白と黒の呪い戦線

界 あさひ

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呪いと祝福の境界

019 神vs悪魔

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「私は呪われていない」
 
 言い切ってニヤリとしたミナミに対して、カルタは一瞬、言葉を失った。
「呪われてない!?そんなことある訳ないでしょう!?私の「呪い」で強化された110人もの私の信者を倒しておいて!そんなわけないだろう!?呪われてないなんて嘘は!この期に及んで無意味も同じだぁ!!」
 カルタは敬語の崩れた早口で一気に捲し立てた。
「嘘じゃねぇんだけどなぁー」
と小さくボヤいたミナミは、褒められた子供のように嬉しそうにして、突如思い立ったように顔をあげ、カルタを笑ったまま睨んだ。まるで蛇のようなその目にゾクっとして、一瞬だけ恐怖に支配されたカルタは再び足が竦んだのを感じた。

「まぁいいや。
 さぁ教祖様ぁ、チェックだ。」
とミナミは一気に駆け出した。竦みから、一瞬だけ反応が遅れたカルタもミナミの動きに対応した。
 一瞬でカルタの目の前に迫ったミナミは引いていた右腕を勢い付けてカルタのみぞおち目掛けて殴りを入れた。カルタは何とか反応して両腕を使ってガードしたが、防御した次の瞬間にはミナミの次の攻撃が、回し蹴りがカルタの頭部を襲っていた。
 反応さえする前に、倒れたカルタには、まるで急に地面が反転したように見えた。カルタは蹴られた頭を押さえながら、蹴られた衝撃でよろめきながら立ちあがろうとしたが、今度は頭を押さえている方とは逆の方の頭をまるでサッカーボールをシュートするかの如く蹴られた。
 首がヤバい。ヤバい。このまま立てないまま嬲り殺される。そう思ってなんとか立ちあがろうとするカルタであったが、ミナミの攻撃は止まらない。既にボロボロのカルタに対して、卑劣な攻撃の手を止めないミナミが笑っているのが見えた。カルタの目にはミナミが、悪魔のように見えた。いや、ミナミこそが、悪魔そのものであると考えた。
 頭や顎を的確に蹴る。もはやカルタの意識は危うくなっていた。
 ミナミの下段蹴りで、カルタは吹っ飛んだ。ズザザ…と音を立てて横になったまま引きずった。
 と、ここで、攻撃の手が止んだ。カルタはもはや目を開けることもできなくなっていたが、ミナミが今どこにいるのか、もはやそんなことはどうでもよかった。とにかく攻撃が止んだ。逃げる。この悪魔から今すぐに。今はまだ勝てないが!いつか!いつか絶対にこの悪魔をぶっ殺す!!私が!討伐しよう!!
 ボロボロになりながら、何とか立ち上がったカルタはそう誓った。
 
 その瞬間、カルタの顔面ど真ん中を、ミナミは殴りつけた。
 
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