朝が来るまでキスをして。

月湖

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9 欲しいなら

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「・・・俺に、どうしてほしいわけ?」



時折顔に落ちてくる涙はそのままに、ひた、と視線を合わせ訊く。

これで何も言わないならホントに終わり。

そう意味を込めて睨み付ける。



「言ったら、そうしてくれんの?」



焦れったいな。質問に質問で返すなって言われただろ。



「言わねえなら終わりだよ。放せ」



「・・・あなたが、欲しいんだ」



ヒカルちゃんは何かを覚悟するかのように一瞬目を閉じ、再び開けると静かな声でそう言った。



やっと言った・・・。

もっと前に言ってりゃこんな泣くまで意地悪されなくて済んだのにな?

・・・でも、まだやんねえよ?




「・・・知ってる? 欲しいものを手に入れるには、それ相応のものを捨てる覚悟がいるって」



俺が欲しいなら、見せてみろ。



「相応・・・?」



そんなんひとつしかないだろ。



「ヒカルちゃん自身だよ」



俺は呆けて力の抜けた手を振り払い、逆にヒカルちゃんを床に押し倒し腹の上に馬乗りになって両手をひとまとめに頭の上に固定した。



「え・・っ・?」



ビックリした顔が可笑しい。

もっともっと苛めたい。



「俺が欲しいんだろ? だったら、かわりにヒカルちゃんを俺にくれるよね?」



明らかな意図を持ってキスをする。

性感を刺激する、深くねっとりとしたキス。

最初は戸惑っていたヒカルちゃんも次第に応え始め、舌を絡ませる度にクチュッと水音が鳴る。

俺はヒカルちゃんが着ているシャツのボタンをプチプチと外すと、その袷から手を差し入れた。

途端に身体を縮こませ、肩に力が入ったのがわかった。



「そんな固くならなくていいよ(笑) でもそうだな・・・先に風呂はいろっか」



手を繋ぎ、勝手知ったるで風呂に向かう。

ほら、風呂の方がなにかと都合がいいし?(笑)



真面目なヒカルちゃん。ベッドでもそうなんじゃね?

アナルセックスなんてしたことないだろ。

教えてやるから、ちゃんと感じんだよ?



自分が同じ男を相手に躊躇いも無くSEXしようとしている事に若干の可笑しさを感じながらも、手を放そうとは思わなかった。

一瞬でも放したら、初めての事に滅法弱いこの相手はまたきっと逃げて行くだろう。

俺はそれを許すつもりは無かった。




大丈夫。こういう事は絶対に俺の方が上手いよ(笑)




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