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5.ユウマの能力
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ユウマが『ギフト』と唱えた瞬間、ユウマの眼前に半透明のプレートが現れた。よくゲームで出てくるステータス画面に似ている。
ーーーーー
名前:ユウマ
職業:勇者
異世界からの召喚者
神の使徒
能力:鑑定
森羅万象
異世界参照
全言語理解
ーーーーー
鑑定は分かる。図鑑みたいなのを自動的に参照できるのだろう。ここでは、対象を見て『鑑定』と唱えるだけで良いようだ。
森羅万象とは何か。詳しく見たいと集中したら、新たにプレートが出てきた。別ウィンドウが開いた感じだ。それによると、この異世界の常識や学術知識、全魔法知識など全ての知識を理解する能力のようだ。
異世界参照は地球上の知識を検索して利用できる能力。
全言語理解は文字通り全ての言語を理解して使うことができる能力。確かにユウマはいつの間にかこの国の言葉を使っていた。疑問に思わないくらい自然だった。
「……なるほど」
「ユウマ殿、どうされたのだ」
コンラッド達にはこのプレートは見えないらしい。不思議そうに、あるいは不審そうにユウマを見る。
「いえ、俺に何ができるかと思って、自分のギフトを確認していたんです」
「ギフト……スキルのことか?」
「ギフトは女神に貰った能力です」
新たな言葉が出てきた。『森羅万象』で調べると、スキルとは個人の修練により獲得された能力で、得意なことがスキルとして登録されると、より効率的に行えるようになるらしい。才能によりスキルの習得、鍛練の難易度は変わる。
まあ、普通のことだ。努力すれば能力を得られるが、それには個人の才能が影響するのは地球でも同じだった。
「そうか。勇者は召喚の際に神から能力を与えられると聞いてはいたが、本当だったのか」
コンラッドが感心するように何度か頷く。
「それでその貴方のギフトというのはどういうものなんですか?」
「これ。個人の能力は容易く聞いてはならんよ。ユウマ殿、教えなくてよいのだぞ」
口を挟んだホルトをコンラッドが窘める。確かにユウマが得たこちらの常識では容易くスキルを明かしてはいけないようだ。
「構いませんよ。俺はこれからこの国でお世話になるんですから。この国の課題を片付けるためにも、貴方達には俺のギフトを知っていて貰った方がいいと思います」
「そうなのか?」
ユウマが頷いて自分のギフトを教えると、3人がそれぞれの表情で考え込んだ。
「私はこれまでの勇者の記録を読みましたが、ほとんどが莫大な戦闘能力を保有し、知識人として優れていたというものは有りませんでしたね」
「ホルト、私も読んだが確かにその通りだった。私はてっきり帝国を打ち倒す能力かと思っていたのだが」
「良かったじゃないっすか。うちは戦争するつもりなんてないんすから。知識人の方がいいっすよ」
「確かにその通りだ。勇者というより、賢者と呼んだ方がいいかもしれん」
いや、やめて?折角勇者という厨二病的呼び名を免れたと思ったのに、賢者なんてのも嫌だ。
……職業欄にはしっかりと勇者ってあるんだけどね。全力で見ない振りしてたのに。
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名前:ユウマ
職業:勇者
異世界からの召喚者
神の使徒
能力:鑑定
森羅万象
異世界参照
全言語理解
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鑑定は分かる。図鑑みたいなのを自動的に参照できるのだろう。ここでは、対象を見て『鑑定』と唱えるだけで良いようだ。
森羅万象とは何か。詳しく見たいと集中したら、新たにプレートが出てきた。別ウィンドウが開いた感じだ。それによると、この異世界の常識や学術知識、全魔法知識など全ての知識を理解する能力のようだ。
異世界参照は地球上の知識を検索して利用できる能力。
全言語理解は文字通り全ての言語を理解して使うことができる能力。確かにユウマはいつの間にかこの国の言葉を使っていた。疑問に思わないくらい自然だった。
「……なるほど」
「ユウマ殿、どうされたのだ」
コンラッド達にはこのプレートは見えないらしい。不思議そうに、あるいは不審そうにユウマを見る。
「いえ、俺に何ができるかと思って、自分のギフトを確認していたんです」
「ギフト……スキルのことか?」
「ギフトは女神に貰った能力です」
新たな言葉が出てきた。『森羅万象』で調べると、スキルとは個人の修練により獲得された能力で、得意なことがスキルとして登録されると、より効率的に行えるようになるらしい。才能によりスキルの習得、鍛練の難易度は変わる。
まあ、普通のことだ。努力すれば能力を得られるが、それには個人の才能が影響するのは地球でも同じだった。
「そうか。勇者は召喚の際に神から能力を与えられると聞いてはいたが、本当だったのか」
コンラッドが感心するように何度か頷く。
「それでその貴方のギフトというのはどういうものなんですか?」
「これ。個人の能力は容易く聞いてはならんよ。ユウマ殿、教えなくてよいのだぞ」
口を挟んだホルトをコンラッドが窘める。確かにユウマが得たこちらの常識では容易くスキルを明かしてはいけないようだ。
「構いませんよ。俺はこれからこの国でお世話になるんですから。この国の課題を片付けるためにも、貴方達には俺のギフトを知っていて貰った方がいいと思います」
「そうなのか?」
ユウマが頷いて自分のギフトを教えると、3人がそれぞれの表情で考え込んだ。
「私はこれまでの勇者の記録を読みましたが、ほとんどが莫大な戦闘能力を保有し、知識人として優れていたというものは有りませんでしたね」
「ホルト、私も読んだが確かにその通りだった。私はてっきり帝国を打ち倒す能力かと思っていたのだが」
「良かったじゃないっすか。うちは戦争するつもりなんてないんすから。知識人の方がいいっすよ」
「確かにその通りだ。勇者というより、賢者と呼んだ方がいいかもしれん」
いや、やめて?折角勇者という厨二病的呼び名を免れたと思ったのに、賢者なんてのも嫌だ。
……職業欄にはしっかりと勇者ってあるんだけどね。全力で見ない振りしてたのに。
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