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王都での出会い

初めて入ったカフェ

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連れてこられたカフェは王都では人気のカフェだった。

店に入ると中は、お茶をしながら色とりどりの可愛らしい一口サイズのケーキを楽しむ女性の姿が見えた。
このカフェでは一口サイズの宝石のように美しいケーキが有名なのだ男性は言う。

クリーム色のテーブルクロスの半個室の席へと案内されたヒナタは、恐る恐ると席に着く。


「何を頼む?」


メニュー表を見せながら、男性が聞いてくる。王都ではまだ、屋台を回って買い食いくらいしかした事がなかったヒナタは、少し戸惑いながらもメニュー表に視線を落とす。


○春のそよ風~訪れる恋の予感~
○小鳥のささやき~爽やかな森のざわめき~
○真っ白な冬景色~雪の妖精のワルツ~
○ドキ☆これで狙ったあの子もイチコロさ!

   ・
   ・
   ・

(・・・・・・・・・・・・・・・。)


メニュー表を見て固まるヒナタ。

目の前で男性も固まっている気がする。


(ちょ・・ちょっと、まってええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!どんなケーキが全く想像できない!!!っていうかみんなこの商品名を言って注文してるの??!まじか!!ど・・どうしたら・・・??)


あたふたしまくるヒナタをチラ見した男性は、ほっと息を吐いた。
それに気づいたヒナタは、ビクッと肩をすくめ、おずおずとメニュー表から顔を上げ、男性の方を見た。

目が合うとさらにフッと笑った。


(わっ・・・笑った・・・。)


男性の笑顔に何故か胸がほんわかしてくる。・・・会ったばかりの人なのに、なんでだろう。


「メニューが決まらないなら、俺からおすすめを頼もうと思うんだが・・・いいだろうか?」

「え?あ、はいっ!それでお願いします!」


メニューを選べないヒナタは、全力でそれに乗っかった。

すると、男性は「わかった。」と返事をするとテーブルにあるベルを鳴らし店員を呼ぶ。そのままいくつか店員と話しながらおすすめのケーキとお茶を頼んでくれた。

店員が頭を下げ、「少々お待ち下さいませ。」と奥に下がっていくと、男性はヒナタの方へ向き合い姿勢を正すと一度コホンと軽く咳をする。

「あー、少々強引だったかもしれないが、そのー、付き合ってくれて感謝する。」

「いえ・・・その、・・」

「「それで・・・」」


2人の言葉が重なる。
そのまま見つめ合うと、ハッとした表情になった男性が慌てて「どうぞ。」と促してくれる。だが、ヒナタもあわあわと「すみません、どうぞ!」と譲ってしまう。

そのまま2人の視線が絡むと、お互いにフハッ!と笑い出してしまった。


「では、俺から。と言っても、その、名前を聞きたいのだが・・・あぁ、俺の名は・・・・・ライだ。君の名前を聞いてもいいだろうか?」

「あ、わたしはヒナ・・・です。」


うっかり本名を言ってしまう。


「先程はぶつかってしまって、悪かった。どこか怪我とかはなかったか?」

「それは大丈夫です。体は頑丈なので、本当にもう気にしないでください。私の方も注意力散漫だったですし。」

「・・・そうか。ヒナは、その、何かこの後用事があるのか?」

「そうでした!わたし、まだお使いが残っているんでした。」

「お使い?ヒナは、どこかに勤めているのか?」

「はい!」


フローレンスの名前を出していいか分からず、とりあえずにこにこと笑っておく。初対面の人に個人情報は出してはいけない。


「どこに勤めているか聞いても?」

「え?あー、内緒です。それより、ライ?さんはあそこで何をしていたの?」


あからさまに話題を変えるが、ライもそれ以上突っ込んではこなかった。
そしてヒナの話題に乗っかってくれる。


「俺は、学生でな。今度、王都の学園に進学する予定なんだ。その準備と下調べで街を探索していたところだ。」

「へー、そうなんです・・・ね?えっ?」
(もしかしてお嬢様と同じく学園だったりする??それだったら顔バレはまずいっ!!)


笑顔のまま顔色が悪くなるヒナタであった。
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