしない。

「覚えてないのか?ルイス、お前が聖女として
 覚醒したおかげで俺は助かったんだよ。これ
 から教会の方で儀式をして正式に発表する事
 になるからな」

「えっ……、ちょっと待って…どうして僕が?」

「さぁ~な。だが、一番純粋無垢な魂に聖女の
 力は宿ると言うし、妥当だと思うぞ?」

「純粋無垢って……」

「そうだな…純粋なのはわかるが、無垢ではない
 かもしれないな……」

ジェイムスはベッドに近寄ると、腰かけた。
さっき落とした水差しを片付けさせると人払いを
したのだった。

「もう教会へ行くの?」

「あぁ、だが…ちょっとルイスを補充させてくれ」

そう言うとぎゅっと抱きしめてくる。
いつも自信満々な兄が今日ばかりは少し震えてい
る気がした。

「ジェイムス……にいさん?」

「もう目覚めないかと心配したんだぞ……」

「ごめん…なさい」

「謝る事はない、俺の為にやったんだろ?でも
 な、もうあんな事は二度とするなよ?」

あんな事とは、自分の腕を切り裂いた事だろう。
あれはセシリアがゲームの中でした行動だった。

聖女の祈りがまだ使えない時、いきなりの自傷
行為?
と思えるほどがっつり切り裂いていたのだった。

それを真似しただけだった。
何もしないよりはいい。
そう思ってした事だったが、結構深く切ってし
まっていたらしい。

今にも死にそうな兄の方が心配になるくらいだ
ったという。
抱きしめる手に力が籠る。

「苦しいよ……」

「よかった……本当によかった…」

ジェイムスの心がルイスに向いていると思うだけ
で、胸が張り裂けそうなくらいに嬉しかった。

ルイスはジェイムスの背中に腕を回すと、唇を重
ねた。

軽く触れるだけだったが、ルイスにとってはこれ
が精一杯だった。

「大好きだよ…ジェイムス兄さん」

にっこりと笑顔を向ける。
それを間近で見て、何もしないジェイムスでは
なかった。
弟にここまでされて、ただで帰るわけにもいか
ない。

本当はまだ本調子ではないだろうと思い、身体
を拭いて出ていくはずだった。

「そうだ、身体を拭く為に汲んできたんだ。ほ
 ら、脱いで」

「別に自分でも……」

「いいから。それとも脱がせてほしいか?」

「うん……」

あまりにも素直に頷かれると、ジェイムスの心臓
が高鳴る。
そんな事も知らずに煽るだけ煽ってしまったルイ
スは、この後自分がどうなるかなど考えもしなか
った。

上半身を拭き終えると下半身もと、ズボンを脱ぐ。

足から太腿へ、そして小さなお尻へと拭いていく。

拭き終えると今度は股の間にある少し元気になり
つつあるモノへと触れてきたのだった。

「兄さんっ……そこはちょっと……」

「大丈夫だ、ちょっと処理してやるだけだ…」

そう言うと、剣を掴む硬くてゴツゴツした指が
ルイスの細くて色素の薄いモノを握り込んでき
た。

「あっ……やぁっ……離して……」

「ビクビクしてる……いいぞ、出しても」

「やだっ…兄さん、離して…おねがぃ…っ!」

タオルを先端に擦りつけるように触れると敏感
なソレはたらたらと涙を溢していく。
仰反るように、ぷるぷると震えるルイスを眺め
ながら、少し手の動きを早めた。

それと同時にお尻を割って中に隠れた蕾に触れ
てみる。

鬼頭の先端がくぱくぱと開くと同時に蕾もヒク
ヒクとさせていた。

「ここも感じるんだよな?」

「いやぁあっ…そこは…、はぁっ…あぁぁっ」

指でグニグニと押しながら入り口にツプッと指の
先端が入る。

入り口を広げるように円を書くように広げる。
ぐ~り、ぐ~り、ぐ~りと広げていく。

ひっきりなしに声が漏れる。
人払いはさせたが、ドアの向こうには兵士が今も
立っている。
その事をルイスは知らなかった。


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