2 / 3
ポジティブとネガティブ
しおりを挟む
「ただいまお待たせ! あー腹減った!」
待ってないけど、断じて待ってないけど。軽々とハシゴを上ってきた彼は、その手に抱えた大量の惣菜パンを地面に広げた。
「あ、そうそう! はいお茶」
「へ?」
「お弁当は持ってたけど、飲み物なさそうだったから……あ、もしかしてジュースが良かった? それとも何も飲まない派?」
「あ、ううん、お茶でいい……ありがとう」
差し出されたペットボトルを受け取ると、満面の笑みが眼前に写る。台風の次は太陽みたい。ひとり北風と太陽か。いや、台風は北風じゃないな。
「神原さんって、いつもここで食べてるよね? 教室とか食堂で食べないの?」
「状況知らない? あの中じゃ無理」
「いや知ってるけどさ……そっか。まぁ無理して友達付き合いするよりは、無関心がマシってやつか」
豪快にビニールを破いて、彼は焼きそばパンを頬張った。あたしも冷めた白ご飯に箸を入れた。
「ポジティブだね」
「そ? ネガティブ思考なんて、損なだけっしょ?」
「損……」
「損!」
また太陽のような眩しい笑顔を見せられたが、むき出しの歯に青のりがついてたことは黙っていよう……誰かに突っ込まれればいい。
待ってないけど、断じて待ってないけど。軽々とハシゴを上ってきた彼は、その手に抱えた大量の惣菜パンを地面に広げた。
「あ、そうそう! はいお茶」
「へ?」
「お弁当は持ってたけど、飲み物なさそうだったから……あ、もしかしてジュースが良かった? それとも何も飲まない派?」
「あ、ううん、お茶でいい……ありがとう」
差し出されたペットボトルを受け取ると、満面の笑みが眼前に写る。台風の次は太陽みたい。ひとり北風と太陽か。いや、台風は北風じゃないな。
「神原さんって、いつもここで食べてるよね? 教室とか食堂で食べないの?」
「状況知らない? あの中じゃ無理」
「いや知ってるけどさ……そっか。まぁ無理して友達付き合いするよりは、無関心がマシってやつか」
豪快にビニールを破いて、彼は焼きそばパンを頬張った。あたしも冷めた白ご飯に箸を入れた。
「ポジティブだね」
「そ? ネガティブ思考なんて、損なだけっしょ?」
「損……」
「損!」
また太陽のような眩しい笑顔を見せられたが、むき出しの歯に青のりがついてたことは黙っていよう……誰かに突っ込まれればいい。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる