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休息日
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町から程近い場所。青々とした草原が広がっていて、開放感がある。遠くには休憩できるスペースなのかベンチとテーブルが見える。
そんなのんびりとした場所にアッシュと来ていた。
いつも冒険ばかりだからたまの休息日と考えたのだ。
だから気を抜いていたのだ。
まさか、こんな長閑な場所で魔物に襲われるとは・・・!
『グゥウウウウ・・・』
『ガゥ・・・ワウン!』
ユータとアッシュは周りをグレートウルフの群れに囲まれてしまっていた。
グレートウルフの口からはヨダレが垂れ、鋭い眼光でユータを見ている。
足は地面を何度も掻いていて、今にも飛びかかってきそうな雰囲気を出している。
対するユータは、休息日なのと町から程近い場所と安心していた事で武器は持っていない状態であった。
絶対絶命のピンチだ!
唯一持っているのは、ここに来る前に新調した丸型の投げ武器とボール。あとはバッグに干し肉が少し入っているくらいだ。
「どうしたらいいんだ・・・?まだ新しい武器には慣れていないから、投げても飛ばせないし、ボールで対抗するしかないのか?!」
対策を考えるがなかなかいい案が浮かばない。その間もジリジリと間を詰められてくる。
グレートウルフは余裕の態度で尻尾を大きく振って近づいてくる。
焦るユータ。
そこへユータの前に飛び出してくる影があった!
なんとアッシュだった!!
アッシュは、グレートウルフを睨みつけ・・・
「アウ!アウン!」
威嚇し始めたのだ。そして、そのままグレートウルフのお尻に噛み付いた!
だが相手もやられっぱなしではなく、抵抗してくる。アッシュのお尻を噛みつこうと身体を動かしてくる。
周りのグレートウルフは、この戦いを見守っている。
(もしかして、あのグレートウルフがリーダーだったのかな?だから、アッシュはアイツに飛びかかったのだろうか?)
アッシュが戦っているのを横目にユータは状況を確認するのに必死だった。
2匹の戦いはなかなか決定打がなく、長引きそうな空気になってきた。
なんとかしたいが、どうしたらいいかわからないユータはふと手元の武器に目を向ける。
「・・・一か八かやってみるしかないか。」
覚悟を決めたユータは、丸型の投げ武器を構えた。それから大きく振りかぶり思い切って投げた!グレートウルフに向かって!
丸型の投げ武器は、そこそこのスピードで一直線に飛んだ。
・・・地面に向かって。
「あ・・・あれ?」
地面に叩きつけられるように飛んだ武器は、そのまま地面に当たり一度飛び跳ね落ちた。
しかし、そのトリッキーな動きが目を引いたのか周りのグレートウルフが興味深々と鼻をふんふん鳴らしながら、その投げ武器に集まってきた。
「あれ?なんか思ってたのと違ったけど、なんとか気が逸らせたと考えていいのかな?」
ちょっと気恥ずかしく頭を掻きながら、ユータは次の武器の準備をした。
「ボールでどこまでできるか分からないけど、やってみるか!」
大きく振りかぶり、今度はボールを投げる!
「よおぉーしっ!!行けぇぇー!!」
弧を描き遠くへと飛んでいく。
瞬間、グレートウルフ達の瞳がキラリと光る!投げた瞬間、我先にとボールに向かって飛び出す!
そう!あのボールはただのボールではないのだ!
犬系の魔物の気を引くように魅了の魔法が込められているボールなのだ。
たまたまアッシュの為に持ってきていたのだが、それが功を奏したようだ。
「アッシュ!今のうちに逃げるぞ!武器を持って出直しだ!」
アッシュへと目線を動かすと・・・いたはずの場所にアッシュが居ない。
「アッシュ?!どこに行ったんだ?!」
アッシュを探しているうちに、ドドドドドドドッ!と土煙と共に魔物達が向かってきた。先頭はなんと、アッシュだった!
「追われているのか?!助けなきゃ!」
慌ててアッシュに近づくと、アッシュの口元にあのボールが。
「これを追いかけているのか?さすが魅了の魔法がかかっているだけある。アッシュまで魅了されちゃったのは失敗だったが・・・それならっ!」
アッシュからボールを取ると、すぐにアッシュを抑えて、力一杯ボールを投げた!
案の定、またグレートウルフ達はボールへと向かって走り去っていった。
「今のうちに戻るぞ!」
「ワウン・・・ワフっ・・・」
少し疲れたのか動きの鈍いアッシュを引きずり、その場から退避することに成功したユータだった。
「ママ~!ボールを取られちゃったー!」
「ははっ!見てたわよー!他のワンちゃんとも遊んであげてたのね。大丈夫よ!あのワンちゃんは賢い子だからボールは持ってきてくれるのよ。」
ユータの後ろからタッタッタッと軽快な足音を鳴らしてゴールデンレトリバーが近づいてくる。口には先程ユータが投げたボールを加えていた。
ユータは少し怖がっているようだったので、ママがそっと近づきボールをゴールデンレトリバーからもらう。
「すいませーん!うちの犬とも遊んでくれてありがとうございます。身体が大きいから怖かったかな?」
「いえいえ、大丈夫ですよ。それにしても賢い子ですねー。ドッグランって初めて来たんですけど、みんないい子で安心しました!」
ママと一緒に話していた女の人が話しかけてきたが、こちらの返事は求めていないようだった。そのままママと話し込んでいく。
「次は負けないからな!それまでにフリスビーを投げる練習をしておくぞ!アッシュ付き合ってね!」
「ワン!」
1人と1匹は元気に駆け出していくのだった。後ろにはゴールデンレトリバーも一緒だった。
ーーーーーーーーーー
ちなみにアッシュはお尻を噛みついていません。匂いを嗅いでいただけです。(笑)
そんなのんびりとした場所にアッシュと来ていた。
いつも冒険ばかりだからたまの休息日と考えたのだ。
だから気を抜いていたのだ。
まさか、こんな長閑な場所で魔物に襲われるとは・・・!
『グゥウウウウ・・・』
『ガゥ・・・ワウン!』
ユータとアッシュは周りをグレートウルフの群れに囲まれてしまっていた。
グレートウルフの口からはヨダレが垂れ、鋭い眼光でユータを見ている。
足は地面を何度も掻いていて、今にも飛びかかってきそうな雰囲気を出している。
対するユータは、休息日なのと町から程近い場所と安心していた事で武器は持っていない状態であった。
絶対絶命のピンチだ!
唯一持っているのは、ここに来る前に新調した丸型の投げ武器とボール。あとはバッグに干し肉が少し入っているくらいだ。
「どうしたらいいんだ・・・?まだ新しい武器には慣れていないから、投げても飛ばせないし、ボールで対抗するしかないのか?!」
対策を考えるがなかなかいい案が浮かばない。その間もジリジリと間を詰められてくる。
グレートウルフは余裕の態度で尻尾を大きく振って近づいてくる。
焦るユータ。
そこへユータの前に飛び出してくる影があった!
なんとアッシュだった!!
アッシュは、グレートウルフを睨みつけ・・・
「アウ!アウン!」
威嚇し始めたのだ。そして、そのままグレートウルフのお尻に噛み付いた!
だが相手もやられっぱなしではなく、抵抗してくる。アッシュのお尻を噛みつこうと身体を動かしてくる。
周りのグレートウルフは、この戦いを見守っている。
(もしかして、あのグレートウルフがリーダーだったのかな?だから、アッシュはアイツに飛びかかったのだろうか?)
アッシュが戦っているのを横目にユータは状況を確認するのに必死だった。
2匹の戦いはなかなか決定打がなく、長引きそうな空気になってきた。
なんとかしたいが、どうしたらいいかわからないユータはふと手元の武器に目を向ける。
「・・・一か八かやってみるしかないか。」
覚悟を決めたユータは、丸型の投げ武器を構えた。それから大きく振りかぶり思い切って投げた!グレートウルフに向かって!
丸型の投げ武器は、そこそこのスピードで一直線に飛んだ。
・・・地面に向かって。
「あ・・・あれ?」
地面に叩きつけられるように飛んだ武器は、そのまま地面に当たり一度飛び跳ね落ちた。
しかし、そのトリッキーな動きが目を引いたのか周りのグレートウルフが興味深々と鼻をふんふん鳴らしながら、その投げ武器に集まってきた。
「あれ?なんか思ってたのと違ったけど、なんとか気が逸らせたと考えていいのかな?」
ちょっと気恥ずかしく頭を掻きながら、ユータは次の武器の準備をした。
「ボールでどこまでできるか分からないけど、やってみるか!」
大きく振りかぶり、今度はボールを投げる!
「よおぉーしっ!!行けぇぇー!!」
弧を描き遠くへと飛んでいく。
瞬間、グレートウルフ達の瞳がキラリと光る!投げた瞬間、我先にとボールに向かって飛び出す!
そう!あのボールはただのボールではないのだ!
犬系の魔物の気を引くように魅了の魔法が込められているボールなのだ。
たまたまアッシュの為に持ってきていたのだが、それが功を奏したようだ。
「アッシュ!今のうちに逃げるぞ!武器を持って出直しだ!」
アッシュへと目線を動かすと・・・いたはずの場所にアッシュが居ない。
「アッシュ?!どこに行ったんだ?!」
アッシュを探しているうちに、ドドドドドドドッ!と土煙と共に魔物達が向かってきた。先頭はなんと、アッシュだった!
「追われているのか?!助けなきゃ!」
慌ててアッシュに近づくと、アッシュの口元にあのボールが。
「これを追いかけているのか?さすが魅了の魔法がかかっているだけある。アッシュまで魅了されちゃったのは失敗だったが・・・それならっ!」
アッシュからボールを取ると、すぐにアッシュを抑えて、力一杯ボールを投げた!
案の定、またグレートウルフ達はボールへと向かって走り去っていった。
「今のうちに戻るぞ!」
「ワウン・・・ワフっ・・・」
少し疲れたのか動きの鈍いアッシュを引きずり、その場から退避することに成功したユータだった。
「ママ~!ボールを取られちゃったー!」
「ははっ!見てたわよー!他のワンちゃんとも遊んであげてたのね。大丈夫よ!あのワンちゃんは賢い子だからボールは持ってきてくれるのよ。」
ユータの後ろからタッタッタッと軽快な足音を鳴らしてゴールデンレトリバーが近づいてくる。口には先程ユータが投げたボールを加えていた。
ユータは少し怖がっているようだったので、ママがそっと近づきボールをゴールデンレトリバーからもらう。
「すいませーん!うちの犬とも遊んでくれてありがとうございます。身体が大きいから怖かったかな?」
「いえいえ、大丈夫ですよ。それにしても賢い子ですねー。ドッグランって初めて来たんですけど、みんないい子で安心しました!」
ママと一緒に話していた女の人が話しかけてきたが、こちらの返事は求めていないようだった。そのままママと話し込んでいく。
「次は負けないからな!それまでにフリスビーを投げる練習をしておくぞ!アッシュ付き合ってね!」
「ワン!」
1人と1匹は元気に駆け出していくのだった。後ろにはゴールデンレトリバーも一緒だった。
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ちなみにアッシュはお尻を噛みついていません。匂いを嗅いでいただけです。(笑)
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