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マシュマロ

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「なんか甘いのが食べたいなぁ・・・。よーし、山に行くか!」


突然の甘味欲求にユータは旅立ちの準備を整える。行く先は雲が山頂にかかるあの山だ!

登山の装備を整え、アッシュをお供にいざ!出発!!!


山の麓には緑の木々が広がっており、鬱蒼としていた。木々の間からウサギの姿をし額に一本角を生やした魔物が襲いかかってくる。
ユータ達は危なげなく、ウサギの魔物を斬り伏せていく。ユータが剣で攻撃し、アッシュの牙が鋭く攻撃をしていく。


「ふぅ、思ったよりたくさんの魔物がくるね。でも小さいのばかりだから、問題はない。」
「ウオンッ!」
「アッシュもまだ余裕だね!さあ、この調子で進もう!」
「アオンッ!」


進んで行くと段々と木々が少なくなっていき、草花に紛れ地面が見え隠れしてきた。

中腹ほどまで進むと山は険しく、石がゴロゴロしてきた。そのため歩きにくく転びやすい。バランスを崩さないように一歩一歩、確実に進んでいく。なかなか思うように進まないが、アッシュが励ましてくれる。


「アン!アン!」
「うん!よーし!山頂までもう少しだ!頑張ろう、アッシュ!!」


途中、ユータ達の前に魔物が立ち塞がった。岩の体を持つゴーレムだ!


「まずいっ!ゴーレムには物理攻撃が効かない!魔法で戦うしかないかっ!!」


ユータは、両手をゴーレムに突き出し魔力を手のひらに集める。


(このゴーレムは、でかいっっっ!少し多めに魔力を溜めないとダメかもしれないっ!)
「・・・・・!!アッシュ!少しだけでいい!時間を稼いでくれっ!」
「ウォンッ!!!」


ユータの言葉にアッシュがゴーレムの前に躍り出る!
そして、鋭い牙を駆使しゴーレムを翻弄していく。大きなダメージは与えられないが、少しずつゴーレムの岩肌を削り取っていく。

アッシュの時間稼ぎのお陰で必要な分の魔力を溜めることに成功したユータ。すぐさまアッシュに声をかける。


「アッシュ!助かった!トドメを刺すから離れてくれ!」
「アン!」


ユータの声に反応するように、アッシュはすぐに戦線離脱をする。そのままユータの側にまで駆け寄ってきた。


「行くぞ!サンダーーーーーーーーーーー!!!!!」


ユータの魔法が解き放たれ、ゴーレムの頭上からバリバリバリバリッ!と稲妻が落ちる。眩い光が辺りを照らし、一瞬視界が見えなくなる。
次にはっきりと視界が確保できた時には稲妻はゴーレムに直撃したようで、ゴーレムの頭の部分から黒い煙を出し体は地面へと倒れ込んでいたのだった。


「・・・ふぅ、よし、アッシュのおかげで倒せたみたいだ。助かったよ!ありがとうな、アッシュ!」
「クォン!」


わしゃわしゃとアッシュの頭を撫で、ひとしきり戯れたユータは元気を補充しまた先に進むのであった。


一歩一歩、確実に山頂へと歩んできたユータ。雲がかかって霞んだ先に山頂が見えてきた。


「はぁー、長かったなぁ。でも、もう一仕事だ!」
「オン?」


そう言うとユータは、荷物の中から網を取り出した。そして、火をおこせるような平な場所に持って来た焚き木を用意し火を起こす。

山頂までもう少しだが、行かないのかと不思議な表情のアッシュ。
そんなアッシュに気づいたのか、ユータが説明をしてくれた。


「いいか、アッシュ。目的は山頂じゃないんだ。目的はコレだ!」


そう言うと手に持った網でここいら一帯をモヤのように覆う雲を掬いはじめたのだった。
すると網の中に綿のような塊が集まり始めた。そして、その綿を手に取り丸め棒へと刺すユータ。


「アッシュ知ってるか?雲をこうやって燃やすと・・・・・、なんと!マシュマロになるんだぞ!!!」
「クォン?・・・アン!アン!!」


なんとユータが集めた雲が燃やされる事によって固まりマシュマロへと変化したのだった!

出来上がったほかほかのマシュマロをユータは徐に口に運び、もぐもぐと口いっぱいに頬張るのだった。


「このあたりの雲は甘くて美味しいマシュマロになるんだよな~!うま~い!雲はたくさんあるから、たくさん取って焼こうな!アッシュの分もあるぞ!」
「アン!アン!!」


嬉しそうなのマシュマロを頬張るユータであった。





◇◆◇◆◇◆◇◆





「ママ、知ってる?雲を燃やすとマシュマロになるんだよ!」

「え!?そうなの??知らなかったわー!」


ドヤ顔のユータは、さらに続ける。


「しかも!マシュマロを水に入れてさらに焼くとー・・・どうなると思う?」

「ど・・・どうなるの?ユー君?」

「なんと!焼きマシュマロになりまーす!!!」

「えええええええっ?!そうなの??ユー君よく知ってるわねー!」

「えへへ!だから、ちょっと雲を取ってくるね!」

「うん!雲を取ってくる・・・のね?えっ?どこに行くの?」

「あっちの公園!滑り台の上まで行けば届きそうだから!」

「・・・・・よし、行くか!公園!」


意気揚々と飛び出し、滑り台を山に見立て登り始めたユータだったが、途中から虫取りへと移行するのだった。
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