130 / 148
130 忘れて side hikaru
しおりを挟む
・
この人は昔からモテていて、特にデビューしてからは表には出ない小さなトラブルがたくさんあったのは知ってる。
てっきりそんなことの積み重ねがこの人から愛を奪ったのだと思っていたけれど。
17歳といえばこの人実力が認められ始めて、デビューの声掛かりが出てた頃だ・・・。
そんな時にそんなことがあったなんて。
何があっても動じない所為でボーッとしてると思われがちだけれど、実は状況判断の速いこの人だ。
「あなた、その時もそうやって笑って終わらせたんでしょ?
怒ったりとかしないですぐ諦めて別れちゃったんでしょ?
愛する気持ちも忘れるくらい傷ついたくせに。
・・・バカだよ」
こんなにいいオトコなのに。
あなたが本気になったら堕ちない女なんていないのにさ。
・・・そのつもりのなかった俺が堕ちたくらいなのに。
「ホントに、バカだわ」
「そんな何回もバカバカ言わなくったってわかってるっつの(笑)」
俺の言葉を分かってないんだか、分かって笑ってるんだか知らないけど。
「そんな女、忘れていい女だよ。覚えてる価値なんて無い」
つかさ、忘れろ。
全部、塗り替えてあげる。
あなたがもし偽りでもまた俺に好きって言ってくれたなら今度は泣かずに、嫌って言わずに『俺も』って返してあげるから。
「ねえ、セックス、しよう?
俺、ちゃんと準備してきたよ?
絶対あなたの家に無いと思ったから、すっげ恥ずかしかったけど買って来た。
俺に、お仕置きすんだろ?」
薬局で買ってきたものをポケットから出し握らせると、いつもの『ふふ』って笑う声が聞こえてきた。
「ヒカルちゃんが忘れさせてくれんの?」
きつく抱きしめていた腕を緩めて顔を見たら、いつもの、少し意地悪な微笑みが戻ってきていた。
いつも、俺を抱くときにしてる顔。
それが最後には余裕を無くして、眉間にシワを寄せて俺の中で果てる。
その瞬間がとてつもなく好きだ。
あなたが俺のものだって思える瞬間が。
「俺の事、好きにしていいから、全部忘れてよ」
利用していいよ俺の事。
その代わり、その女を忘れたらちゃんと俺を見て。
シャツのボタンを自分で外して、ゆっくりと彼に口付ける。
「ベッド、どこ?」
そして、ゆっくりと目を開け唇をつけたまま言うと彼も同じように目を開けもう一度小さくキスをし、俺の手を引いて歩き出した。
「ヒカルちゃんて、頭いいくせにホント、バカだよな」
暗い寝室のベッドの上、キスの直前に彼が囁いた。
・
この人は昔からモテていて、特にデビューしてからは表には出ない小さなトラブルがたくさんあったのは知ってる。
てっきりそんなことの積み重ねがこの人から愛を奪ったのだと思っていたけれど。
17歳といえばこの人実力が認められ始めて、デビューの声掛かりが出てた頃だ・・・。
そんな時にそんなことがあったなんて。
何があっても動じない所為でボーッとしてると思われがちだけれど、実は状況判断の速いこの人だ。
「あなた、その時もそうやって笑って終わらせたんでしょ?
怒ったりとかしないですぐ諦めて別れちゃったんでしょ?
愛する気持ちも忘れるくらい傷ついたくせに。
・・・バカだよ」
こんなにいいオトコなのに。
あなたが本気になったら堕ちない女なんていないのにさ。
・・・そのつもりのなかった俺が堕ちたくらいなのに。
「ホントに、バカだわ」
「そんな何回もバカバカ言わなくったってわかってるっつの(笑)」
俺の言葉を分かってないんだか、分かって笑ってるんだか知らないけど。
「そんな女、忘れていい女だよ。覚えてる価値なんて無い」
つかさ、忘れろ。
全部、塗り替えてあげる。
あなたがもし偽りでもまた俺に好きって言ってくれたなら今度は泣かずに、嫌って言わずに『俺も』って返してあげるから。
「ねえ、セックス、しよう?
俺、ちゃんと準備してきたよ?
絶対あなたの家に無いと思ったから、すっげ恥ずかしかったけど買って来た。
俺に、お仕置きすんだろ?」
薬局で買ってきたものをポケットから出し握らせると、いつもの『ふふ』って笑う声が聞こえてきた。
「ヒカルちゃんが忘れさせてくれんの?」
きつく抱きしめていた腕を緩めて顔を見たら、いつもの、少し意地悪な微笑みが戻ってきていた。
いつも、俺を抱くときにしてる顔。
それが最後には余裕を無くして、眉間にシワを寄せて俺の中で果てる。
その瞬間がとてつもなく好きだ。
あなたが俺のものだって思える瞬間が。
「俺の事、好きにしていいから、全部忘れてよ」
利用していいよ俺の事。
その代わり、その女を忘れたらちゃんと俺を見て。
シャツのボタンを自分で外して、ゆっくりと彼に口付ける。
「ベッド、どこ?」
そして、ゆっくりと目を開け唇をつけたまま言うと彼も同じように目を開けもう一度小さくキスをし、俺の手を引いて歩き出した。
「ヒカルちゃんて、頭いいくせにホント、バカだよな」
暗い寝室のベッドの上、キスの直前に彼が囁いた。
・
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
遠くて近い君へ
中岡 始
BL
リゾートホテル「青海の宿」のフロントスタッフである隼人は、一流の接客スキルを磨き上げるため、青海の宿からフィレンツェの高級ホテルでの研修に旅立つことになる。
異国の地で新しい文化やホスピタリティのスタイルに触れ、刺激的な日々を送りながらも、隼人の心はどこか満たされずにいた。それは、青海の宿で共に働いてきた翔の存在を忘れられないからだった。
フィレンツェで出会った先輩スタッフのアレッサンドロや、彼のパートナーであるリカルドとの交流を通じて、隼人は「愛」や「自分らしさ」を見つめ直していく。そして、翔に対する気持ちがただの友情ではなく、もっと深いものだと気づき始める。
一方、隼人のいない青海の宿では、翔が新人スタッフ・健一の指導を通じて成長し、隼人の存在の大きさに改めて気づいていく。隼人がいないことで感じる空虚感の中で、翔もまた、隼人への特別な想いを自覚し始める。
再び巡り会う日が近づく中、二人の心の距離はどう変わるのか。離れていても繋がる思い、そして、再会によって深まる絆。友情を超えた特別な感情が芽生える中、隼人と翔は本当の気持ちを互いに伝えられるのか――。
心の揺れ動きと成長を描く、切なくも温かいラブストーリーが今、始まる。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる