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ノースポール公爵家の事情編

お屋敷探検

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透明なスライムの姿になったヒナタは、堂々と廊下の真ん中を進んでいく。


(そういえば、ここって・・・どこだ?)


自分がいた部屋が何階なのかも、お母様の部屋の場所も何も聞かずに出てきてしまったヒナタは、ちょっと落ち込んだ。


(わたしって・・・うっかりどころじゃなくない?こんなんで大丈夫かなぁ?一回聞きに戻るのがいいよね。・・・はぁ。)


やってしまったとばかり落ち込み(スライムの姿なので、落ち込んでいるかは傍目には分からないが)、フローレンスの元へ戻ろうとした時、ふと、思いついた。


(マップとかって、魔法で出来ないのかな?マップ・・・マップ・・・)


すると、目の前に四角いテレビの画面のような物が出現した!


(うおっ!びっくりした!・・・お・・おお~!これマップじゃない?やった!)


ヒナタの目の前には家の見取り図のような物が表示されていた。そして、その中を青色の点滅や黄色の点滅や赤色の点滅がチカチカしていた。


(この点滅はなんだろう?とりあえず・・・タッチ。)


すると、青色の点滅をタッチすると[リタ]と名前が出た。その後は名前が出たままの表示になっている。
他の点滅にタッチしても[???]の表示になり、分からなかった。


(つまり、わたしが認識している人は名前が出るって事ね。なるほど。じゃあ、この点滅の中で動いていない点滅のとこに行けば・・・お嬢様のお母様のとこに行けるんじゃない?よしっ!とりあえず行ってみよー!!)


マップをよくよく確認すると動いていない点滅は2つあった。ひとつは、忙しなく動く点滅の真ん中に動かない赤色の点滅。もうひとつは、部屋にひとつだけの動かない青色の点滅。


(これは、ひとつだけの方が見つかりにくいだろうし、見に行きやすそう!そっちに行ってみようかな。)


そうと決めたヒナタは、マップを見ながらスルスルと廊下を堂々と進んでいく。
すると、前方から侍女と思われる2人が歩いて来るのが見えた。


(このままじゃ踏まれちゃうかも。だって、相手には見えてないものね。・・・見えてないよね?)


少し不安になりながらもヒナタは壁へと避ける。そのまま壁を登り、天井近くを進む。


(この体って便利よねー。どこでも歩けるわ!歩くって言うか這いずる?ま、どっちでもいいか。)


段々と近づいてくる2人の会話が聞こえてくる。


「・・・・・の、エライザ様は本当に機嫌が悪いのよね~。何かあったのかしら?心配だわ~。」

「そうなのよー。機嫌が悪い原因を知ってる?」

「えっ!何か知ってるの??」

「偶々、聞いちゃったんだけど・・・エスメ様をフローレンス様の代わりにコナー第二王子殿下の婚約者にと公爵様に訴えたんだけど、陛下の許可が降りないと断られたのよ。それでイライラされてるみたいよ。」

「・・・お可哀想に。言ってはなんだけど、あんな真っ黒な髪の気味悪いフローレンス様より明るく可愛らしいエスメ様の方がコナー第二王子殿下とお似合いだと思うのよね。」

「私もそう思うわ。なんで陛下はお許しにならないのかしらね。」

「そうよね~。あ!エライザ様のお気に入りのお菓子でもご用意したら少しは気が晴れるかもしれないわ!」

「あそこのお店のはどうかしら?それか、・・・・」


侍女達が通り過ぎていく。それを沸々と怒りが湧き上がるような気持ちを必死で抑え込みながら見送る。


(な~に~がっ!!!気味悪いよっ!たった1週間の付き合いのわたしでもお嬢様はすっごく明るく可愛らしい女の子よ!どこに目ん玉つけてんのよ!!むーかーつーくー!!!)


言葉が話せたら侍女達を罵倒していたかもしれない。必死で自分を抑え込み、当初の目的の場所へと急ぐ。



(ここかな?・・・・・よっと、ドアの隙間から、こんにちわー!なんちゃって。)


マップを頼りに動かない青色の点滅があった場所へと辿り着く。

そこは薄暗く、少し埃っぽい部屋だった。
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